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ネコは異世界で闊歩する。  作者:


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第10話 せーぞん報告である

「死んだであるか……?」

 

 吾輩は恐る恐る首と胴体が離れたワイバーンの頭をちょんちょんと触れるが、奴はピクリとも動かない。よし、死亡確認である。

 前世だったら間違いなくお陀仏であるが、ここは異世界であるからな。首ちょんぱしても生きている存在がいてもおかしくないである。

 にしてもさっきのウィンドカッターは我ながら凄かったであるな。ワイバーンの鱗なんて関係なしに両断であるから相当なものであるな。


 さて、このワイバーンであるが……うむ。何かに使えるかもしれないし、マジックボックスに入れておくである。クシャルダは生きているものは入れられないとは言っていたであるが、今のワイバーンなら……ちゃんと綺麗さっぱり入ったであるな。


 しかし、このワイバーンは一体何だったであるか?ティナの反応から見るにここいらでは見かけない存在のようである。

 もっと言えば奴は何故疲労していたのか。疲れているのであれば休めばいいのに飛び続けて、まるで何かから逃げているかのような……?


 ……まぁ深く考えても仕方ないであるな。いつか分かるときが来るかもしれないであるからな。

 む?森の方から複数の足跡が聞こえる?あーこれはもしかして――


「ネコぉ!無事か!?」

「ネコオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


 予想的中。やっぱりギィガとティナであるか。吾輩の言いつけ通り、ちゃんとギィガを呼んできたようであ……待て。何か多くないであるか?ワーウルフ10人程いるであるぞ?ま、まぁとりあえず無事だという事を報告しなければ。


「おーい、吾輩ここであるぞ。」


 尻尾を軽く振り


「ネ、ネコ!お前無事だったか!ワイバーンはどうしt(ry」

「ネゴオオオオオオオオオオ!!ごべんねえええええええええええ!!」


 ぶっふぉお!?ギィガの話を遮ってティナが最高速で突撃してきた!あーもう、泣き始めちゃったである。ティナなりに吾輩を置いて村に戻ったことに責任を感じていたのであろう。

 こうなってしまったら何か声をかけても泣き続けるであろうから、吾輩はティナが泣き終えるまで何も言わずただ抱かれていた。――大音量で泣きわめくからちょっと耳がキーンとするであるが。



 ようやく泣き終えた後も吾輩はティナにホールドされている。先ほどとは違ってニコニコ笑顔で、頬ずりまでしてくる。まぁ悪い気はしないであるが如何せん力が強いである。痛くはないが、苦しいである。

 ギィガも止めてくれればいいのに「受け入れろ」だと。まぁ心配かけた吾輩の責も少しはあるであるか。


「――で、ワイバーンは倒しちまったのか?」

「うむ。これが証拠である。」


 収納したばかりのワイバーンの死体を出すとワーウルフ達の中から歓声が上がる。

 みな、吾輩の言っていることを信じていないわけでは無かったようだが、これで真実だと分かってもらえたであるな。

 ……それ以上に吾輩がマジックボックスを持っているという事の方が驚かれた気もするである。

 


「こりゃすげぇな……俺も聞いたことあるだけで初めて見るぞ。なぁ?」


 ギィガの言葉にワーウルフ達は同意とばかりにうんうんと頷く。

 そもそもワーウルフ達は獲物は森の猪や鹿で物足りるため、この草原まで出てくることは滅多にないらしい。ただギィガだけは昼寝にここまで来るらしいである。

 そのギィガでさえワイバーンは見たことない。……本当に謎であるな。


「ネコ、こいつどうするつもりなんだ?」

「それなんであるが、集落に解体できる者って……」

「はぁ?いねぇよ。」

「デアルカ。」


 うん。見たこともないワイバーンを即時解体できる奴がいる訳ないである!そりゃあいないである!

 マジックボックスに入れておけば腐ることはないらしい。が、それでも死体がそのまま入っているというのは吾輩としてはいい気分ではないからとっとと素材としたいのであるが……


「ん?待てよ。おぉ、そうだ。ネコ!解体できる奴に心当たりがあるぞ!」


 何!?集落に頼りがいないのに心当たりがあるだと!?


「その者とは誰であるか!」

「あぁそいつはな――」





 いや、別に溜めなくても……




「2日後、俺たちの村に来る――商人だ。」

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