悲運なる再会
駅のホームで同時に二人は互いを見つけた。
私はすぐに小夜子だとわかった。無性に声をかけたい気持ちに駆られたが、
小夜子が私だと気づいているかどうかがわからず、ただ黙って小夜子を見ていた。
「久しぶりだね」
彼女は迷わずに言った。
「どうしてここにいるの」
話しかけられると途端に我を忘れた私は、最低の質問をやってのけた。
家が近いのだから彼女が駅にいたってまるで不思議はない。
「新一君変わってないね」
彼女は少し困ったような笑みを見せて答えた。
「三國さんも昔のままだ」
しかし、実際の所、昔の天真爛漫な彼女は心なしか影をひそめ、どことなく顔もやつれたように思えた。
「よしてよー、『三國さん』だなんて。私だけ新一君って呼んでさ、なんだか私バカみたいじゃん!」
手を小さく振って、私の目を覗き込むようにした。
「昔のように小夜子って呼んでよ」彼女の無理をしている感じが伝わった。
居づらくなった。
こうなるといつも、理由をつけて逃げてきた。
今日は・・・逃げてもいいのだろうか。
「どうしたの新一君、久しぶりだから話しづらい?」
彼女は私がどう反応するのかを見守った。
「い、いや、違うんだ。久しぶりに会えてうれしいよ」
私は何を言っているんだろう、まさかよりが戻ることを期待しているのだろうか。
彼女はしばらく何かを考えているそぶりを見せ、いたずらに目を輝かせて、私に向き直った。
「新一君さ、一緒に笠見山に行かない?」
「え!?・・・笠見山?」
笠見山は駅を出て大通りとは反対の小道を下っていったところにある山の呼称だ。
「そう、笠見山。今から行くの」
「今からって・・・・どういうこと?」
「突然だと思うけど、本当は今日行くつもりなかったんだけど・・・、
やっぱり一人で行くの怖かったから・・・」
彼女は目線を下に落として言った。
一人で行こうとしていたとはどういうことだろうか。
「あの、話が見えないんだけど。三國さ・・・小夜子でいいのかな?」
小夜子は恥ずかしそうな笑みで頷いた。
なんのために行くのかという問いに小夜子は答えようとはしなかった。
ただ、一つだけわかることがある。小夜子の誘いを断る資格など私には無いということだ。




