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白紙の地図と高校生のPGC 〜half red eyes〜  作者: 更級一矢
第一章 Half Red Eyes 編
2/83

第2話 白紙となった地図

初春にしては冷たく感じる、屋上の乾いた風に髪を揺らされ、風見一希(かざみかずき)は、閉じていた眼をうっすらと開けた。

一希は立ち上がると、体を反らす。パキポキと鳴る身体は、長い間一希が其処に座り込んで居た事を言葉無くして証明していた。

日の光を吸収しているかの様な漆黒の髪。

漆黒の制服に身を包んだ体は、高校生にしては、背丈が高めだった。

一希は屋上を囲む柵の側に歩み寄る。

この高校ーーー私立月下高校の屋上からは、街が一望出来た。

否ーーー街、ではなく世界だった。

半径十キロ、高さ五百メートルの円を描く壁の中に造られた街が、一希は勿論の事、この街に住む者全てに取っての世界なのだから。


◇◆◇◆◇◆


今から約二十五年前。

当然だが、一希も生まれていない頃ーーー

世界を巻き込んだ最後の戦争が有った。

第3次世界大戦。今ではそう呼ばれている。

事の発端は、たった一回の発砲だったらしい。

テロ行為が激化していた中東のテロリストが治安部隊に対して行った威嚇射撃が何の偶然か、命中。

それが発端となったテロリスト対治安部隊の戦いは泥沼化。

次第に戦火は中東各国に飛び火。

いつの間にか、テロリスト対治安部隊の戦いは国家対国家と言う状態となっていた。

普通ならば、この辺りで国連か何処かの機関が仲介し、終戦へと戦局は向かっていっただろう。

だが、そうなる事は無かった。

何故なら、中東での戦争に乗じ、中国、ロシアがあらゆる利権や資源を求め、アメリカ、東南アジアに侵攻した為だった。

遙か昔に起こった金融危機。それは、一時的に収まったものの、完全に収まる事は無かった。

更に、中東で戦争が始まった事で、只でさえ少なくなっていた石油などの資源が枯渇。

経済的な利権・資源を求め、戦争が勃発するのも、無理は無い。

攻め込まれたアメリカ、東南アジアは勿論、南米、北米、アフリカ、ヨーロッパ…あらゆる国が、互いに宣戦布告し、第3次世界大戦が始まった。

日本も例外では無かった。宣戦布告と同時に攻め込んできた各国の軍隊の前に自衛隊は数日で壊滅。民間人軍人問わず、死者は計り知れない。

大戦は始まって約五年で終結したが、別に各国が自らの愚行に気が付いた訳では決して無い。軍資金・兵力の消滅、他国の侵略に対する全面降伏。終いには、戦略型核兵器の乱用など様々な要因で、戦争を行う国家自体が消滅してしまったからだった。

家族や住む場所を失い、生き残った人々は、二度とこのような事を繰り返さないように、と互いに永世中立を誓い、自衛力以外の一切の武力を放棄した。そして、世界各地にーーー核兵器の影響が比較的少なかった場所にーーー五つの都市を作りそれぞれに第一〜第五と都市に番号を割り振った。

国境と言う概念は消え失せ、ある意味で世界が初めて統一され、世界地図が白紙になった瞬間だった。

しかし、国境が消えたとは言っても、集団には統治者が必要になる。

人に人は支配出来ない、とは良く言った物だが、統治者が必要というのは、なんという矛盾だっただろうか。かつて日本であった場所に位置する第四都市の支配権を手に入れたのは、自衛隊が壊滅した後、日本に駐屯していたPMCだった。PMCに因って統治されている日本ーーー第四都市の治安は、表向きには、PMCが統治しているからこそ、治安が保たれていると一般人には思われている。

そう、表向きには。

ぼんやりと都市を眺めて居ると、ズボンのポケットに入っていた一希の携帯が震え出した。一希は携帯を取り出すと、ディスプレイを一瞥、受話器のボタンを押して、耳に当てた。

「ーー何だよ、舞無(むな)さん。」

『一希君。元気?』

耳に飛び込んで来た少女の声には、何が可笑しいのか、僅かな笑いが含まれていた。

「舞無さんの声聞くまでは元気だったよ。」

聞くまでは、を強調し一希は答えた。

『……まあ、そんな事はどうでも良いわ。それで。』

一瞬で、舞無の声色が変わる。

「『依頼』か?」

それに対し、慣れ切っている一希は大して声色を変える事はない。

『そう。急で悪いと思うけど、今から事務所に来てくれない?』

「分かった。今から行く。」

一希は通話を切ると、携帯電話をズボンのポケットに戻す。

そして、何を血迷ったか、柵を乗り越えると屋上から飛び降りた。

テスト期間中に、小説書いて投稿する私は異常…?

感想など有りましたら、宜しくお願いします。


タイトル修正のお知らせ

「白紙の地図と高校生のPGC」

へと、近日中に変更します。

ご迷惑をお掛けし、申し訳ありません。

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