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第1話 魔王軍幹部会(9)

 「みんなお待たせ、準備できたよ」


 着替え終わったルナは居間で待っていたフォーリア達に声を掛けた。


 「それじゃあ行きましょうか♪」


 ミサはそう言うと転送魔法の準備を始める。そもそもミサはこの後魔王城で行われる幹部会にルナ達を案内する為にここに来たようで、それで今からみんなで魔王城に向かう事となったのだ。


 準備を終えたミサが指パッチンをすると転送魔法は発動し、ルナ達は一瞬で魔王城の居間に着いた。


 「おお、来たか」


 居間の一際大きい一人掛けのソファーに座っている魔王ヒナギはこちらに気付き手を振ってくる。


 「…………なにそのイス?」


 「ん?カッコイイだろ?俺専用の玉座だぜ」


 とわざとらしく肘掛に寄っかかりながらヒナギはドヤ顔を披露する。


 「玉座ねぇ…………」


 ルナはその玉座を見てそう呟く。ルナの想像する魔王の玉座とは背もたれが異様に高く、ゴテゴテに派手な装飾が施されているものである。その為ヒナギの座る玉座(ソファー)には違和感しか持てなかった。


 「おぉ!久しぶりじゃの!」


 ルナにとって懐かしい声が聞こえてきたので振り返ると、


 「あっ!久しぶりです、オニヒメさん!」


 最初にヒナギと出会った時に一緒にいたオニヒメの姿があった。


 「敬語なんてよいぞ、ワシ達は同じ幹部なんじゃし」


 そう笑顔を浮かべて言ってオニヒメは大きいテーブルの適当な席に腰を下ろす。


 「オニヒメ様、この者達が?」


 オニヒメの背後に立っていた大柄な男がルナ達を見てオニヒメに尋ねる。


 「そうじゃ、今回新しくワシらの仲間となり幹部となったルナじゃ」


 「そうでしたか」


 そう言うとその大男はルナの方を向き、


 「はじめまして、自分はオニヒメ様の副官のオニキシと申します。以後よろしくお願い致します」


 とキリッとした表情で礼儀正しくオニキシはルナに挨拶をする。


 「よろしくお願いします、改めて新しく幹部になったルナっていいます」


 ルナもオニキシに挨拶を返す。


 「おっルナ、昨日ぶりやなぁ」


 すると今度は居間に入ってきたナロがルナに声を掛けてくる。


 「あっ、昨日はありがとねナロ」


 「ええて、ええて、それよりルナも座ったら?」


 昨日のお風呂のお礼を告げるとナロは手を振って気にしないよう伝え、ルナの隣にあった席に座って、ルナにも座るよう促す。よく見ると居間には玉座の他に七つ席がある。どうやら幹部の分の席が用意されているようだ。


 ルナは促されるままナロとオニヒメの間に座り、その後ろにロゼとフォーリアが立つ。


 「今日って幹部全員集まるの?」


 「いや、全員は来ないぞ」


 ルナの質問に答えたのはヒナギであった。


 「本当は全員集まってルナを紹介したかったんだが、ユリウスは俺の頼みで昨日から動いてもらっているし、一人は別の任務でこの国をしばらく離れているんだ」


 「ていうことは俺達で最後だな」


 「そのようですな」


 ヒナギの言葉に続くかのように二人の男が居間に入ってきた。


 「おぉ、お前たちで最後だ」


 ヒナギが彼らに手を振ると二人の男はヒナギに会釈をしルナ達の対面側の席に座った。


 「ほほぉ……」


 ちょうどルナの真正面に座った男は笑いながらも鋭い視線をルナに向け、


 「魔力を隠しているのか?ちょっと貴様の力を知りたいから魔力を纏ってみろ」


 とルナに告げた。


 ルナは一度ヒナギの方を向き、ヒナギが頷いて了承したのを確認すると、


 「魔法変身(マジェリーゼ)!……これでいいかな?」


 指輪に口付けし魔力を引き出して魔法少女へと変身し、尋ねてきた男に聞き返す。


 「ふむ魔力量はかなりのものだな。……よし!そのまま俺に向かって思いっきり攻撃してみ……」


 「い・い・加減・に……しろ!」


 その男の横に立っていた女性が勢いよくその男の頭を叩いた。


 「イテテ……、おいなにすんだ……」


 「なにすんだはこっちのセリフだ!魔王様の城を壊す気か!?それに挨拶も無しに失礼だろうが!」


 一方的に怒鳴られた男は頭を掻きながら、「おぉ、そうだったな!」と言ってルナの方を改めて向き、


 「自己紹介が遅れて済まないな!俺は魔王軍幹部が一人、獅子王(ビーストキング)のレーベクスだ!宜しくな!」


 と大声で笑いながらレーベクスはルナに握手を求めた。


 「よ、宜しくお願いします!」


 大声に少し萎縮しながらルナは握手をし、レーベクスの容姿を見る。


 (獅子王(ビーストキング)って事は獣人なのかな?)


 レーベクスはまるでライオンのような金髪に筋肉ゴツゴツの体格で、ルナがこの世界で会った誰よりも存在感を強く感じられた。


 「お見苦しい所を見せてしまい、このバカに代わって謝罪します。あっ、私はこのバカ(レーベクス)の副官をしてます二ーリスと申します」


 とレーベクスとは対称的に丁寧で礼儀正しく二ーリスの名乗った女性はルナにお辞儀をした。


 「おいおい主人に向かって馬鹿馬鹿言い過ぎだぞ」


 「…………なら言われないように気をつけろや!」


 とどうやらレーベクスに対しては態度が変わる二ーリスは再びリスレーベクスに説教を始め、


 「相変わらずお前達は騒がしいな。…………さて、では拙者も遅ばせながら自己紹介させて頂こう。拙者も魔王軍幹部を任されている龍人王(ドラゴロード)のバルティックと申す。これからも宜しく頼むぞ魔女っ子よ」


 もう一人の男、一本の角と全身黒と赤の鱗で覆われ、大きな尻尾を持つバルティックがルナに声を掛けてきた。


 「魔女っ子…………、どうも魔法少女(・・)のルナです!」


 ルナは少女の部分を強調してバルティックに挨拶をする。それにバルティックは「これは失敬魔女っ子殿」と言い直すことはなくゲラゲラと笑いながらルナと握手をした。


 「ナロとバルティックのところの副官は欠席か?」


 「せや、ウチが離れてた分の仕事をお願いしとる」


 「うむ、拙者の副官も別用件を頼んでる故今回は一人である」


 とヒナギの問にナロとバルティックは応え、


 「よし、自己紹介も終わったようだし、魔王軍幹部会を始まるぞ!」


 とヒナギは玉座から立ち上がりそう宣言した。

 

 


 

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