氷の魔女アイシラの物語
氷を操る事ができる魔女、アイシラ。
彼女は誰とも触れ合う事なく生きてきた。
それは、とても強い力を持っているから、皆が彼女を恐れた結果。
そんな人生を寂しく思ったアイシラは旅に出る。
世界には、自分を恐れずに接してくれる人間がいるはずだと。
けれど、どこにいってもそんな人間はいなかった。
魔女を怖がる人間ばかり。
こちらから歩み寄っても逃げていくものたち。
だからアイシラは、考えた。
歩み寄って無駄だと言うなら、向こうから来てくれるように仕向ければ良いと。
氷の檻を作って、皆をとじこめ、凍らせて。
とても、冷たく凍えさせて。
同じ気持ちを味合わせた。
とても強い力をもった魔女として、そう扱われてきた自分と同じように。
そうすればきっと、皆アイシラに歩み寄ってくれるはずと。
怖い魔女じゃなくて、可哀想な魔女だねと。
そう思ってくれるはずだと。
けれど、そんな日は来なかった。
檻ごと氷漬けにした皆を眺めながら、氷の魔女はずっと一人。
人と触れ合って得るぬくもりも知らず。
これから先も一人ぼっち。