表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/184

第1話 魔法少女ルナ誕生(2)

 気づくと俺は辺り一面が白い空間で覆われている所にいた。暑い寒いも感じず、音も匂いもしない。ただ白い光がなんとも言えない心地良さを感じさせる。


 「あぁ、死んだな……。」


 俺は直感的にそう感じた。トラックに轢かれた時の記憶は鮮明に残っているし、その時受けた衝撃も覚えている。にも関わらず痛みどころか服や体に汚れや傷すら残っていない。


 「体は問題なく動くか………。」


 体を起こし色々と動かしてみるが特に問題は無さそうだ。辺りを見渡してみるとどうやらここは部屋のようだ。目の前には5mはありそうな扉がポツンとあり、他は何も無い。床も壁も天井も純白と表現できるほど綺麗な白で統一されている。




 扉の方に歩いて扉の前に立つと、その扉の大きさに圧倒される。模様など何も無い簡素な扉であるが、不思議と神秘的な何かを感じる。


 「とりあえず押してみるか…。」


 現状の自分の状況を全く把握出来ていないが、焦りや恐怖といった感情は感じない。頭もスッキリしてるし、何よりこの扉の先に行かなくてはいけないという使命感に似た何かを感じる。


 俺はとりあえず扉を力一杯押してみることにした。しかし扉はピクリとも動かない。


 「押すわけでもないのか……。他に開ける方法があるのか?」


 俺は再度扉を観察する。


 「やっぱり何もないよなぁ……。これが漫画やアニメの世界だと選ばれた主人公に反応して開いたりしてくれるんだけどなぁ。」


 俺はもう一度辺りを見渡し、出入り口がこの扉しか無いこと確認する。


 「とりあえず主人公らしく念じてみるか……。」


 俺は扉に手をかざしながら目を閉じ、心を落ち着かせ、扉に念を送ってみる。


 すると扉は俺に反応したのだろうか、淡い光を放ち始めた。


 「おいおいマジかよ……。」


 まさか本当にこのやり方で扉が反応すると思っていなかった俺は、少しの焦りを感じた。


 しかし、その焦り以上に、この先にある未知なる事にワクワクしている自分もいる。


 「それじゃ、新たな1歩を始めましょうか!」


 俺は高揚感を掲げながら扉を開けるべく、両手に力を入れ扉を押し込んだ。




 そしてここから俺の新たな物語が始まった。




 と俺は思っていた。しかし悲しいかな。依然として扉はピクリとも開かない。


 「えぇ……。」


 あんな物語の主人公みたいな前フリをしといて結局振り出しに戻るのは予想外だ。


 扉も俺が念を送ってから今も淡い光を放ち続けているが、それ以外に変化は見受けられない。




 「これ詰んでね?」


 扉が淡い光を放ち始めてから1時間は過ぎただろうか。


 あれから俺は様々な方法を扉に試してみた。


 扉にひたすら念を送り続けてみたり、なんか主人公っぽく「扉よ開け!」と命じてみたり、実は決め台詞とかポーズが必要なんじゃね?と思って俺の知りうる様々な台詞やポーズ(大半が魔法少女物で知ったもの)披露したりもした。


 しかし結果は何も変わらず、ただただ変な虚しさだけが俺に残った。


 「どうしたら空くの?これ………。」


 俺は何度目か分からない溜息をつき、目の前のバカでかい扉を見上げた。




 「その扉は君たち人間にはどうやったって開かないよ。」


 突然背後から声がした。


 慌てて振り返ると、俺の背後にいつの間にか椅子とそれに座っている人物がいた。


 「立ち話もなんだしこっちに来なよ。」


 その人物はそう言うと指をパチんと鳴らす。すると彼の目の前にもう1つの椅子が現れた。


 「どうしたんだい?早くおいでよ。」


 その人物は笑いながら手招きし、俺に話しかける。


 怪しさ満載だし、どこか胡散臭さを感じるが、敵意や悪意といったものは微塵も感じない。


 とりあえず俺はその人物の元へと向かった。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ