帰るべき場所へ
二周年ありがとうございます。お久しぶりです
旅は道連れ世は情け。
案外嘘ではないけど、本当と言い切れるわけではないことを知った。
決して言葉で語り尽くせるような二年じゃなかった。
忙しかったし、何かと血を流したし、死にそうになったし、意識はよくとんだ。
一日を言葉にしようとしても、すべてを表すのは無理。
よって当然、二年を短い言葉でまとめるのは難しい。
一日一日すべてが新しくあり、すべてが興味の対象だった。
と、故郷に帰ったら語ろうと思っていたんだけど、このことを話したら旅の同行者に笑われた。
恋人であるミースは苦笑いっぽかったけど、口端つりあがってたし。絶対この二年で腹黒くなってる。
友人であるザイクに至っては声を上げて笑ってた。二年前の遠慮感あふれる雰囲気は消え去ってた。普段はまだ少し残ってるくせに。
ボクも思い返すと恥ずかしくなってきた。二年前なら堂々と言えたのかな。今は時が経ったから恥ずかしくて仕方がない。
さて、この二年でボクたち三人は変化をしてきたと言えるだろう。変化はもっとも皆が恐れることであり、当人は気にもとめないとか聞いたような気がする。気にも留めない、というか気付けない。ボクも自分のことなんて、身長伸びたなあぐらいにしか思わない。
あ、でもミースはすっごく可愛くなった。具体的に言うと、凛々しさが表れるようになった。おけげで、格好いいと言っても違和感がなくなった。格好いいっていうとなんか喜んでくれるし。可愛い方が印象強いんだけどなあ。
「そろそろ私たちの……」
我が麗しき故郷に帰るため上っていた果てしない坂の終わりが見えてきたとき、ミースがつぶやいた。……思い出補正がかかっていて実際そこまで綺麗じゃなかったら嫌かも。いや、それがありのままであれば受け入れよう。
「そ、そうだね……」
ザイクが涙をこらえてるようなしぐさを見せる。隠しきれないぞ、そのしぐさ。……イケメンになりやがって。精悍な顔つきになっちゃったなあ。あの時の面影はあるけど。でもボクもミースに少し格好よくなったって言われたし負けてないぞ、多分。
あ、ザイクは二年ぶりの虎マスクと再会することになってるのか。うっわそれはめっちゃ嬉しい。ボクだったらあった瞬間抱き着くかも。
「二年、かあ」
そう、二年である。ボクたちが故郷を飛び出してからすでにそれだけの時が経っている。我ながら信じられない。血みどろになったあの時からもう二年。あそこまで死にそうになることはほぼなかったかな。割と落ち着いて旅が出来た。ボクが安全を優先してたからでもあるけど。ミースにリスクを課すなんてやっぱり無理だった。恋人離れというか、親離れができない。誰か助けてください。あ、助けてもらったら会いにくくなるのか。じゃあやっぱいいや。先延ばしにしちゃおう。
「二年……」
ミースも二年の重みを噛みしめてるのかな。何も考えてなさそうなあのころとはずいぶん変わったなあ。あー、変化ばっかり。適応できてるからいいけど。
ボクの言い訳がましい考え方は治ってないのが唯一残念。与えられる変化だけじゃ自分の理想にはなれないのです。精進しますか。
「に、二年――」
それにしてもザイクはよくしゃべる。最近以前よりしゃべるようになったのはもしかしてこの時が待ち遠しかったのかな。二年ぶりの恋人と再会。うん、泣ける。しかもどちらも友人。うん、すっごく泣きそう。何故かボクは旅をして涙もろくなったし。
「あ!」
「お」
「あ、あー!」
見えた。ついに見えた。ボクたちの視界には在りし日の故郷と寸分変わらない帰り場所が堂々と主張していた。よく見たらちょっと細部が変わってるけど。それは当然の変化だろう。歩みをとめたら成長も成功も失っちゃうしね。うん、向上してるようで何より。みんな頑張ってるね。
「……」
見慣れていた景色だけど、圧巻。その言葉が思い浮かぶ。ぐわっと視界を占領してくる。脳内にもじわじわと浸食してくる。
「うん、行こう」
いつまでも圧倒されてちゃボクたちが停滞してるとも思えちゃう。見栄くらいは張らせてもらおう。
「ああ」
「う、うん」
さあ行こう。ボクたちの故郷へ。
飛び立った鳥今、帰還す。
短くて申し訳ありません。また何か書けたら、投稿するかと思います。




