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白紙の地図と高校生のPGC 〜half red eyes〜  作者: 更級一矢
第一章 Half Red Eyes 編
6/83

第6話 護衛一日目 〜邂逅〜

寒くなって来ましたね〜

作者は寒いのが苦手です。土日は常に引きこもりです。

私立逆瀬女子高等学園。

通称、逆瀬女子高。

第四都市でも、一、二を争う設備と、歴史を誇る高校。

中央に聳え立つ時計塔が、この高校のシンボルとなって居る。

その時計塔の足元ーーー時計塔広場には、逆瀬女子高の制服に身を包んだ雪華が立って居た。

回りを同じ制服を着た他の生徒達が通り過ぎて行く中で、雪華は腕時計を約一分置きに見ていた。

「遅いですね、一希さんは…」

そう言った後、雪華は、傍らに立つもう一人の少女を見た。

彩萌雪華ともう一人の少女が其処で立ち止まって居る訳。

それはーーー

「本当にどうしたんでしょう、一希さんは。」

今日から共に任務に当たる一希が、待ち合わせの時間を過ぎても、現れないからだった。


雪華と少女が待って居る逆瀬女子高から、約五十メートル離れた地点の歩道。

其処を一人の少女が駆けていた。

否、少女では無い。

「まさか、準備に手間取る何て…」

声すら変わって居たものの、その顔には僅かな面影が残って居る。

そう、一希だった。

一希が遅刻した理由は簡単。

思って居たよりも、メイクに手間取ってしまったからである。

だが、遅刻しそうになるまで、時間を掛けたお陰なのか、一希は、すれ違った人間十人中九人ほどが振り返る程の美少女に変貌して居た。

雪華と、護衛の対象者に対する、お詫びの言葉と言い訳を考えながら、一希は校門を走り抜けた。


「ーーー悪い、遅れた。」

既に人通りの少なくなった待ち合わせの場所には、当然ながら二人の姿が有った。

一人は言うまでも無く、彩萌雪華。

雪華は、長髪を何時もの様に軽く纏め、伊達眼鏡を掛けて居た。

足元には、恐らく狙撃銃が入って居るであろう楽器ケースが置いて居た。

そしてその隣に、一人の少女が立って居る。

背は低めで、一希よりも僅かに背が低い雪華よりも、更に低い背丈だった。

髪は、背と同じ様に短い。目は、何処か小動物的な印象を二人に与えた。

今まで彼女を見て、童顔ーーーと言う言葉を浮かべたのは、一希だけでは無いだろう。

中学生と言われても頷ける様な容姿だった。

昨夜、資料で写真を見て把握はしていたが、一希は自己紹介を兼ね、本物であるか確認する事にした。

「遅れてすみません。月下PGC事務所の風見一希と言います。今日から、其処の彩萌雪華と共に、貴方の護衛に就かせて貰います。」

隣の雪華も一希に合わせ、頭を軽く下げる。

「あっ、すみません。私は、古手毬彗(こてまりすい)と言います。今日から宜しくお願いします。」

幼そうな外見とは、裏腹に、意外としっかりした性格の様だと一希は思った。

互いに自己紹介を終えた時、頭上の時計塔の鐘が鳴り出した。

「始業十分前ですね。…えっと、お二人は、理事長に挨拶しに行くんですよね?」

「はい。」

「分かりました。理事長室は、一番校門から近い管理棟の二階の一番奥です。では、後程教室で。」

そう言って彗は校舎の入口へと駆けて行った。

彗が、校舎の中へと消えるのを見届けた後、雪華が切り出した。

「意外に、遅かったですね、一希さん?」

雪華は以前にも一度、一希の女装を見ているので、その変貌に大して動揺していなかった。

「メイクに手間取っただけだ。それよりも。」

一希は、困惑の視線を雪華に向ける。

「何で、舞無さんは、俺の服のサイズを知ってたんだ?」

その言葉の通り、一希の制服のサイズはぴったりだった。

「さあ…でも、舞無さんですから…」

そう返す雪華の制服のサイズも一希と同じ様に、ぴったりだった。

「あの人、プライバシーの権利って言う言葉を知って居るのか?」

「服のサイズがプライバシーに入るかは、結構難しい事でしょうけど…でも、知って居ると思いますよ。少なくとも、その言葉の意味は。」

二人して、溜め息を吐いた所で、一希はある事に気付いた。

「雪華さん、ペンダントは?」

何時も雪華は、写真が入るペンダントを掛けて居た筈なのだが。

因みに、写真の中身は、一希は勿論、一緒に暮らしている舞無でさえも見た事が無かった。

「ああ、あれは、制服の下に隠れる様に掛けてます。流石に、校則違反か分からない状態で、堂々と掛けて居るのもどうかと思いますから。」

そう言って、雪華は、首筋の襟に隠れたチェーンを引っ張って、持ち上げて見せた。

その指先には、確かにチェーンが掛かって居た。

「なら、行きますか。」

「そうですね。確か、校門に一番近い校舎でしたね。」

二人は歩き出したが程無くして、雪華が言った。

「思ったんですけど、あの人、高校生、何ですよね…?」

どうやら雪華自身も、一希と同じ事を感じたらしかった。


広大な敷地を持つ、逆瀬女子高。

その理事長室に二人は居た。

部屋には、如何にも高そうな調度品が置かれており、物を僅かしか置かない主義の一希に取っては、居心地は余り良い物では無かった。

思った所で、言う積もりは毛頭無いのだが。

「では、これから数日間、宜しく頼みます。」

そう理事長が締め括った時、見計らって居た様に、扉がノックされた。

「入りたまえ。」

扉が開かれた先に居たのは、白衣を来た若い男性教師だった。

「ああ、丁度良かった篝君。…紹介しよう。君達がこれから入って貰う二年A組の二神篝(ふたがみかがり)先生だ。」

「どうも、二神です。」

二神が頭を下げるのに合わせて、二人も頭を下げた。「なら、二神先生。後は任せましたよ。」

「分かりました。…なら行くか、えっと、風見に、彩萌。」

三人は、理事長室を後にした。


…一希達は気付いて居ただろうか。

理事長が冷たい目で、三人を見送った事に。


所は変わって二年A組の教室の前。

「えーっと、今日何か有ったと思うが…忘れた。」

あんた本当に教師として大丈夫か?と、二神の言葉が聞こえた一希はーーー少なくとも一希はそう思った。どうやら、二神は恐ろしい程やる気無しの教師の様だ。

「転校生が居るって聞いたのですが本当ですか?」

中から聞こえた声で、教室がざわざわとし始めた。

「あー、転校生ね。うん。居るね。二人も。…おーい、入れば?」

普通其処は入れー、だろうと思ったが呆れ果てた一希には、何も言う気は起きなかった。

引き戸を開け、中に入ると、四十人の視線が照射された。

「えーっと…各々で自己紹介して席に座ってくれ。席は一番後ろの古手毬を挟んだ二席だ。向かって右側が彩萌、左側が風見だ。」

そう言うと二神は、教卓に突っ伏した。

二神もある意味凄いが、その教師の行動を平然と流す生徒達も凄いなと、一希は思った。

「風見一姫です。宜しくお願いします。」

「彩萌雪華と言います。宜しくお願いします。」


こうして、二人の任務は始まった。



アクセス二百突破しました。有難うございます!!

これからも宜しくお願い致します。

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