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第4話 ハミネ町(7)

 「この二体の死霊は俺様のコレクションの中でもお気に入りの奴らでね、下にいる雑魚共とはレベルがダンチだぜぇ」


 ユリウスはまるでドラゴンの様な大型魔獣に触りながら説明をする。


 「コイツはワイバーンの一種でね、高い攻撃力と機動力、それにブレスまで吐ける魔獣の中でもトップクラスに恐れられてる生物だ」


 ユリウスがそう言い終えた途端、そのワイバーンの死霊は口を大きく開け炎のブレスを吐いてきた。


 「くっ!」


 思ってた以上に速いブレスの攻撃を俺は咄嗟にシールドを出し防ぐ。威力は先程のユリウスの出した衝撃波と同じくらいか、何とかシールドで防ぐことができた。


 「はァァ!」


 すると今度は背後から声と剣が振り下ろされる音が聞こえ、俺は反射的に振り返り、つかさず手に持っている剣でその攻撃を防いだ。攻撃を仕掛けてきた方を見ると、そこにはユリウスによって召喚されたもう一体の鎧を着た死霊がいた。


 「因みにそいつはとある国の騎士団長だった男だ。純粋な剣術においてならコイツはトップクラスの強さを持つぜ」


 とユリウスが笑いながらこちらを見つめ、そして手に持つ杖に何やら魔力を溜めながらそう言う。


 「その状態でコイツを防げるかな?」


 ユリウスはニヤリと笑った後、杖から先程溜めていた魔力をビーム状にして撃ってきた。


 左手はワイバーンのブレスを防ぐシールドを展開したままだし、右手も騎士の攻撃を剣で抑え込んでいるため塞がっている。


 「……それなら、魔装変換(ドレスチェンジ)閃光(ライトニング)!」


 俺はフォルムチェンジの詠唱を唱え、指輪に魔力を込める。そして俺は翼へ一気に魔力を注入し、ユリウスの放ったビームが直撃するギリギリで上空へと回避をする。


 「へぇ〜、コレも避けるんだ」


 ユリウスは攻撃を躱されたにも関わらず、タバコを吹かしながら面白そうにこちらを見る。


 |(ワイバーンも騎士の死霊も攻撃までのスピードが速いな……)


 俺はこのまま閃光のフォルムを維持することにした。閃光モードはスピードに特化したフォルムで、髪は緑色でウェーブのかかったセミロング、衣装は緑と白をベースにしたドレス、そして飛行能力向上の為に翼が大きめになっている。


 俺は閃光モードを活かしながら空中で動き回り、ユリウス、ワイバーン、騎士に囲まれないよう注意しつつ、各個撃破するよう隙を伺う。


 |(間違いなく一番強いのは召喚者本人であるユリウスだ、流石に強い死霊二体を相手にしながらユリウスと戦うのはキツいからまずは死霊から片付けよう)


 俺はそう決めワイバーンと騎士どちらから倒すか考える。


 |(厄介なのは遠距離攻撃のあるワイバーンかな、……よし!まずはワイバーンから片付けよう!)

 

 俺はそう決め、まずは素早く魔力弾をユリウスと騎士に撃ち放って動きを牽制させ、その隙に一気にワイバーンまでの距離を詰める。


 「まずはブレスを吐けないようにさせてもらうよ!魔法拘束(ディバイン)!」


 俺はワイバーンの口元へ杖を向けそう唱える。すると杖から細長い魔力の縄のような物が現れ、それがワイバーンの口を縛り付ける。


 ワイバーンはブレスを吐けないと悟り、前足に付いてる大きく鋭い爪でこちらを攻撃しようと素早く振り下ろしてくるが、


 「閃光モードの私にはそんな遅い攻撃は……、当たらないよ!」


 俺は軽々とワイバーンの攻撃を避け、そのままワイバーンの頭上をとり、


 「五月雨真空刃(さみだれしんくうは)!」


 と魔力によって作られた大量の風の刃を真上からワイバーンに浴びせる。


 「ぐおぉぉ!」


 モロに真空刃を喰らったワイバーンは雄叫びを上げながら地面の方へと落ちていく。


 「よし!まずは一体」


 俺は続けて騎士の死霊と対峙するべく、奴のいた方を振り返る。 しかしそこに姿は見えなかった。


 「どこに行った?」


 俺は辺りを見渡す。


 一方ユリウスは戦闘不能になったワイバーンを回収する為なのか、杖から再度魔法陣を生成し、そこから出た光をワイバーンに浴びせていた。そして程なくワイバーンは光に包まれその姿を消した。


 「それよりあの騎士の死霊はどこに行った?」


 注意深く辺りを見渡すもその姿は確認できない。


 |(まさか牽制のつもりで撃った魔力弾でダウンしたのか?)


 とそんな事を考えていたその瞬間、


 ズシャッ


 と首元に衝撃が走り、俺は空中にいながらも真横に吹き飛ばされた。


 「いっ……た〜!」


 突然の攻撃に驚き俺は空中で体勢を取り戻しつつ、衝撃のあった首元を触る。触ってみると小さい切傷が出来ており、血も少し流れているようだ。


 「ほう、これは驚いた。首を討ち取るつもりで斬りつけたはずであったが」


 といつの間にか俺の目の前に、姿を消していた騎士の死霊が現れた。


 「生憎今の私は全身魔力で覆われてる状態なんでね……」


 俺は内心|(首を撥ねられなくて良かったー!)と思いつつ、余裕を見せるような表情を浮かべる。


 「先程の我の斬撃を防ぐ剣筋といい、今の攻撃を凌ぐ耐久力……。うむ、実に面白い」


 騎士はそう言いながら頷き、そして背後にいるユリウスへと振り返った。


 「ユリウス殿!一つよろしいか!」


 「なんだぁ?」


 騎士の問いかけにユリウスは相変わらずタバコを吸いながら答える。


 「この者とは是非とも真正面から小細工無しに戦ってみたい!」


 「へぇ〜……」


 その言葉を聞いてユリウスは少し驚いたように目を見開き、


 「アンタがそこまで言うなら余程面白い相手なんだろうな。……いいぜ、好きにしな」


 ユリウスはそう言うと指をパチンと鳴らした。すると突然椅子のような物が具現し、ユリウスはそれに座り、まるでこちらの戦いを観戦するかのように傍観の姿勢をとる。


 「うむ!かたじけない!」


 騎士はそう言うと改めてこちらを見据え、


 「では改めて名乗らせてもらう!ワシはミンチェスター王国の元騎士団長、剣聖ダーウィンと申す。そなたに一騎打ちを申し込みたい!」


 と剣先をこちらに向けて一騎打ちの申し出をしてきた。


 |(俺の目的はあくまでユリウスの撃破若しくは足止め。ここはさっきのワイバーンみたいにさっさと倒すのがベストなんだろけど……)


 俺はそんな事を考えつつも閃光モードを解き、再度剣士モードへとフォルムチェンジをする。


 |(こういう真っ直ぐで正々堂々してる奴、俺は好きなんだよな!)


 俺も剣先をダーウィンに向け、


 「私は魔法少女ルナ!ダーウィン!その一騎打ち、受けて立つわ!」


 と俺はダーウィンとの一騎打ちを受けて立った。

 

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