第十一話 「廃工場は狩場系」
2011年 5月3日 放課後 公園
視点「澄空星夜」
「はぁ~~~~~アタシなにやってんだろう。」
アタシはブランコを漕ぎながら色々考えていた
「それにしても、漫画とかでよくブランコに乗りながら悩んだりするシーンがあるけど意外にいい方法かもしれないな。」
なんか世界が揺れてる感じでいい気分に・・・・
「ううぇ~~~気持ち悪い。」
しまった漕ぎすぎた
「はぁ~~~~~本当になにやってんだろうアタシ・・・」
そういえばこの公園昔アカリと遊んだなぁ
● ○ ● ○ ● ○
「アカリ~~はやくこいよ~~」
「むりだよ~~そんなにはやくはしれないよ~~」
「そんなんだからおんなのこっていわれるんだよ。」
「うるさいな~~」
「まぁでもおとこのこっぽくなってもこまるけどね。」
「なんで?」
「そうすればけっこんしたときアタシがりょうりとかおぼえるひつようないもん。」
「ぼくセイヤとけっこんするの?」
「そうだよそうすればいつまでもいっしょにいられるもん。」
「そうなの!?それじゃあけっこんする~~」
● ○ ● ○ ● ○
「・・・・・」
我ながら呆れるほど単純な理由でプロポーズしたなアタシ、しかも成功してるし
「でも、覚えてないよなぁ。」
覚えてたら今頃ラブラブしてるし
でも、今一番問題なのが・・・・・
「アタシどうすればいいんだよ~~~」
いっこうに考えても答えが出ない
● ○ ● ○ ● ○
「まったくこの間は大変な目にあったぜ。なんだったんだ、あの毒舌女は。」
「まったくですよね~~親分。」
「とりあえずあの通りには近づかないことにしよう。」
「そうですね、さて今日はどうしましょうか。」
「そうだなぁ~~~・・・ん?」
男の目に写ったのはブランコをこいでいる少女・・・・・のたなびくスカートの中だった。
「とりあえず・・・あれで遊ぶか。」
● ○ ● ○ ● ○
視点「曇日陽射」
《セイヤは色々考えると、僕と昔遊んだ場所に行くからそのうちのいくつか探してみよう。》
と、アカリに言われたので探してみたらセイヤを発見した・・・のはいいのだが。
《セイヤは意外にトラブルに巻き込まれやすいから、そこんところ心配なんだよねぇ。》
アカリ、その心配大正解だよ。
「ちょっと一緒にお茶しようって誘ってるだけだろうが!」
「グルルルルル バウバウ ウーーーーーヴァウウ」
「犬かてめーーは!」
・・・・・・・・・・アホだあいつ
● ○ ● ○ ● ○
《と、そこまではよかったんだけど・・・》
電話から聞こえたのは
《まてやワレーーーーー!》
《ちょこまか逃げとるんじゃねぞコラーーーーー!》
《なめとんのかオンドレーーーーー!》
いかにも追いかけてる側のセリフだった。
《アカリ~~~助けて~~~!!》
「アホはヒザシさんだーーー!」
なんかとんでもないことになっていた
《だって~~セイヤをたすけようとしたら~~まえわるぐちいったふりょうだったんだもん~~~~~》
「毒舌はどうしたの!?」
《きほんおれのわるぐちは、ふんいきといきおいでだましてるようなもんなんだもん~~~2かいもおなじあいてにつうようしねーよ~~~~~》
「マジでか!」
だから普段は毒舌吐かなかったのか
《それに~~おれあいつらににらまれたらこしぬかして~~~いまセイヤにかついでもらって~~~このままじゃつかまっちゃうよ~~~》
「ヒザシさん落ち着いて!」
つーかヒザシさんただ状況悪化させただけじゃね?
しかもキャラめちゃくちゃ代わってるし
《もしもしアカリ!》
声が変わった
「セイヤ!?大丈夫なの?」
《正直ヒザシちゃんは今ヘタレてるし、どんどん追ってくる人増えてるし結構キツイかな。》
「お前この間の体育の短距離走で、記録縮まったとか言ってなかったっけ!?」
《今は状況が違うの!なんかどんどん裏路地に誘い込まれてるっポイし!!しかもヒザシちゃんいるし!!》
《ウウェーーーン!ゴメンナサーーイ!》
《あーーもーー泣かないでよヒザシちゃん。》
これもしかして大ピンチだ!
瞬間あの時の記憶が呼び起こされる
あの・・・
血まみれの記憶が・・・
「そんなの・・・もう・・・嫌だ・・・」
《えっなに?》
「・・・・・セイヤ・・・そこから「月の狩場」まで行って。」
《はっ!!?なに言ってんの!?まさかアカリ!!》
「それしかないでしょう!」
《でも!》
「でもじゃねぇ!!」
《っ!》
「俺はもう嫌なんだよ!」
もうこりごりなんだよ・・・
「お願いだから俺に助けさせてくれ・・・」
今度は絶対に・・・
「俺を一人にしないでくれ・・・」
離したりするもんか
《・・・・・わかった。覚悟は出来てるんだよね。》
「当たり前だろーが。そっちこそいいのか?」
どっちかってーと俺はそっちのほうが心配だ
「せっかく出来た友達を裏切るかもしれないんだぞ。」
《・・・・・別にいいよ。だって・・・》
《大切な友達だからこそいつまでも嘘はつけない。》
「・・・相変わらず正しいやつだなセイヤは。」
《そうかな?》
「あぁ、そうだよ。」
でもその正しさで俺は救われたんだ
「それじゃぁなんとかたどり着けよ。」
《分かってるよ。》
《セイヤ~~~もっと速く~~~追いつかれちゃうよ~~~》
《分かったから静かにあっ!!》
ガシャン プッ
「・・・あの馬鹿ケータイ落としやがった」
・・・覚悟か
「悪いけど覚悟を捨てた覚えなんてないんだけどね。」
● ○ ● ○ ●
視点「澄空星夜」
「セイヤ、このままじゃやばいよ~~」
「わかってるよ!」
「じゃぁなんで?」
ヒザシちゃんの言ってる意味がよくわからない
「なんでってなに?」
「だからなんでどんどん大通りから離れるんだよ~~~」
あっそっか!
「だって大通り行く方向に逃げると追って多いから、それに・・・」
「それに?」
「こっちで合ってるんだよ。」
「はぁ?なに言ってんだよ。追い込まれてるだけだろう?」
あっだんだん口調元に戻ってきた
「そうかもね、でも・・・」
「でも?」
「ある意味ヒザシちゃんみたいに「月の狩人」が好きな人には聖地かもね。」
「へっ?」
「見えてきたよ。」
そして裏路地を抜けるた瞬間見えたのは・・・
「なに・・・この・・・広い工場!」
「ここは・・・「月の狩場」・・・」
「「月の狩人」の元縄張りだよ。」
● ○ ● ○ ● ○
(ハァハァハァハァ・・・スーーハーー・・・なんとか撒いたな。)
それでも一時凌ぎにしかならないけど
「なっなぁ!」
(しっ静かに。)
(・・・悪い)
(でっなに?)
まぁ予想はつくけれど・・・
(ここが本当に「月の狩人」の元縄張りなのか?)
まっそりゃ信じられないよなここ広すぎるもん
(うん、それは本当だよ。通称「月の狩場」大通りからも住宅街からも遠くて、しかも周りの建物も廃墟ばっかで忘れ去られた場所なんだ。しかも、ここまでの道は複雑だから場所を知ってる人すらほぼいないよ。)
(へ~~~・・・あれ?なんでセイヤは知ってるの?)
(・・・それは)
「いたぞ!隠れてやがった!」
「みつかった!行くよヒザシちゃん。」
「うっうん!」
「まて!」
「どっち行った!?」
「あっちです。」
「セイヤどうしよう。」
「・・・まずいかも。」
「えぇ!!なんで!?」
「人数が多い、ここがどんなに広くてもいつか先回りされちゃう。」
「どっどうするの。」
「とりあえず、先回りされにくいルートで逃げるしかない。」
・・・でも
「それでもいずれ行き止まりで追い詰められる。」
「・・・・・俺の・・・せいだ。」
「はっ?」
「だって、俺のせいだもん!セイヤとケンカしたからだもん!きっとバチがあたったんだもん!」
「それは違う!」
てゆーか「だもん」て
「違くないもん!だって・・・だって・・・」
「だってなに!」
「だって大切な友達を傷つけたんだもん」
ヒザシちゃんは大粒の涙を流していた
・・・・・あぁ・・・アタシ本当馬鹿だ
「ごめんね・・・」
こんなに友達思いなのに・・・
「ごめんね、セイヤ・・・」
アタシはヒザシちゃんに・・・
「怒らせて・・・ごめんなさい。」
こんな状況なのにアタシを責めないヒザシちゃんに・・・
「本当に・・・ゴメン・・・」
嫌いなんて言っちゃったんだ
「・・・・・アタシの・・・・・大馬鹿やろう・・・」
「セイヤ前!」
「くそ!行き止まりか!」
「は~~い、追いかけっこ終了。まったく手間とらせやがって。」
「こんなことしてなにが楽しいの!」
30人程に取り囲まれる
「楽しいねーーなんせこれから頑張って走ったあとのお楽しみタイムが始まるんだから。」
囲っている下っ端どもの笑い声が聞こえる
「大丈夫だよ明日の朝までには終わらしてやるよ。」
だんだん下っ端どもが迫ってきた
「セイヤ~~~」
「う・・・あ・・・」
声が・・・出ない・・・
「俺はとりあえず犬女からいただこうかな。」
恐い・・・
「んじゃぁ俺は毒舌女から~~~。」
恐い・・・
「まぁまてよとりあえず俺様が一番最初だろうが」
恐いよ・・・・・
「んじゃ、いっただきまーす。」
恐いよ・・・助けて・・・・・
「アカリッ」
「ねぇ、少しいいかな?」
ヒュン
その瞬間にそれは聞こえた