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第16話 血塗れの鏡

『彩萌姉妹と言うと、真っ先に注目されるのは経歴だな。』

昨夜、突如として電話を掛けてきた蓮は開口一番、そう言った。

内容は、舞無に頼まれた調べ事―――彩萌姉妹についてのありとあらゆる情報―――の結果の報告。

「経歴?確かに雪華の経歴は普通じゃない。でも、『真っ先に』と言うのは解せないな。どう言う事だ?」

「風見…あんた、何処まで知ってる?」

「…雪華がかつて少女兵で狙撃手(スナイパー)じゃなかった事、双子の妹と師匠が居た事……師匠を殺した事。」

通話口の向こうから、微かに蓮の溜息が聞こえた。

「…それだけか?」

「大体な。」

はっきりとした溜息が、返事として返って来た。

「何も知らないんだな…まあいい、先ずは、兵士としての能力からだ。」

「頼む。」

「えーと。改めて見るとこいつは凄いな。姉妹仲良く幼い頃の経歴は全て不明。確認される五十七回の任務の内、成功率百パーセント。文句なしの満点だ。十二歳で行方不明になった当時の階級は、中尉。恐らく、戦闘能力に眼を付けられての昇進だろう。部下は居なかったらしい。ランクもSランクに登録されてる。一言で言えば、完璧の極みだ。」

やはり雪華の能力は高かったらしい。

「武器とか、他に情報は無いのか?」

「残念だが、任務の内容は、残ってない。使用武器も然りだ。」

蓮の調査能力には一希も一目置いている。その蓮が『無い』と言うならば、恐らく本当にデータは存在しないのだろう。

「次に妹の方だが…名前は彩萌桜華。ここまでは分かるな。」

「ああ。他には?」

「……無い。」

「は?」

「階級は少尉。それ以外に情報が無い。まるで存在自体が無かった(・・・・・・・・)と思わせる程だ。存在が裏付け出来た事自体奇跡だ。」

「…それって……」

正体不明(ブラックボックス)。使用武器も、戦闘スタイルも、身長も体重も、全て不明だ。…気持ちが悪い。…だが、一つだけ姉妹に共通して分かった事が有る。」

「何だ!?」

「両方とも、戦闘の天才だった、って事だ。当時、イタリアで流れた双子の姉妹に対する通り名が一つだけ残ってる。」

「……」

「『|血塗れの鏡《Sanguinosa specchio》。』」

「血塗れの…鏡…」

「気を付けろ風見。お前達がどんな事に首突っ込んだか知らんが…」

漣の声が、一希の耳が凍て付いた。

「―――下手すれば、死ぬぞ?」

そう言って蓮は通話を切った。

と、同時に再び携帯が震え出す。

「はい。」

「風見一希さんでしょうか?」

携帯から聞こえて来たのは、覚えがない男の声だった。

「そうですけど。」

「こちらは病院の事務局なんですが。―――。」

その言葉で、一希は全てが遅かった事を知った。

自分は、もう既に首を深く突っ込んでしまったのだ。


「―――彩萌桜華が、行方不明?」



まことに申し訳ありませんが、更新を二週間に一度とさせていただきます。

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