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第1話 魔王軍幹部会(10)

 ヒナギは幹部会開始宣言をすると再び玉座へと腰をおろし周囲を見渡す。


 「先程それぞれが自己紹介をしていたと思うが改めて俺から……、この度新しく幹部として迎え入れる事になった魔法少女のルナだ。既に把握してると思うが昨日の内に七芒星結界の紐付けもしているし、戦闘能力も先の戦いで大臣ロイターの撃破と聖騎士相手に互角の戦いをしてくれた」


 とヒナギはルナのエルフの集落での戦いにおけるルナの活躍を話す。


 (互角……だったのかな?ルキアートは最終的に退けたけどそれまでは一方的に押されてたし、城ではミラージェ相手に手も足も出なかったんだけど……)


 とルナは内心で自分なりに振り返るが、特に口出しはしないようにした。


 「とまぁ、俺の独断でここまでルナを連れてきたのだが……、何か不平不満ある奴はいるか?」


 ヒナギは他の幹部達をぐるっと見渡して尋ねる。その問いに誰も不服の声はあげず、「せやろ、せやろ」とナロは頷きながら満足そうにそう呟いた。


 「よし!それではこれをもってルナを正式に七人目の幹部として迎え入れる!これからもよろしくな!」


 そう言ってヒナギはルナの方を向く。そしてルナは席から立ち上がり、


 「まだこの国の事、それにこの世界の事と知らない事は多いけど、大事な仲間を蘇生させる為、そして人間と魔族、みんなが仲良く平和に暮らせる世界を作る為に私の持つ全ての力を捧げる覚悟はあるので、みなさんこれからもよろしくお願いします!」


 と挨拶しつつ自己表明をし、ルナは頭を下げる。


 「ハッハッハッ!」


 ルナの言葉を聞き終えた獣人王(ビーストキング)レーベクスは大声で笑い出し、


 「面白い!面白いぞ!!平和な世界……、そんな夢物語を堂々と語るのは魔王だけだと思ったぞ!」


 そう言って腹を抱えながらヒナギを見る。そしてレーベクスは再度ルナを見て、


 「だが俺達もそんな夢物語に惹かれてここにいる!お前の覚悟はしかと伝わった!これから一緒にそんな夢物語を実現しようじゃねえか!」


 そう言って歓迎の証と言わんばかりにレーベクスは大きな拍手をし、それに合わせて他全員も拍手をした。


 「ありがとう!改めてよろしくね!」


 そう言ってルナは笑顔をみんなに向けた。


▽▽▽

 ルナの幹部入り承認を終えた後、ヒナギはこれからの方針を話し合う為にと先日の出来事をみんなに話し始めた。


 「ほほぉ、魔王殿が以前より探っていた聖王国の因縁の男というのは将軍であったか」


 ヒナギの話を聞き龍人王(ドラゴロード)バルティックは顎に手を添えそう呟いた。


 「バルティック、奴を知っているのか?」


 「拙者も実際に見た事はないのであくまで聞いた噂になりますが……、聖王国が誇る三大軍事力、その一角の聖王国正規軍のトップに立つのが通称将軍と呼ばれる男、己の武のみで聖騎士達と匹敵する力を有するとのことですぞ」


 「なるぼとなぁ……」


 バルティックの言葉にヒナギは将軍シリウスとの戦いを思い出しているのか苦い表情を浮かべる。


 「ごめん、聖王国の三大軍事力って何?」


 ルナは手を挙げで先程出た言葉で気になった事をバルティックに質問する。


 「うむ、まずは先程言った将軍率いる聖王国正規軍、そして聖王国の科学者が開発を担う魔道兵器、そして一人一人が絶大な戦力を持つ少数精鋭の聖王直属の部隊である聖騎士であるぞ」


 とバルティックは丁寧に教えてくれた。


 「やはり問題は戦力差……だな」


 とヒナギは呟く。


 「となるとやはりこれまで通り、まずは味方になってくる仲間を探していくしかないか……」


 と今後のざっくりした方針をヒナギは口にする。


 「そういえば魔王様よ、その事でアンジュから連絡が届いておったぞ」


 とオニヒメが一枚の手紙らしきものを手に持ち、それをヒナギに渡す。


 「すまん、少し読ませてもらうぞ」


 そう言うとヒナギは手紙の封を開けて読み始める。


 「ねぇアンジュって?」


 ルナはヒナギの邪魔にならないよう小声で隣のナロに尋ねた。 


 「アンジュは魔王様のもう一人の副官やね。だいたいいつも各地を巡って色々と探ってるんよ」


 と教えてくれ、そしてちょうどタイミングよく手紙を読み終えたヒナギは「……なるほど」と呟き、


 「アンジュからの報告だ。どうやら東方の小さい島国であるアスカが俺達の手を借りたいと申し出ているらしい」


 そのヒナギの言葉にルナ以外の幹部は驚く。


 「あのアスカがか?」


 代表してナロがヒナギに質問する。


 「あぁ、何でも秘密裏にアスカにいる異形を討伐して欲しいとの事だ」


 ヒナギは手紙をヒラヒラさせながらそう答える。


 「ごめん、アスカってどういう国なの?」


 ルナは話を遮ってしまった事を謝りつつ質問をし、


 「アスカは普段、外界との交流を極力断っている島国でな、聖王国側にも魔王国側にもつかない中立国なんだよ」


 とヒナギは説明した。そしてその後少し考え、


 「丁度いいな、ルナ、アスカに向かってくれないか?」


 とヒナギはルナに告げる。


 「えっ!私で大丈夫なの?土地勘とかその国の事何も知らないけど」


 ルナが不安げに尋ねると、


 「大丈夫だ、一緒にミサを同行させる。それにアスカには色々と不思議な医療技術があると言われてるんだ、リーシャ姫を救う手掛かりが見つかるかもしれない」


 とヒナギはミサとルナを交互に見て自分の考えを伝える。


 「それとオニヒメ、お前にも一緒にアスカに向かってほしい」


 と今度はオニヒメの方を見てそう告げる。


 「ふむ、ワシもか」


 そうオニヒメが返事をするとヒナギは深刻そうに、


 「あぁ、どうやら討伐して欲しい異形というのは鬼族の中でも最上位種、吸血鬼らしい」


 と告げた。

 


 

 

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