第2話 金欠のルナファミリー(12)
「とうとうオープンですね」
「そうだねぇ〜。…………くぅぅぅ、ここまで長かった〜!」
とある建物を見上げならルナとフォーリアはしみじみと思いふける。
この国でお金を稼ぐ手段が必要だと知り、他の幹部達を見学して、ルナは一つの考えを思い付いてから一ヶがたち、ようやくこうして形となり、とうとうお店としてオープンする日を迎えたのだ。
「ここまで来のに大変だったよ〜」
「えぇ、……でも充実してましたし、色々と楽しい事もあったのであっという間に感じましたね」
「そうだね……フォーリアにロゼ、ツバキちゃんにスイセンと皆で力を合わせたからこうして完成出来たんだよね」
皆で一つの目標に向けて団結する。そうしてルナ達はより一層絆を深められたのではないかとルナは思った。
「感動するのはまだ早いんじゃないか?」
やりきった感を出していたルナ達を笑いながら、お店のドアから出てきたロゼがそう口にする。
「本番はここからなんだぜ、まだ準備も残ってるし中に戻って来いよ」
「んっ、そうだね、戻ろうかフォーリア」
「はい!」
そうして二人は新しいルナ達のお店、"カフェ・トゥインクル"に入っていった。
▽▽▽
カランカラーン
「いらっしゃいませ!」
「おう!ちゃんとオープン出来たみたいだな」
「お陰様でね」
準備を終えて開店時間となり、お客様第一号である魔王ヒナギがお店に入ってきた。
「あは♪いいお店ですね♪」
「ほんまやなぁ、落ち着いた雰囲気でええ感じやわ」
そしてヒナギに続いてヒナギの副官ミサとナロが入店し、
「おおぉ!ルナもツバキも可愛いのぉ!!」
「えぇ、その服とても可愛らしいですね。これがコスプレ……とういうものですか」
後ろからオニヒメとカルメアが入って来た。
「みんなありがとね!……じゃあ5名様ご案内しま〜す!ツバキちゃんお願いね」
「…………うん!じゃあこちらの席へどうぞ」
そうしてツバキの案内でヒナギ達は店の中央にあるテーブルへと着席する。ヒナギは席に着くと店内を改めてグルっと見渡した後、ウェイトレスのルナとツバキ、魔法少女姿になっている二人を見て、
「これがコンセプトカフェか」
と面白そうに呟いた。
そう、ルナの思い付いた案は前世で流行していたコンセプトカフェである。カルメアの店でコスプレを学び、ナロの神社で偶像を知り、オニヒメの店で接客を体験したルナは、それらの良いところを合わせてこのお店を開く事を思い付いき、仲間達と話し合って今日のオープンに至った。その際、開業資金とお店を立てる物件をどうするかの問題に悩まされたが、ヒナギに相談したところ快く資金を無利子で貸してくれ、空き家となってる建物もアスカでの任務の報酬として用意してくれた為、こうして何とか形にする事が出来たのであった。その為、お礼の一環としてオープンのお客様第一号としてヒナギ一行を招待したのだ。
「おう、魔王も来たみたいだな」
「ん?レーベクス達も来ていたのか?」
「あぁ、食材の調達を頼まれてな。可愛い愛弟子の頼みならお安い御用さ」
そう言ってレーベクスと彼の副官であり一緒に来てくれた二ーリスもヒナギ達と同じテーブルに着く。レーベクスらは狩りだけでなく、色々と食材の流通に詳しいようなので、そのツテをお願いして格安に食材をこのお店に卸してくれたのだ。
「兄貴に姉御、感謝してるぜ!今日は美味い料理をご馳走するからな……と言っても作るのはフォーリアなんだけど」
そう言ってロゼは厨房の方へと姿を消して行った。このお店のルナ達の役割はそれぞれルナとツバキでホールの接客、厨房ではフォーリアが調理をしその補佐にロゼ、スイセンには会計などその他雑務をお願いしている。
今日の客はヒナギ達のみなのでホールはそこまで忙しくなく、ルナとツバキはヒナギ達と談笑をしており、やがてキッチンの方から料理が出来上がったと報告を受けたので、ルナはツバキと共に次々と料理をテーブルに運んで行った。
「おぉ!相変わらずルナのところの執事は美味そうな料理を作るな」
並べられたら料理を見てヒナギはそう告げる。ヒナギは以前、ルナ達と初めて会った時にフォーリアの料理を食べているのでその腕を知っている為か、とてもテンションが高い。同じくフォーリアの料理を食べた事あるオニヒメも待ちきれないのかお腹を鳴らしており、他のメンバーも並べられたら料理を見て目を輝かせている。
「さぁ!うちの自慢のシェフの料理を食べて!!」
「おう!……じゃあ早速」
「「「「「「いただきまーす!!」」」」」」
▽▽▽
その後、ヒナギ達の口コミの影響もありルナ達のお店、"カフェ・トゥインクル"は魔王国で大流行し、ルナ達は一週間多忙の日々を迎えた。その結果として生活費を稼ぐには週一回営業時間で充分と判断し、ルナ達は毎週変わったコスプレと料理を提供し続けるのであった。