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お題 初雪・盲目

作者: しののめ

世の中には数えきれないほどの色が溢れているらしい。

赤、青、黄色。ねずみ色、虹色。どうやら言葉に表せないような色も存在しているようだが、私にとっては全て等しく黒、という色だそうだ。どこまでいっても私はこの一色しか知らないし、この一色の世界で生きてきた。



キャスター  駅前では…こちら一部凍結してしまっている箇所も見られますね。

       明日朝にかけて全国的に大雪になる見込みですが、

       普段雪が降らない場所でも

       積雪が10cmを超えている地域もあるようです。


点けたままになっていたテレビから、ニュースキャスターが注意を促している。どうりで寒い訳だ。きっとこの地域にも雪が積もっているだろう。


自分  雪…見てみたいな…。


初めてそう思った。いや、本当はずっと見てみたかったのかもしれない。だけど、危ないことは避けて生きてきた。周りに迷惑を掛けるくらいなら我慢した方が良いと思っていたから。

だから、どうしてこの日外に出てみたのかは分からない。どうして雪が見たかったのかは分からない。一色しかない世界に飽きていたのかもしれない、我慢をすることが限界だったのかもしれない、誰かに迷惑を掛けてみたかったのかもしれない。


玄関を開けると冷気が飛び込んできた。恐る恐る足を踏み出す。二歩、三歩と進んでいくと不意に、サクッ、と軽い音がした。

ぎゅっと踏みしめてみる。これまでになかった感触が、靴の裏、靴下を通して僅かに足の裏に伝わってくる。

ゆっくりとしゃがんで、地面にそっと手を伸ばす。鋭く冷たい物に手が触れる。

そうか、これが雪。



初めて触れた雪は冷たくて、思ったより硬かった。初めて雪の色を知った


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