表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
164/184

幕間(1)

 「そういえば魔王もルミナス様と同じ出身なんですよね?」


 「そうだよ~。こことは別の世界にある日本って国から来たんだ~」


 「ニホン……、いつ聞いても信じられませんね。この世界とは別の異世界があるなんて」


 「私からしたらこの世界こそが異世界なんだけどね」


 魔王国を目指し旅をしているルミナスとミリーは、たまたま寄った小さな町の宿屋の部屋にて夕飯を食べながら談笑をしていた。話の話題はルミナスの故郷であり、密かにこの話を聞くのはミリーの楽しみの一つでもあった。


 「まぁ異世界人なんてこの世界に片手で数えられる位しかいないんじゃないかな?私はミリーと会う前も長年一人で色々な所を旅してきたけど、ちゃんとした異世界人と会ったのは魔王のヒナギ君だけだし。あっ!でも、あれ?実はコイツも異世界人なんじゃね?って怪しんだのが一人(・・)いたっけ」


 ナッツのような食べ物をツマミに果実酒を飲みながらルミナスはそう言いつつ、遥か昔、この世界に来る前のことを思い出す。


 日本にいた頃、まだ女子高生だった彼女は不慮の事件に巻き込まれて命を落とし、気付くと辺り一面が白い空間に飛ばされ、そこでなんとも胡散臭い天使エーリスと出会った。そこで彼女はエーリスの提案のもと、この世界に一人目(・・・)の転生者として異世界転生する事になった。


 「…………まぁ、最初は手に入れた魔法の力で好き放題やってたけど、今はこうして気ままに旅してる方が楽しいからね。お陰でミリーちゃんとも出会えたし」


 とミリーに微笑みかけるルミナス。


 「…………私もルミナス様に助けられたからこそ今こうして生きてますからね。私の方こそこの世界に来てくれて、私を見つけ出してくれてありがとうですよ」


 とミリーもお酒を飲んでいるせいか珍しく顔を赤らめて照れている。その姿が可愛くて、ルミナスはその可愛さを肴に再び酒を飲み始める。


 「でも、もしかしたら会えるかもね」


 「?誰にですか?」


 ミリーが尋ねると、ルミナスはグラスに入っている酒を飲み干し、窓の外、魔王国のある方を眺めながら、


 「魔法少女(・・・・)…………、もしかしたらね」


 と誰にも聞こえないほど小さな声でそう呟くのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ