第4話 ハミネ町(11)
ユリウスが消えた事により、俺達はハミネ町に戻る事になった。
コチラの損害はゴーレムが全滅したくらいで、ルイスさんの兵士に死者はなく、負傷した兵もリーシャの活躍により全員無事だ。
ルキアートは、
「俺はこのままクソイカレ神父を探しながら王国へ帰るわ。お前らの事は王に話しておいてやるから、聖王国に来る時はコレを持っていきな」
と俺達に何やら書状を渡し、そのまま引き連れていた軍と共に離れて行った。
そしてルイスさん号令のもと、俺達は帰路についている。
「それにしてもあのルキアートって奴、私の事散々お子様扱いして……」
俺は馬車に乗りながらこの戦いを共にした仲間である、リーシャ、フォーリア、ローゼットに愚痴を言う。
「ちょっ!ルナさん!?ルキアート様は聖騎士ですよ!?位でいえば聖王国の軍事のトップのお方なんですから、下手に誰かに聞かれたら問題になりますって!?」
俺の愚痴にローゼットは慌てて辺りを見渡し、俺の口を手で塞いでくる。
そんな様子をリーシャは「あはは……」と笑いながら見ており、
「それにしてもルキアート様の戦いぶりは凄かったね、聖騎士様ってみんなあんなに強いのかな?」
と先程のルキアートとユリウスの戦いを思い出しながらそう呟いた。
確かにルキアートの力は凄まじかった。戦い自体はユリウスの逃亡?により、割と早く終わったが、それでも一人で戦況を変えてしまうという話は信じざるを得なかった。
|(もし仮に俺がルキアートと戦うことになったら勝てるのか怪しいもんな……)
悔しながら生前俺の描いていた漫画にも、あれほど無茶苦茶な強さを持った敵は作ったことが無い。それはつまり、俺の知ってる魔法少女ルナで勝てるか分からないということだ。
|(まぁ、仮にもルキアートは聖王国側の人間だ。俺達は聖王国に刃向かうつもりはサラサラないんだから、今後戦うことなんてないよな。……でも一応もっと強くならないとな)
俺はそんな事を考えつつ、気付いたら疲れの為か眠りについてしまっていた。
▽▽▽
そして俺が目を覚ました時にはもう既に、ルイスさんの屋敷の前に着いていた。
「とりあえず今日は俺家に泊まっていってくれ!ルナさん達には森と今さっきの戦いとで二回も助けてもらったんだ。そのお礼はさせてくれ!」
とローゼットに言われたので、俺達は当初の予定通りローゼット宅にお邪魔する事にした。
屋敷に着くとまずは身体を洗おう!という事になり、まずはお風呂を借りる事にした。
俺はリーシャとフォーリアと共にローゼット家のお風呂を満喫し、疲れと汚れを癒したところで、ルイスさんと共に食事をする事になった。
準備が整ったところで大きい部屋に通され、ルイスさん、ローゼット、リーシャ、フォーリアと食事を始めた。
「改めて、この度はご助力をいただき本当に感謝します」
と食事を始めそうそうルイスさんが俺達にお礼を言ってきた。
「いえ、気にしないでください!」
俺はルイスさんにそう言って、
「私達はルイスさんにお願いがあってハミネ町に来たんです。そんな中、魔王軍事幹部討伐に向かうって聞いたら協力しないわけにもいかないですよ」
と俺は伝えた。
「私に頼みたい事?何かな?」
とルイスさんが尋ねてきたので、俺はルイスさんを訪ねた理由、聖王国へスムーズに入国出来るよう口添えをして欲しい旨を伝えた。
「その位お安い御用です。それに先程炎帝ルキアート様からも書状を頂いていましたよね?その書状と私の紹介状を持っていけば聖王様にも拝謁出来ると思いますよ」
とまさかの入国どころか王様との謁見まで口添えしてもらえることとなった。
▽▽▽
そしてお互いに色々な事を話し、食事も終盤にさしかかったところで、
「そういえば先の戦いから気になっていたのですが、ルナ殿のその指輪はどういった魔道具なのですか?」
とルイスさんが俺の指にはめられている指輪を見て尋ねてきた。
「これは魔道具……、というよりは私の魔力のコアみたいなものなんです」
と俺は簡単に説明した。しかしその瞬間、ルイスさんとローゼットさんは驚いた様に目を見開いた。
あまりの二人の驚きように、
「あの、どうかしましたか?」
と今度は俺がルイスさんに尋ねた。
しかしルイスさんは考え込むように手を顎に当て、代わりに、
「ルナさんって魔力を使えるんですか?」
とローゼットが尋ねてきた。
俺は質問の意図が分からず、
「え?はい」
と答えた。
俺の返事にローゼットはより混乱をしたようで、
「え、えーと、その……」
と言葉を濁している。
俺は不思議に思いリーシャとフォーリアの方を見たが、二人とも俺と同じ感想を持っているようで、ポカーンとしていた。
そこで少しの間黙っていたルイスさんが口を開け、
「ルナ殿、普通の人間はまず魔力は使えないものなんです」
と口にした。