第1話 魔王軍幹部会(6)
「「ロゼ(殿)ー!!」」
「うおっ!なんだ!」
カルメアに指摘されたルナとフォーリアは急いでお風呂から上がり、ロゼのいる部屋へと走った。
仲間(風呂上がりの女子二人)がいきなり来て驚くロゼだが、そんなロゼをお構い無しにルナとフォーリアはロゼの顔をジロジロと見る。
「やっぱり…………」
「ですね…………」
ロゼの顔を見てルナとフォーリアは見つめ合う。ロゼの容姿はフォーリアと同様、薄い緑髪に左の瞳が青のオッドアイといった魔人の姿のままであった。
「一体なんなんだよ…………」
ルナとフォーリアの様子を不審に思ったロゼに、ルナとフォーリアはお風呂での出来事を話した。
▽▽▽
「うわぁ、ホントだ」
ルナの話を聞いたロゼは部屋にあった鏡で自分の顔を見て驚く。ロゼもルナ達と同様、自分やフォーリアが元の姿に戻ってない事に気付いていなかったようだ。
「本っ当にごめん!」
ルナはお風呂場でフォーリアにしたようにロゼにも謝罪をする。
「あっ、いや、謝んないでくれ」
頭を下げているルナに慌てつつ、ロゼはルナの肩を叩いて頭を上げるように促す。
「別にこの事でルナに怒るなんて事はねぇよ。むしろ俺に戦う力をくれた事に感謝してるくらいだ」
とロゼもフォーリア同様、勝手に半魔人にしてしまった事をルナに気にしないよう伝える。
「俺もフォーリアと一緒だ。ルナ、俺もルナの眷属にしてくれ」
とロゼはルナに頭を下げる。その心中には亜人であり魔族の少女ミリーを思い浮かべて。
「話はまとまったみたいですね♪」
ロゼが眷属の契約を希望した直後に、タイミング良くミサが部屋に入ってきた。
「折角ですしこのまま眷属契約の儀式をやっちゃいましょう♪」
ミサはそう言うと魔力を高め始める。それに伴いミサの頭部から二本の黒い角とお尻から黒の細い尻尾が生え、ルナがイメージしていた悪魔の容姿にミサは変化する。
そしてミサが手の平を下に向けると床から黒の魔法陣が浮かび上がり、それを確認したミサはルナ達の方を見て、
「準備はオッケーだよ♪用意できたらルナちゃんと一人ずつこの中に入ってきてね♪」
とウインクをしてルナ達にそう告げた。
「ええと…………」
トントン拍子に進んだ事に少し戸惑いながらも、ルナも覚悟を決めフォーリアとロゼの顔を見て、
「じゃあ改めて……、私の眷属になってこれからも力を貸して」
そうルナは二人に伝える。
そしてルナの言葉を受けフォーリアとロゼは、
「「喜んで」」
力強い言葉でそう返した。
▽▽▽
「では私から」
そう言ってフォーリアはルナと共にミサの作り出した魔法陣の中へと入る。
「!?」
魔法陣に足を踏み入れた瞬間、ルナは自身の体内にある魔力が昂るのを感じた。
「今ルナちゃんの魔力をきちんとフォーリアちゃんの魂に刻み込めるように魔力を強制的に高めてるから少し我慢してね♪」
ミサはルナにそう言うと魔力の調整を始め、魔法陣が黒く光り出すと同時にルナの魔力も落ち着いてきた。
「これで準備完了です♪ではでは、ルナちゃんとフォーリアちゃんは魔法陣の中央に来て下さい♪」
ミサの言葉にルナとフォーリアは頷いて魔法陣の中心へ進む。
ミサは二人が所定の位置に立ったことを確認すると、
「じゃあフォーリアちゃんはルナちゃんに向き合って膝まづいて下さい♪そしてルナちゃんは右手をフォーリアちゃんの前に出して下さい♪」
とルナとフォーリアに指示を出す。
その指示通りに二人は動き、
「大丈夫だと思いますが眷属契約の儀式は互いに心から信頼し合ってないと成立しません。ですので今から儀式を始めますが二人とも互いに心の中で相手の事を強く想って臨んで下さい♪」
とルナとフォーリアそれぞれの顔近くまで近づいてミサはそう告げる。
それに二人が頷いたのを満足気にミサは確認し、
「それじゃいよいよ儀式を始めます♪まずルナちゃんは差し出している右手に魔力を集中させて下さい♪」
ミサの指示にルナは頷いて静かに目を閉じ、右手に魔力が集まるよう集中する。すると集まった魔力と魔法陣が反応し合い、ルナの右手は淡く光り始めた。
「はいそれじゃあ次はフォーリアちゃん。ルナちゃんの右手に魔力を吸い取るのを意識しながらくちづけをしてください♪」
フォーリアもミサの指示に従って言われた通りルナの右手を自身の手で支えつつ、膝まづいたまま優しくルナの右手の甲にキスをした。
(なんかよく漫画で見るお姫様と騎士の忠誠の誓いみたいだな)
ルナは少し恥ずかしくなりながらもそんな事を思った。
そして次第にルナの右手同様にフォーリアの身体も淡い光が包み込み、やがてその光はフォーリアの中へと吸い込まれていった。
「はいお疲れ様です♪これで無事にフォーリアちゃんはルナちゃんの眷属として魔人になりました♪」
ミサのその言葉と同時に魔法陣からも光は消え、ルナとフォーリアは魂で結ばれた一生の眷属関係になった。