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第4話 ハミネ町(12)

 「えっ?」


 ルイスさんの言葉を俺は一瞬理解出来ず、間抜けな声を出してしまう。


 「魔力が使えない……?」


 「使えない……と言うよりは、そもそも我々人間には魔力がない、といった表現の方が正しいんですが」


 とルイスさんが強ばった表情でそう口にする。


 「ルナさん、先程の戦いで俺達町の人間は誰一人魔法は使わなかっただろ?」


 とローゼットは変わらず困った様な表情をしつつ、


 「ユリウスはその性質状、武器での戦闘は相性が悪い。……いや、そもそも魔王軍幹部相手に肉弾戦は厳しいんだ。だから魔法が使えない俺達人間にとって魔族は脅威になるんだよ」


 と説明してくれた。


 俺はこの世界に来て普通の人間に会ったのはフォーリアとこの町に来てからだけである。振り返ってみると確かにフォーリアが魔法を使ってるところは見たことないし、一緒に戦ったローゼットも魔法は使っていなかった。それにローゼットは初めて会った時、リーシャの治癒魔法に驚いていた。あれはそもそも魔法がこの世界の人間にとって珍しいものだからなんだろう。


 俺はここまでのルイスさんとローゼットの話を聞き、リーシャとフォーリアの方を見る。


 「ごめんなさい、私集落の外に出たことがなかったから、あまり外の世界の事を知らなかったの……」


 「私もですね……。私が魔法を使えないのは単に素質の問題だと思っておりましたが、そもそも人間には魔力が存在しなかったのですね……」


 とリーシャもフォーリアもこの話は今初めて知った様である。


 「しかしそうなると……」


 とフォーリアが手を顎に当てながら、


 「先程の戦いで見たルキアート様のあの炎の攻撃は一体なんなのでしょうか?」


 と尋ねた。


 「!?確かに!あれは魔法じゃないの!?」


 フォーリアの言葉に俺はルキアートの事を思い出す。


 |(そうだよ、あのルキアートって奴思いっきり魔法使ってたじゃん!)


 俺はルイスさんとローゼットに視線を向け、答えを待つ。


 二人は少し沈黙した後、ルイスさんが咳払いをして口を開いた。


 「ルキアート様の使われていた炎は魔法ではございません。私も詳しい事は存じてませんが、あれはルキアート様の持つ聖武器とルキアート様自身の聖術によるものでしょう」


 と初めて聞いた言葉がいくつか出てきたが、ルイスさんが教えてくれる。


 「聖武器?聖術?」


 俺が聞き慣れていない言葉を口にすると、


 「聖武器はルキアートさん含む聖王国騎士団が持つ事を許される伝説の武器なんです。前に森で話しましたが、聖武器は聖騎士の象徴でもあり、この世に数える程しかない貴重で持つ人の力を最大限に引き出す強力な効果を持つ武器なんだ」


 とローゼットが教えてくれた。そういえば森で聖騎士について話していた時そんな事も言っていたな。


 「それで聖術っていうのは、私が使う治癒魔法や結界とは違うものなんですか?」


 今度はリーシャがルイスさんに聖術について質問する。その質問に険しい表情をルイスさんは浮かべ、


 「聖術というのは私も詳しい仕組みは知らないのです。どうやら魔力を持たない人間が魔族に対抗する為に聖王国が編み出した魔法の代替のようですが、それでも使える者はごく少数の選ばれた人間だけみたいです。」


 と説明してくれた。


 「あの凄まじい炎が聖術……」


 俺はルキアートの攻撃技を思い出しながらそう呟く。あれは俺の魔法とは別の物なのか。


 「聖王国はその聖術の完成でこの世界最大の力を持った人間の国になりました。そして聖術の応用で魔道具といったものも開発され、私達のハミネ町含む聖王国傘下は劇的に発展を遂げたのです。……とは言っても戦闘に使える魔道具は法律で聖王国の軍人にしか扱えないので、今回の戦いで我々は使用できませんでしたが」


 と詳しい説明もしてくれた。


 |(それじゃあのゴーレムも魔道具の一種みたいなものなのかな)


 と俺はそんな事を考え、


 |(そしたら魔法少女である俺って人間じゃないのか?)


 と思った。


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