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カエルの瞳

 いくら叫んでもそれは夜の闇に吸い込まれていくだけだった。歩きまわった足はすでに疲労で感覚がない。

 歩いている間、色々考える。

 それは、大学のことから最近のニュースのこと、そして、毎週見ているドラマのことまでと幅広く、そのほとんどがくだらないことばかり。

 最終的には、これは小夜子の復讐なのではないかというアイデアさえ浮かんだ。想像の中で小夜子を非難する。

 

 くだらない。

 

 何より嫌いなのはこういう考えに至ってしまう自分でしかないのに。

 小夜子も私を探すだろうか。これだけの月明かりだ、もと来た道を引き返すことは難しくない。

 


 (………なにかいる)



 不意にそう感じた。何かに見られている。

 数え切れないほど大量の虫が、全身をかけずり回っているようで吐き気がする。小夜子じゃない。

視線を送っている何かは、生きていない気がする。死んでいるのだろうか?


 

 


 生まれてこのかた、霊的なものを何ひとつ信じてこなかった。

 人は死んだらそこで全てが終わる。この得体のしれない物体を見ても考えは変わらない。

 だけど、恐怖は確実にあるんだ。

 

 (こいつは、何だ?)

姿形は馬に似ている。でも……その目はこの世のものではないかのように大きい。小柄な女性の顔ほどの大きさがある。

 こいつが蛙馬あめか……、そう、カエルと馬、大きなカエルの目に馬のような体。


 その場に立ち尽くしていた新一は次第に意識が遠のいていくのを感じていた。

 徐々に体から力が抜けていき、昔見た夢の断片が頭の中で舞い上がっては砕け、あいたその空間をカエルの目が凝視していた。

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