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第4話 ハミネ町(6)

 「螺旋魔力弾(スパイラルショット)!」


 俺はユリウスへ一気に近づき、挨拶代わりに一発喰らわせようと螺旋魔力弾を撃ち放つ。


 「あん?」


 ユリウスは俺の攻撃に気付き、先程と同様の防御壁を出すが、ゴーレムを一撃で貫く俺の螺旋魔力弾には耐えられず、ユリウスの防御壁は砕け散った。


 「へぇ……、こいつは驚きだ」


 防御壁で防げると思っていたのか、ユリウスは砕けた防御壁と螺旋魔力弾の飛んできた方向、俺を見て面白いものを見つけた様な笑顔を浮かべた。


 「……んで、お前何者?」


 ユリウスが咥えていたタバコをこちらに向け尋ねてきたので、


 「私はルナ。魔法少女のルナよ!」


 と言いながら今度は螺旋魔力弾を同時に三発ユリウスに撃ち放った。


 ユリウスは螺旋魔力弾を一個ずつ手に持つ剣で撃ち落とし、


 「へぇ〜、お前ただの人間じゃあねぇな。……クク、おもしれぇな!お前!」


 とユリウスは笑いながら剣から俺に向かって衝撃波を出す。


 「魔法防壁(マジックシールド)!」


 俺はステッキからシールドを出し、ユリウスの攻撃を防ぐ。衝撃波の威力は中々だったが何とか防ぎきれたようだ。


 シールドと衝撃波の激突で白い煙が生じてしまい、前方の視界が悪くなってしまったので、俺はユリウスの攻撃を警戒しつつ、牽制ついでにユリウスのいた方角に螺旋魔力弾を撃った。しかし、


 「どこ狙ってんだぁ、お前」


 と突如背後からユリウスの声が聞こえ、急いで振り返るとユリウスがこちらに剣を振りかざしていた。


 「くっ……!」


 シールドを出す暇がなかったので、俺は咄嗟にステッキでユリウスの攻撃を防ごうとしたが、体勢も悪かった為ユリウスに押し負けてしまい、そのまま地面へ叩きつけられてしまった。


 「ルナさん!?」


 ちょうどリーシャの近くに吹き飛ばされてしまったようで、リーシャが心配そうにこちらに駆け寄ってくる。


 「だ、大丈夫だよ、リーシャ。ちょっと油断しちゃった」


 俺はリーシャの心配を無くそうと笑顔で答える。実際魔法少女の魔力の影響で、地面に叩きつけられても大したダメージではない。


 「ここは相手の攻撃スタイルに合わせようかな……。魔装変換ドレスチェンジ剣士(ソードスター)


 と俺は近接型フォームに変身し、


 「じゃあリーシャ、もう一回行ってくるね!」


 「ルナさん……、頑張って!」


 背後からリーシャの少し震えた声が聞こえた。俺は振り返ってリーシャにウインクし、


 「任せなさい!」


 そう言ってもう一度、ユリウスの元へと向かった。


▽▽▽

 「お待たせ。……さぁ第二ラウンドといきましょう!」


 ご丁寧にタバコを吸いながら俺の事を待っていたユリウスに俺は剣を向けてそう言う。


 「まぁ、さすがにあの程度の攻撃じゃ大したダメージにならないよな」


 タバコを吹かしながらそう言ったユリウスに、俺は一つ質問する。


 「なんで私を吹き飛ばした時に追撃をしなかったの?」


 そう、ユリウスは俺を地面に叩きつけた後、その気になれば近くにいたリーシャや、リーシャの治療を受けようとしていた負傷兵諸共、攻撃する事も可能だったはずだ。なのにユリウスは追撃はせず、かといってその場から立ち去る訳でもなく、ただタバコを吸いながら俺が戻ってくるのを待っていたのだ。


 「俺様は無粋な事をするのが嫌いでね、今はお前との戦いをそこそこ楽しんでるわけよ。そこに関係ねぇ雑魚どもを巻き込むのは美学に反すると思ってな」


 そうタバコを吸いながらユリウスが説明する。


 |(意外と紳士的な奴だな……)


 俺はユリウスに対してそんな感想を抱きつつ、


 「それはお気遣いどうも!」


 そう言って俺はユリウスに向かって斬り掛かる。


 俺の攻撃にユリウスは笑いながらも剣で軽々しく受け止め、


 「へぇ……、魔法だけでなく剣も扱えるんだ。それにこの剣、剣そのものがお前の魔力の塊ってか!」


 と今度はユリウスが剣で攻撃を仕掛けてくる。俺はユリウスの攻撃を剣で冷静に捌いていき、隙を見つけては今度は俺の方からユリウスに攻撃を仕掛ける。


 そんな感じでお互いに攻撃を仕掛け、防ぎを繰り返し、俺とユリウスは互いに一歩も引かないまま攻防が続いた。

 

 「はっ!」


 俺はこの膠着状態から抜ける為に一度素早く斬撃を繰り出し、ユリウスがそれを受け流す隙に距離を取った。そして剣に魔力を集め、


 「魔力斬波・十字(クロスハート)!」


 と魔力による斬撃を先程のユリウス同様に衝撃波にし、それをクロスしてユリウスに向けてぶっ放した。


 「ちっ!」


 ユリウスも衝撃波を出して相殺しようとするが、威力は俺のクロスハートの方が上。そのまま俺の攻撃はユリウスの衝撃波を粉砕してユリウスに直撃した。


 「これで終わったらいいんだけど……」


 俺はそんな希望的観測を口にするが、相手は魔王軍幹部だ。この程度でくたばるわけないだろう。案の定、直撃した衝撃で煙が発生したが、その煙が無くなるとユリウスはケロッとしていた。


 「今のはいい攻撃だったぜ」


 「それはどうも」


 ユリウスのお世辞に俺は剣先を向けて答える。


 しかしユリウスは突然剣を懐へ収め、新たなタバコを取り出して吸い始めた。


 「いきなり武器を収めてどういうつもり?」


 俺が質問すると、


 「いやぁ、なに、そもそも俺様は剣術はあまり得意じゃなくてね。少し本気を出そうかと思ったんだ」


 そう言ってユリウスはタバコを剣に押し付けた。するとユリウスの剣が真っ赤に輝き出し、やがて十字架を連想させる杖へと姿を変えた。


 「俺様は死霊術師ユリウス。俺様の得意分野は死霊術と魔術って事忘れてたか?」


 そう言ってユリウスは杖をかざす。すると杖から魔法陣が生まれ、そこから鎧を着た騎士と大きな1本角と背中に翼を生やした大型魔獣の死霊を召喚される。


 「さぁ、第三ラウンドといこうか!魔法少女ルナ!」

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