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1-7 諦めない


事情聴取を受け、部屋に戻ったウィリアム。いろいろ思うコトは有るが気を取り直し、メモを読み返しながら課題に取り組む。




「うぅん、困った。」



片思いでも恋だし、相手を思うダケで幸せになれる。けれど一方通行の愛はつらいだけ。


どんなに尽くしても振り向いてもらえず、認められずおとしいれられ嫌われて、死んでしまう事もある。



相手の唯一になる事を求めず、美しく飾られた仮面を被るのも愛。『互いに生涯、愛し続ける』と誓った相手が居るのに、浮気を楽しむのも愛。優等生を演じ、つまみ食いするもの愛。



「・・・・・・ウチの親族、ロクデモナイな。」



正直なトコロ、『永遠の愛』が何なのかサッパリ分からない。『愛』なら解るよ、与えるモノでしょう? 『永遠の愛』となると一気に難しくなる。



『永遠』。始めも無く終わりも無く、時空を超えて果てしなく長く続く事。


『永』は長い、永久(とこしえ)、長くする事。


『遠』は遥か、久しい、長期に渡る。他にも疎い、回り遠い、奥深い、果てが無い。遠い所とか先祖とか、遠ざけるとか(たがう)って意味もある。




「ふぅ、何とか書き上げた。下書きだけどネ。ガブリエルに感想を聞こう。」


もうね、僕一人じゃドウにもナラナイよ。






いつもならピアノの音色が聞こえるのに、今日は全く聞こえない。屋敷を訪問し、裏口から庭に入った。なのに全く聞こえない。


嫌な感じがして、慌てて正面扉から中に入る。ピアノ室に思い人は居らず、別棟中を探し回った。






「そんな・・・・・・嘘、だろう。」


遠目からでも判る。寝台に横たわるガブリエルは、もう息をしてイナイ。


「どうして。」


動かなくなったガブリエルの頬にソッと触れ、ウィリアムは呟く。三つの目に涙を浮かべて。




悲しみ嘆いたウィリアムは立ち上がり、ガブリエルを蘇生するために力を解放する。


同星人の蘇生は禁止。異星人へのソレが認められるのは一惑星に一個体で、二度と会えなくなるのが鉄則。それさえ遵守じゅんしゅすれば罪に問われない。




「お願いだよ、戻ってきて。」


命を繋げる事には成功した。しかし、魂の定着には失敗。このままではいづれ、衰弱死してしまう。


「間に合わなかったのか。」


フラフラと立ち上がり、見上げた。涙がこぼれないように。


「あっ。」


ウィリアムは幼い頃、祖母から聞いた話を思い出す。大いなる惑星で語り継がれている伝説を。






恋人を失った男が力を解放し、恋人を救った。肉体に命が戻り蘇生に成功するも、その魂は戻らない。


どうしても諦められなかった男は、恋人が好きだった旋律を心を込めて歌った。『行かないで、愛しい人。一人にしないでおくれ』と願いながら。



淡い光が恋人の体を包み、吸い込まれた。愛しの君がユックリとまばたきし、男に微笑む。魂が戻ったのだ。


熱い抱擁ほうようを交わし、『永遠とわの愛に生きる』と誓った二人は周囲の反対を押し切って結婚。末永く幸せに暮らしましたとさ。






「諦めない。君はね、もっと幸せにならなきゃイケナイんだ。」


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