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第2話 東方の島国アスカ(3)

 魔王国を出発して五日後、ルナたちはアスカへの密入国に成功していた。


 人気の無い海岸沿いに乗ってきた潜水艇を隠し、ルナ達はアスカの協力者を待っている状況なのだが、


 「はぁ〜気持ちいい」


 「水着持ってきて正解でしたね♪」


 ルナとミサは密入国者という立場を忘れて海水浴を楽しんでいた。


 「フォーリアとロゼは入らないの?」


 「私は大丈夫ですのでお構いなく……」


 「だな、俺達は周囲の警戒しとくからゆっくりしとけよ」


 とルナの誘いをフォーリアとロゼは断り、辺りの探索に出掛けてしまった。


 「振られちゃいましたね♪」


 「まぁ状況的には呑気に海で水浴びしてる私達がおかしいんだけどね」


 とそんな会話をしながらミサとルナは浮き輪で海を漂いながら羽を伸ばしていた。


 潜水艇での約五日間は快適とは程遠く、当然その間水浴びなど出来なかったので、海水とはいえ水浴びが出来るのは嬉しいことだった。


 (そういえばリーシャも水浴びが好きだったっけ)


 ルナとリーシャとフォーリアの三人で旅していた時を思い出してルナは懐かしい気持ちになる。


 「そういえばオニヒメ達はどこに行ったの?」


 気付いたらいなくなっていたオニヒメとオニキシの事をミサに尋ねる。


 「オニヒメちゃんならお腹空いたーって言って森の中に入っていきましたよ♪オニキシ君もついて行きました♪」


 「まとまりないなぁ……、でも私達が言えることでもないか〜」


 「ですです♪」


 そういえば潜水艇に乗ってる時も「肉!肉が食べたいのじゃ!」とオニヒメが騒いでいたのを思い出してルナは苦笑する。


 「でもなんでこんないいビーチなのに人がいないんだろ?」


 ルナは辺りを見渡すが人の気配はあまり感じられない。背面が森になっているとはいえ、綺麗な砂浜に底まで見えるほど透き通った海、そして程よい暖かさと冷たい水温、間違いなく環境の良いビーチである。


 「もしかしてアスカには海水浴っていう文化はないのかな?」


 「いや、普通にあると思いますよ♪」


 ルナの疑問にミサはそう答えた。


 「じゃあなんで?ここが立ち入り禁止区域とか?」


 「それも違います♪」


 ルナの予想はことごとく外れ、降参とばかりに両手を上げてミサに答えを求める。


 「えーとですね♪ここら辺の海は…………、」


 と言ったところでミサは言葉を止める。ルナの方を見ているが視線はルナに向いていない。まるでルナの後ろにいる何かを見ているようであった。


 「えぇーと……、ミサ?」


 ルナはだんだんと嫌な予感がしてきた。心なしか背後から呻き声が聞こえる気がするが、気のせいであってほしいとルナは願う。 


 そしてミサは「テヘッ♪」とあざとく舌を出しながら自分で頭を軽くゲンコツし、


 「ここら辺の海には凶暴な魔獣がたくさん生息しているんです♪」


 ミサの言葉と同時にルナは振り返った。するとそこにはでかい触手をうねうねと動かしているタコのような化け物がいた。


 「…………………………………………」


 ルナとタコのような魔獣はしばらく見つめ合い、


 「逃げろぉぉぉぉ!」


 魔獣が触手を動かしたと同時にルナ達は浮き輪を捨て浜辺目掛けて一直線に泳ぐ。しかし魔獣の触手の方が早くあっという間にルナとミサは触手に捕まってしまった。


 「ヌメヌメ、ヌメヌメしてる!」


 触手はルナの身体全身にまとわりつき、触手から出る粘液で既にルナはベトベトになっていた。


 「あん♪いやらしい魔獣ですね♪」


 ミサもミサで触手に身体全身をまさぐられて喘ぎ声を出している。


 「ヒャッ!」


 触手がルナの胸をいやらしく締め付け始め、ルナは思わず変な声を出してしまった。そして胸、太もも、お尻と触手は敏感なところを舐めますようにウネウネと絡みつく。


 「ちょっ!エロい同人誌みたいになってる!条例に引っかかる!」


 「あは♪何言ってるか……あん♪全く分かりませんよ♪」


 ルナはパニックのあまりそんな事を騒ぎ出し、相も変わらずミサは喘ぎながら楽しそうにルナを見ていた。


 「それじゃあルナちゃん♪そろそろ殺っちゃってください♪」


 とミサはルナにこの魔獣を倒すよう促す。それにルナは、


 「言われなくても!」


 と言って魔力を高めて魔法少女へと変身しようとした時、


 「…………大丈夫?」


 浜辺の方からそんな声が聞こえてきたので、ルナは触手に抵抗しながらそちらの方に目をやる。


 「…………女の子?」 


 そこにはルナより幼い外見の銀髪の少女がこちらを見ていた。そしてその少女はルナ達が魔獣に襲われていると分かると、


 「…………待ってて」


 とだけ言って()()()()()()()、そしてどこから出したか分からない少女の身の丈より大きい刀を手に持ち、魔獣の懐へ一気に近づくと、


 「…………おしまい」


 気付いた時にはルナとミサは触手から解放され、魔獣は木っ端微塵に切り刻まれていた。


 「…………この辺は危ないのがいっぱいいるから気を付けね、お姉ちゃん」


 そう言い残し銀髪の少女は姿を消した。

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