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第4話 囚われた街(1)

 「皆さん!ご無事ですか!?」


 「うん、なんとかね……」


 何とか全員でスイセンの待つ浜辺に避難する事に成功したルナ達。この浜辺なら先程の襲撃者からは死角の位置になるので暫くの間は大丈夫だろう。


 「それにしてもさっきの攻撃って……」


 ルナは攻撃を仕掛けてきた港の方を見る。そうは言いながらもルナは攻撃してきた連中の正体は何となく察しており、


 「まぁ、十中八九聖王国だろう」


 「だよねぇ〜……」


 ロゼの言葉にルナは頷く。事前にヒナギから少女が聖王国の兵士と衝突したという話は聞いている。であれば、ルナ達というより少女を狙っての攻撃と考えるべきだとルナは思ったが、


 「い、いい加減に離せ!」


 ルナの腕に捕まっていた少女は鼻息荒くそう言って、ルナの腕から逃れる。そしてルナとロゼの話を聞いていた少女は「フッ」と笑い、


 「魔王軍幹部め、どうやらお迎えが来たようだぞ。素直に聖王国の方々に捕まってはどうだ?」


 と何故か勝ち誇ったドヤ顔を浮かべていた。


 「え〜と…………」


 少女は完全に自分ではなくルナ達を倒しに聖王国の兵士が攻撃をしてきたと思っている。どう少女に伝えるべきかと考えていると、


 「…………勘違いしないで、あれは貴女を狙った攻撃だった」


 と意外な事にツバキが少女にそう告げる。そんなツバキは少女に対し未だに敵意を向けてるのか、睨みつけている。


 「ハンッ、何を言うかと思えば。聖王国は人類の味方であり魔族を討ち滅ぼす正義の国だぞ。それが何故人間である我を攻撃するのだ」


 「…………でも貴女、少し前に聖王国に目を付けられて攻撃されたんでしょ?」


 「…………グッ、そ、それは何かの間違いで……」


 「…………間違いじゃないから、今回も同じ目にあったんでしょ?」


 「う……うるさい!このちびっ子!!!」


 ツバキに言い負かされ涙目になる少女。それに対しツバキは「…………べー」と舌を出す。


 「ま……まぁ、二人とも落ち着いて」


 ルナはそんな2人の間に入り、


 「でもどうして聖王国と揉め事なんて起こしたの?」


 とルナは少女に尋ねる。


 「う…………」


 ルナの質問に少女は言葉を詰まらせる。


 「…………………………」


 「なっ!?」


 何も言わない少女に業を煮やしたのか、ツバキは影で少女を縛り上げる。


 「…………このままさっきの人達に放り出す?」


 容赦なくそう告げるツバキに「ヒッ……」と少女は小さな悲鳴をあげる。


 「ま……まぁ落ち着いてツバキちゃん」


 ルナの一声にツバキは頷くも縛り上げる影は消さないあたり、ツバキはそれなりにイライラしている様子である。そんなツバキを見て少女は諦めたように、


 「…………これ」


 縛られてる腰らへんをモゾモゾしながらそうボソッと呟いた。


 「ツバキちゃん解いてあげて」


 「…………分かった」


 ツバキにようやく解放された少女はギロっとツバキを睨むが、すぐにツバキが影を操り出したため慌てて腰元にあった少女の武器をルナ達に見せびらかし、


 「最初聖王国の兵士達に声をかけられた時、その兵士が持っていたこれのカッコよさに見蕩れて思わず奪ってしまった…………」


 「「「えぇ……………………」」」


 少女のとんでもない爆弾発言にルナとフォーリアとロゼは唖然としてしまう。


 「………………馬鹿なの?」


 「グッ…………」


 更にトドメの一撃とばかりツバキが呆れた様子で呟き、少女は顔を俯かせてしまった。


 「とりあえずその銃を返すのは…………」


 「それは無理だ!!」


 ルナの言葉を遮り少女は銃を胸に抱きかかえながら叫ぶ。


 「このブラックローズは最早我の身体の一部。手放すなどありえない!!」


 「あ……うん。そうなのね…………」


 これば駄目だとルナは思った。銃に名前までつけてるあたり、相当気に入ってしまったのだろう。


 「…………すいません。ちょっとそれを見せてもらってもよろしいでしょうか?」


 少女の待つブラックローズに気になる事があるのか、スイセンが少女に尋ねる。


 「嫌!…………ッッ……少しだけだぞ」


 スイセンのお願いを瞬時に断った少女だが、うねうね動かすツバキの影を見て渋々といった感じでスイセンに銃を渡す。


 「…………やはり。これは聖武器の中でも性能の高い上位聖武器ですね。そりゃあ奪われた聖王国側もなんとしてでも取り返そうとするでしょう」


 困った様に苦笑いを浮かべながらスイセンはそう言って少女に銃を返す。


 「うむ!やはり我の目に狂いはなかったのだな!ブラックローズ!」


 スイセンの鑑定に嬉しそうな反応を見せる少女。


 そんな少女を見て、ルナも呆れるように苦笑いを浮かべるのであった。



 


 

 

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