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第6話 聖騎士(2)

 「ども〜、ミラージェ・バルツェです〜。一応聖騎士やってます〜。ルキアート〜、この子達が前に言ってた面白い子な感じ〜?」


 ミラージェさんの問いかけに「あぁ」とルキアートが答える。


 「なるほどね〜」


 ミラージェさんは俺達の顔を順番に眺め、面白そうに笑う。


 (何かギャルっぽい人だなぁ……)


 俺のミラージェさんに対する第一印象はギャル。口調もそうだが、見た目も金髪に少し日に焼けたかのような肌黒、胸元を大胆に開けた服からは豊満な胸の谷間がこれみよがしに強調されている。


 「じゃあ君がルナちゃんかな〜?」


 「あっ、はい。よろしくお願いします、ミラージェさん」


 「よろしく〜」


 ミラージェさんに名指しで呼ばれたので、俺は慌てつつも簡単に挨拶をする。


 「私はリーシヤです」


 「フォーリアと申します」


 「じ、自分はローゼット・ハミネって言います!聖騎士であられるミラージェ様にお会いできて光栄です!」


 俺に続いて三人も順番に挨拶をする。ロゼに至っては突然の聖騎士との対面に緊張してるのか、上ずった声である。


 「みんなもよろしくね〜。別にそこまで畏まらなくてもいいかんね〜。……特にローゼット君〜」


 とミラージェさんは可笑しそうに笑いながらそう言った。


▽▽▽

 一通り挨拶を済ませた俺達は席に着き、昼食を取り始めた。


 このお店は所謂コース料理のスタイルらしく、次々と料理が運ばれてくる。見たことの無い食材もかなり多かった(異世界なので当然である)が、どの料理もとても美味しく、さすが中層エリアに構えてるだけあると思った。


 食べている間の話題は、先日のユリウスの件が主だった。


 どうやらあの戦いの後、ルキアートは広範囲に渡ってユリウスを捜索したのだが、結局見つける事は出来なかったらしい。「次会った時はぜってぇ燃やす」と仕留められなかったのを根に持ってるのか、ダンッと軽く机を叩く。


 「ほんとルキアートはさぁ〜、ユリウス嫌いだよね〜」


 「あの野郎はとにかくムカつくからなぁ」


 とそんな会話をしている内にコースの最後であろうデザートが運ばれてくる。名残惜しいがケーキのようなデザートを食べ、一段落したところで、


 「ここにいたのか、やっと見つけたぞ」


▽▽▽

 声を掛けてきたのは白銀の鎧を見に纏った男性であった。その男性はちょうどルキアートの背後に立っており、その声に釣られてルキアートが振り向くと、


 「なんでテメェがいるんだよ……」


 とあからさまに不機嫌な態度をルキアートがとる。


 「おっす〜」


 「はわわわ」


 ミラージェさんはその男性に気軽に挨拶し、セリュスさんは慌てふためいている。というよりこのセリュスさんの反応からするに、もしかしてこの人も……。


 「別に貴様に用は無い。要件があるのはそちらの方々だ」


 とその男性は俺達を見る。その言葉に「ハンッ」とルキアートは笑い、


 「お生憎、今は俺の客人だ。用は俺のもてなしが終わってからにしやがれ」


 と中指を立てそう返した。


 その反応に溜息をつきながら、


 「王勅であってもか?」


 とその男性は答える。その言葉に何か察したのか、ルキアートは舌打ちをして正面を向き直す。


 その様子に「全くお前は……」と呆れたような声をしつつ、その男性は俺たちの方を見て、


 「名乗り遅れてしまいすまない。自分は聖騎士が一人、氷帝アイシェンという者だ。早速本題であるが、貴殿らが申し込みした王との謁見についてだが、この後行われることになった。自分が案内をするので、一緒に来て頂きたい」


 とやはり聖騎士であったアイシェンと名乗る男性は、礼儀正しく俺達にそう告げた。


 「い、いきなりですね」


 「王も多忙な身であるのでご了承ください。ちょうど食事も終えたようですので、このまま謁見の間に案内します」


 と俺達は挨拶する間もなく、アイシェンさんはそう言って先に店の出入口の方に歩いていく。


 「とりま〜、ウチらも上向かう〜?」


 「アイツと一緒にいるのは癪だけどな」


 そう言ってミラージェさんとルキアートも席を立ち、


 「私はここのお支払い済ませてきます」


 と言ってセリュスさんはカウンターの方へと向かって行った。


 そして残された俺達は軽く目配せをして、とりあえず当初の目的である謁見に早くもこぎ着けた事に変わりはないので、アイシェンさん達の後を追った。


▽▽▽

 そしてこの後の謁見こそが、楽しい異世界転生の終わりであり、魔法少女ルナとしての地獄の物語の始まりであった。


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