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第5話 聖王国ラミーリア(1)

 ユリウスとの戦いから1週間、俺達はハミネ町で準備を整え、遂に聖王国ラミーリアへ向かう日が来た。


 ルイスさんは約束してくれた通りに、ラミーリアまでの旅の食料や物資を全て揃えてくれ、そして出発の前日には聖王国の王様と謁見出来るよう口添えの手紙も書いて渡してくれた。


 その際に、


 「念の為にお伝えしますが、こちらは聖王様への手紙なので決してお渡しするまで中を開けてはいけませんよ」


 とルイスさんに言われた。


 まぁ、人への手紙を勝手に読むのはマナー違反というのは俺の元いた世界でも当たり前の常識だし、


 「分かってますよ」


 と言って俺はお礼を言いつつ手紙を受け取った。


 ロゼは出発前にお世話になってる町の人達に挨拶をしてくると言って今は離れており、その間俺達は地図を見ながら聖王国までの道のりを再確認していた。


 「ここから聖王国までは約5日だっけ?」


 「はい。ただその道中に立ち寄れる村や町はないので、聖王国に着くまでは基本野宿となります。しかし街道はしっかりと整備されてるようですし、賊なども最近は現れないそうなので、魔獣にさえ気を付ければそこまで苦労はせずに辿り着けると思いますよ」


 「さすが人類陣営の総本山の近くね。治安は凄く良さそう」


 と俺とフォーリアの会話にリーシャが加わり、地図を眺めながら、うんうんと頷く。


 「ちなみにお嬢様。前もって言っておきますが、道中に川はありますが、そこでの水浴びは禁止ですからね」


 「えぇぇ!なんでよ!?」


 「森の中の川ならまだしも、ここから先は普通に人が行き来をする道です。そんな場所で全裸になって水浴びなんて駄目に決まってるでしょ…」


 「……人払いの結界を張れば?」


 「駄目です!もしそれで魔力を感じ取られたら最悪聖王国に危険視されかねません。ただでさえここからお嬢様にはエルフである事を隠して行動をしてもらうのですから」


 「はぁーい……」


 と途中フォーリアがリーシャを窘めたりといった場面もあったが、とりあえずルートの確認は終えた。


 後はロゼの到着を待つだけなのだが……、


 「悪い!待たせたな」


 と思ってたタイミングでロゼが走ってこちらに向かって来た。


 「色々と回ってたら思ってたより時間がかかっちまった!」


 「気にしなくていいよ、ロゼはこの町の町長の息子なんだもん。そりゃ挨拶をする人も多いでしょ?」


 と私はロゼに笑ってそう答える。


 それにロゼは頭を掻きながら、


 「だな。次はいつ帰れるか分からないし、お世話になった人も多いからね」


 と答える。


 「準備の方は…………大丈夫そうだな」


 とロゼは馬車に積まれている荷物を見て頷き、


 「それじゃあ出発するか!」


 と言って馬車に乗り込んだ。


 それに合わせて俺とリーシャも馬車に乗り、フォーリアは操縦席へと座る。


 そしてルイスさんの屋敷からゆっくりと出発した。


 「1週間もお世話になって本当に領主様には助かったね。最後に挨拶したかったけど忙しいのかな?」


 とリーシャは離れていく屋敷を見ながらそう呟く。


 「いや、親父なら見送りには行くって言ってたから、多分門のところで待ってるんじゃないかな?」


 とロゼが答えた。


 そしてゆっくり進んでいき、門の目の前に着くと、そこには多くの兵士達が列を作って待っていた。


 そしてその中心にはルイスさんが立っている。


 「ほら言った通りだろ?……じゃあ降りて挨拶しに行こうぜ」


 というロゼの言葉に合わせ、俺達は馬車を降り、ルイスさんの元へ向かう。


 「屋敷で挨拶するより、ここの方が良いと思ったのでみんなで待っていたよ」


 とルイスさんは俺達に笑いながら手を振ってこちらに近づいてくる。


 「ルイスさん、何から何までありがとうございます!」


 俺は屋敷に泊めてくれた件や物資の準備の件など諸々お世話になった感謝を伝える。


 それにルイスさんは、


 「いやいや、こちらこそユリウスの討伐に力を貸していただいたんだ。それくらいお安い御用さ」


 と気さくに答えてくれた。


 そしてルイスさんはロゼの方を見て、


 「ローゼット、お前はこの先の旅で立派な大人になると信じているぞ。くれぐれも聖王様に失礼な事をせず、|聖王国のご意向に従うんだぞ《・・・・・・・・・・・・・》」


 「はいよ、親父」


 ルイスさんの言葉にロゼは力強く頷きそう答える。


 そして再度ルイスさんは俺に振り向き返り、


 「ルナ殿、聖王国に着いたら驚く事がきっと多いと思います。しかし聖王国はいわばこの世界の中心です。そこでルナ殿はこの世界の事をより知る事ができるでしょう」


 「はい、私はこの世界の事を全く知らないので、色々と勉強してきます!」


 と俺はルイスさんと握手をしそう伝えた。


 そうしてルイスさんとの挨拶を済ませ、俺達は再度馬車に乗り、ルイスさんや兵士、多くの町の人々に見送られ、町を出た。


 そして聖王国ラミーリアへ向けて俺達四人は進み始める。





 そして今日が俺達の地獄の始まりでもあった。 

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