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白紙の地図と高校生のPGC 〜half red eyes〜  作者: 更級一矢
第三章 月光祭と恋心 編
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第1話 プロローグ

廊下が赤く照らし出される。非常電源によって作動した赤色回転灯だ。


「捜せ捜せ!!」


「絶対に逃がすな!!」


「監視班は何をやっていたんだ、馬鹿野郎!!」


絶え間無く響く軍靴の音は、とても慌ただしい。

防弾・防刃ベストを着込み、小銃を抱えた兵士達の表情もまた同じ。

それだけ、彼らに取ってはこれは、『予想外』の出来事だったのだろう。

警報の中、一際高い音程で鳴り響くブザー。


「隔離完了しました!!」


「よし、虱潰しに捜せ!!最悪、手足の一本や二本は構わん!!」


「はっ!!」


「第五小隊は隔離壁外を捜索しろ!!まさかとは思うが、脱出されている可能性がある!」


「イエッサー!!」


部下達が廊下の角から完璧に消え去るのを確認してから、彼は溜め息を吐いた。


「ったく、なんてこった…」


とんだ貧乏くじを引いちまった。それは、彼がポーカーで敗け、今日の夜警を引き受け(押し付けられ)たが故の物だったのだが、恐らくその時から彼の運は尽きていたに違いない。

研究対象一名の脱走。

有り得ない事だと思っていた。誰も彼もが油断をしていた。それが、この様である。

予想外の事態に、人間は弱い。軍人だろうと、それは変わらない。

彼は、人差し指で軽く目の前を凪いだ。


「……ちっ」


普段ならそれで出現する筈の仮想ディスプレイ。しかし、何の反応もない。


「システムが偶然(・・)故障するなんてなぁ…」

完璧に制御された筈の兵員補助システムの故障は、兵士達の捜索にも、かなり大きな障害となっていた。


「駄目です、隊長。目標、完全に見失いました(ロスト)。追跡は不可能!!」


「……第五小隊を呼び戻せ。これ以上は無駄だ」


さて、これから待っているのは何だろうか。始末書?査問会?降格?

どれにせよ、ろくでもない未来だと、彼は自嘲する。

赤色回転灯だけが、彼を慰めるように、クルクルと回っていた。





―――研究対象一名が脱走。直ちにこれを追跡、捕獲せよ。

対象名は―――

章管理は明日、粗筋変更は0時30分までには行う予定です。

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