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第1話 魔王軍幹部会(3)

 「お邪魔しまーす」


 ルナ達はヒナギの家……もとい魔王城に入った。


 城の中は外観のイメージ通りで、前の世界での大きい一軒家みたいな間取だった。強いて言えば居間が他の部屋よりかなり広いなぁとルナは思う。


 それでもやはり、"魔王城"と言われると違和感は拭えなかった。


 「あっ♪お帰りなさい!魔王様♪」


 家の中を歩いているとキッチン?らしき部屋から一人のメイドが顔を覗かせてきた。


 「ただいま、ご飯の用意は?」


 「もうすぐできますよー♪……そちらが言ってたお客様?」


 そう言ってメイドはルナ達を見てニコッと笑い、「ごゆっくりー♪」とメイド服の裾を掴みお辞儀をする。


  「とりあえずご飯でも食べながら今後の事を話そう。その時に彼女の事も紹介するよ」


 そう言ってヒナギはダイニングルームへとルナ達を案内した。


▽▽▽

 案内されたダイニングルームには8人がけの机と椅子が置いてあり、その机の上にはいくつかの完成した料理が美味しそうな匂いをさせつつ置いてある。


 「お待たせしまたー♪コレで料理は全部です!」


 そう言って最後の品を手に持ちメイドの少女が入ってきた。


 「よし、それじゃあ頂こうか!」


 そう言ってヒナギはルナ達に座るよう促し、ルナは近くの席に腰を下ろす。そしてルナの隣にフォーリアとロゼが、ルナの正面にヒナギとその隣にメイドが座る。


 「まずは紹介からだな、コイツはミサ、俺の城ではメイドとして働いている」


 そう紹介されたメイドの少女ミサはルナ達に手を振り、


 「初めまして!ミーサクレムリン・ロシテューデって言います!名前長いので気軽にミサって呼んでください♪」


 と笑顔で挨拶をする。それに続いてルナ達も簡単に自己紹介をして食事を始める。


 ミサは「あっ♪お飲み物注ぎますね!」と言ってそれぞれの空のグラスに葡萄ジュースらしき飲み物を注ぐ。その姿はまさにイメージ通りのメイドであった。


 綺麗な金色の髪をツインテールで結って、頭には白のヘッドドレス。メイド服もルナのよく知る白黒の王道なメイド服で、スカートは短いものの白のニーハイを履くことで清純さが伝わってくる。


 「それじゃあまずは魔王軍幹部就任おめでとう……とでも言っておこうか」


 とヒナギは意地の悪い笑みでルナをからかう。


 「やっぱり幹部入りは決定なのね…………あっ!これ美味しい!」


 ヒナギの言葉に溜め息が出るが、ミサの料理を食べてそんな気持ちは吹き飛んだ。


 ミサの作る料理は家庭的……というよりお袋の味を彷彿させるような、食べて安心する品ばかりであった。それに加えて聖王国での一件以来、まともに落ち着いて食事をとれていなかったので、心に染み渡るミサの料理にルナ達は次々と平らげていく。


 その様子を嬉しそうに「満足してもらえて良かったです♪」とミサは嬉しそうに眺めている。


 ひとしきり食べ終え、ミサは空いたお皿を片し始めると、


 「じゃあ改めて話を始めようか」


 とグラスを傾け気取りつつ(中身はジュース)ヒナギはルナ達に視線を合わせる。


 「半ば強引での形になってしまったが、ルナには俺達の仲間になってくれた同時に、幹部としての役目を務めてもらいたい。…………ここに不満はあるか?」


 ヒナギは表情を改め、再度ルナに魔王軍幹部になるかどうかの確認をとる。


 ルナにとっては幹部入りするのを断る最後の機会だろう。しかしルナは口では色々言ったが、本心では答えは決まっていた。


 「いきなりの事で驚いたし、私に務まるのか分からないけど……、リーシャの事、それにヒナギとの夢を叶える為にも出来る限りの事はしたい。…………だからなるよ、幹部に」


 「そうか……、ありがとう」


 ルナの答えにヒナギは満足そうに頷く。


 「では魔王軍幹部・魔法少女ルナ。これから幹部がどんなものなのかを説明するよ」


 ヒナギが「ミサ」と呼ぶと「はいはーい♪」とミサが一枚の地図持ってきた。それをヒナギが広げ、


 「これはこの国グランデリシャの地図だ」


 とルナ達に見せる。


 「この模様は?」


 ルナはその地図を見て真っ先に思った疑問をヒナギに尋ねる。その地図には円が描かれており、その中心に大きなマーク(恐らくここ魔王城)が記されており、そして円の線状には七つの点があり、その点が結ばれて七芒星が描かれていた。


 「まぁこの地図の中心は見て分かるように俺の城だ。そしてこの点が示すのが……」


 そう言ってヒナギは円周上の点を指差し、


 「魔王軍幹部、それぞれの拠点となる」


 とルナの方を見て答える。それから説明を続け、


 「幹部が等間隔の位置を拠点とし、彼らの魔力を中央に集める事でこの国は防御結界を張っているんだ。今いる幹部はそれぞれ副官クラスと一緒にそれぞれ割り振られた場所で生活している。……因みにミサも普段はメイドの格好して世話をしてくれるが、立派な俺の副官の一人なんだぜ」 


 その言葉に「こう見えて私、強いんです♪」としたり顔でミサはガッツポーズをしており、それにヒナギは特に反応せず「話を続けるぞ」と言う。


 「という感じでこの国は全体に七芒星の魔法陣を引いている訳なんだが、困った事に少し前、幹部の席が1つ空いてしまったんだ」


 そう言ってヒナギは地図上で1番北の点を指さす。


 「実際一人欠けても結界自体は作動する。しかしその強度はかなり劣ってしまう。そこで俺達は前々から新しい幹部候補を探していたんだ。…………そしてルナ、君に出会った」


 そう言ってヒナギはルナを見つめ、


 「幹部になってもらうのに際して簡単な儀式を行ってもらう。…………まぁ、七芒星結界の一角にルナの魔力を紐付けると思ってもらえばいい」


 これで説明は終わりといった感じでヒナギは地図を折りたたみ、


 「バタバタしてて大変だと思うが、聖王国の連中も最近活発になってきたから早めに七芒星結界を張り直したい。明日の夜には儀式を行いたいんだが大丈夫か?」


 一通りの説明を聞き、ルナは大体の事は把握した。ヒナギがやたらとルナを幹部入りさせたかったのも納得だ。


 「問題ないよ」


 説明を聞いたルナは儀式がどういったものなのか、という疑問はあったが特に都合が悪い事は無さそうなのでそう答える。


 「助かる……。ひとまず今日はゆっくり休んでくれ。この後、ミサにルナ達の拠点を案内させる。……そこが君たちの新しい家だ」


 とヒナギは笑顔でそう言った。

 


  


 

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