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第2話 東方の島国アスカ(1)

 「出発は二週間後だ。それまでの間は準備を頼む」


 ヒナギのその言葉と共に幹部会は終了し、ルナは屋敷に戻ってリビングのソファーでくつろいでた。


 「はぁ〜、無事に終わって良かった〜」


 ルナは他の魔王軍幹部に会うのを少し緊張していたが、レーベクスもバルティックもルナ達を歓迎してくれた事に安心した。


 「それにしても来て早々にアスカって所に行くのか……」


 ルナは当然アスカの事を先程聞いた事以外に何も知らない。不安はあるが、ヒナギ曰くそこにリーシャを甦らせる手掛かりがあるかもしれない。それだけで行く理由は充分であった。


 「でも準備って何をすればいいんだろ……」


 ……………………………………………………………………………………


 ルナは少し大きめな独り言を呟くが、その声に誰も反応しない。…………というより、屋敷には今ルナ一人しかいなかった。


▽▽▽

 「そうだ。レーベクス、バルティック、ルナの副官のフォーリアとロゼ、二人の面倒を見てくれないか?」  


 幹部会終了後、各々が解散しようとしていたところにヒナギが二人の幹部に声を掛ける。


 突然名前が上がったフォーリア、ロゼ、レーベクス、バルティックは「「「「ん?」」」」とヒナギに視線を向け、


 「いやなに、アスカに行くまでの二週間、フォーリアとロゼの二人にはレーベクスとバルティックから稽古をつけてもらえればと思ってな。アスカでは何が起きるか分からない現状、少しでも魔人の力を扱えるようにした方が良いだろ」


 とヒナギが事情を説明する。


 「なるほど、確か二人は昨日魔人になったと言ってましたな。拙者は構いませぬぞ」


 バルティックはヒナギの提案に頷きながら了承し、


 「俺も構わないぜ!鍛えるのは俺の専売特許だからな!」


 とレーベクスも笑いながら親指を立てて了承する。


 「二人とも感謝する。……というわけでフォーリアはバルティックに、ロゼはレーベクスに稽古をつけてもらってくれ」


▽▽▽

 「なんかこっちは有無を言わさず……って感じだったなぁ」


 ルナは回想を終え、一人寂しく呟く。しかしフォーリアもロゼも強くなれるならと張り切ってレーベクスとバルティックについて行ったので、当然ルナに引き止める理由なんてなかった。


 「とはいえ……だ、こうも大きい屋敷に一人でいるのは落ち着かない」


 ソワソワしてしょうがないルナは、屋敷を出て散歩がてら国を見て回ろうと思い立ちソファーから立ち上がった時だった。


 チリーン、チリーン


 屋敷にチャイムの音が鳴り渡り、この屋敷に誰かが訪ねてきたことを報せる。


 「誰だろ?またミサかな?」


 そんな事を考えながら歩き出しドアを開けると、そこには意外な人物が立っていた。


 「どうも先程ぶりです」


 「ええーと……、オニキシさんだっけ?」


 「はいそうです!」


 オニキシ……、一緒にアスカに行くことになった幹部オニヒメの副官が一人玄関に立っていた。


 「ええーと、ご要件は?とりあえず中に入りますか?」


 「あぁいえ、大丈夫です。……それよりルナさんは出掛けるところだったのですか?」


 ルナは外に出るようにリビングに置いてあった帽子を手に持ってきたので、それを見てオニキシは尋ねた。


 「まぁね、一人で暇だし少しぶらつこうかと」


 と答えると、


 「それはちょうど良かった!私は今から師匠に訓練をしてもらうのですが、一緒にいかがでしょうか?」


▽▽▽

 「助かるよ、ちょうどこの前近接戦が得意な相手にやられたところだったから」


 オニキシの隣を歩きながらルナはそう伝えた。なんでもオニキシは日課で師匠に稽古をしてもらっているようで、ヒナギからルナは近接戦が苦手と聞いて誘いに来てくれたらしい。


 「それで師匠っていうのは誰なの?」


 「もう少しで着きますよ……、あっ!お疲れ様です、師匠!」


 そう言ってオニキシが視線を向けたのは、


 「あれ?ダーウィンじゃん」


 「おおルナ殿ではないか」


 ダーウィンの方もルナに気づき手を振ってくる。


 「あれ?師匠はルナ様とお知り合いなんですか?」


 「あぁ、剣を交えたこともあるし共闘した仲でもある」


 とオニキシにダーウィンは説明する。


 「改めてルナ殿、幹部就任おめでとうございます。これからも同じ仲間としてよろしく頼みます」


 「こっちこそよろしくだし、この前はありがとね」


 とルナはルキアートとの戦いで一緒に戦ってくれた事のお礼を伝える。


 「いえ、あれはルナ殿の力あってこそですよ。……それでルナ殿は何故オニキシと一緒に?」


 ルナはダーウィンに二週間後アスカに旅立つこと、近接戦闘が苦手なルナはオニキシに誘われてオニキシの師匠に一緒に稽古をつけてもらおうと思い来た事を説明する。


 「なるほど……事情は分かりました。私のような若輩が教えるのは恐縮ですが、昔は剣聖と呼ばれた身、そのご期待に応えてみせましょう」


 そう言うとダーウィンは剣を抜いて構える。


 「ええ、よろしく頼むよ!」


 ルナも魔法少女へと変身し、ダーウィンと向かい合った。


 そして各々が特訓の日々を過ごして二週間が経ち、ルナ達はアスカへと出発した。


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