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第7話 聖魔事変〜前哨戦〜(6)

 「安心していいよ〜、この部屋は特別な魔道具によってね〜、どれだけ暴れても壊れない様になってるんだ〜」


 と指をポキポキ鳴らしながら笑みを崩さずミラージェは言う。


 「…………それはどうも!!螺旋魔力弾(スパイラルショット)


 相手はこの国最強の一派、聖騎士だ。俺は初っ端から高威力の魔法を放つ。


 螺旋魔力弾(スパイラルショット)はミラージェに直撃し、それと同時にフォーリアが追撃を仕掛ける為にレイピア片手に相手の懐まで一気に詰め寄った。


 「あれ〜、その程度なわけ〜」


 しかし当の本人はケロッとしており、螺旋魔力弾(スパイラルショット)ではまともにダメージを与えられなかったようだ。


 フォーリアも無傷のミラージェを見て一瞬驚く表情を見せたが、踏み込んだ勢いそのままに、鋭いレイピアの突きを打ち込む。


 しかしそのフォーリアの攻撃もミラージェは華麗に躱し、攻撃が空ぶった事で隙だけのフォーリアに回し蹴りを喰らわす。


 フォーリアはその蹴りをなんとか腕でガードをするが、勢いは殺しきれず、私の隣まで吹き飛ばされた。


 「大丈夫?」


 「えぇ、なんとか……」


 俺はミラージェさんから目を離さずフォーリアに尋ね、フォーリアもそう答えながらもミラージェを睨みつつ立ち上がる。


 「じゃあ〜、次はこっちから行くよ〜」


 そう言うとミラージェは身体全体に電流を帯び、拳を前に構える。


 そしてミラージェが踏み込んだ様に見えた次の瞬間には、彼女の姿は俺とフォーリアの前にあり、そのまま俺達二人に裏拳を繰り出す。


 その攻撃に俺達はギリギリで反応し、それぞれステッキとレイピアで何とか防ぐ。


 「フォーリア!」


 俺はステッキを構えてフォーリアに叫ぶ。


 フォーリアは俺の意図が分かったらしく、頷いてミラージェから距離をとる。


 そのタイミングで俺は大量の魔力弾(ショット)を一気に撃ち放つ。


 これまでの戦いを振り返って、ミラージェの戦闘スタイルは接近戦闘(インファイター)型なのだと理解し、先づは遠距離攻撃で牽制を試みる事にした。


 百は下らない魔力弾(ショット)がミラージェの正面から降り注ぐ。


 しかしこの攻撃もミラージェからしたら大したことは無いらしく、全ての魔力弾(ショット)を一つ一つ拳で弾いていき、それと同時に距離を取っているフォーリアに対しては電流を放ち、逆に牽制する。


 全ての魔力弾(ショット)を弾くと、ミラージェは方向転換し一気にフォーリアの懐に潜り込む。


 「じゃあ〜お休み〜」


 そう言うとミラージェは右手に電気を溜め、そのままフォーリアの鳩尾に拳を打ち込む。


 「ガッ………………」


 モロに喰らったフォーリアは呻き声をあげ、そのままその場に倒れ込んだ。


 「じゃあ後はルナちゃんだね〜」


 そう言ってミラージェは両手を広げ前に掲げる。すると彼女の両手の指から鋭い電流が流れ、10本に及ぶ電流の光線が四方八方から俺目掛けて撃ち放たれる。


 「くっ……!魔法防壁(マジックシールド)!」


 俺は全方位に魔力の盾を展開し、何とかこの攻撃を凌ぐ。


 しかしその隙にミラージェは俺の目の前まで距離を詰めており、フォーリアをダウンさせた雷の拳を構えていた。


 |(クッ、シールドを張ってもあの拳はそれを砕きながら俺にヒットする…………、それなら!)


 俺は一か八かステッキを前にかざし、


 「爆風魔力弾エクストリームショット!」


 自爆覚悟で特大の魔力弾をゼロ距離でミラージェに撃ち放った。


 魔力弾による衝撃で俺は吹き飛んだが、思ったよりダメージは抑えられた。


 そしてゼロ距離で直撃したミラージェは…………、


 「今のは効いたよ〜」

 

 と言いつつも、余裕の笑みは崩さずその場に立っていた。


 |(あれでも駄目なのか…………。コレはマジでヤバい)


 あまりの敵の強さに絶望しかけるが、ここで俺が負けたらリーシャがどうなるか分からない。


 「…………魔装変換・閃光ドレスチェンジ・ライトニング武装変換・双剣ステッキチェンジ・デュオ!」


 俺は近接スタイルに変身し、ミラージェとの間合いを図る。


 ミラージェも同様に仕掛けるタイミングを見計らい………………、


 俺とミラージェは同時に踏み込んだ。


 しかしその瞬間、


 「そこまでだ!」


 俺とミラージェの間に炎の壁が生まれた。


 この場において炎を出す者など一人しか思い浮かばない。


 俺とミラージェはその炎を出したルキアートに注目する。


 「ロイターさん、コイツらは魔族なんかじゃあない。それは俺が保証する!だからこの場はこれで終わりにしてくれないか?」


 とルキアートは頭を下げて(・・・・・)そう申し出た。


 「…………らしくないじゃん〜」


 ルキアートの行動にミラージェも驚いた表情を浮かべながらも、一旦拳を下ろす。


 「…………ルキアート君。何をしてるのか分かってるのかい?」


 ロイターはそんなルキアートを、興が冷めたような表情で見下ろす。


 それでもルキアートは頭を上げる事はしない。


 そしてロイターは深く溜息をつき、


 「どうされますか?…………我が王(・・・)よ」


 と後ろを振り向いてそう口にした。


 


 

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