第7話 新たな仲間(2)
「なんかあっという間の一週間だったなぁ」
「そうですね……」
海を見ながらルナとフォーリアは短いようで長かったアスカでの出来事を思い浮かべる。ルナ達は今、魔王国へと帰る為にアスカに入国した際に訪れた海岸に来ていた。
「ここで初めてツバキちゃんに出会ったんだよね」
「そうみたいですね。私はそれほどツバキ殿と触れ合った訳では無いのでこれからが楽しみですよ」
フォーリアはそう言って後ろを振り返る。
ルナ達の後ろではロゼがネリィとルリィの世話をしており、オニキシは帰国の準備をしそれを眺めながらオニヒメはお酒を飲んでいる。そしてミサは魔王国と連絡を取っているようで、何かの道具に向けて話している。
「また賑やかになるね」
このメンバーにツバキが加わる未来を楽しみにしているルナはそう呟く。それにフォーリアは頷いた後、
「…………お嬢様は元気でしたか?」
とフォーリアはルナを、正確にはルナの胸あたりを見てルナに尋ねる。
「うん。私の中にいてもリーシャはリーシャだったよ。リーシャの力も借りてツバキちゃんを助けられたんだから」
自分の胸に手を当てルナはそう答える。
「そうですか…………。私も早くお会いしたいですね」
フォーリアは嬉しそうにしかしどこか寂しそうにそう口にする。すると、
「おっ!ルナ!!来たみたいだぞ!!」
ロゼの声を聞き再度ルナ達は後ろを振り返る。
そこにいたのはルナ達のお見送りに来たザクロ皇帝、リンドウ、そして…………、
「…………お待たせ、ルナお姉ちゃん!」
ルナ達の新しい仲間となったツバキであった。
▽▽▽
「待たせたようで済まないな」
「ううん、大丈夫だよ。…………次はいつ会えるか分からないんだしゆっくりとした時間をあげられて良かったよ」
手を差し出してきたザクロ皇帝と手を握り返しつつルナはそう答える。
「じゃあツバキ、向こうにいっても元気でな」
「…………うん!お兄ちゃんも元気でね!!」
そう言ってザクロ皇帝とツバキはお互いに抱き合いツバキはルナの隣に立つ。
「あは♪お別れも済んだようですね♪」
魔王国への連絡を済ませたのかミサもこちらに合流する。
「それじゃ優しいお姉ちゃんから吸血鬼ちゃんにプレゼントです♪」
そう言ってミサは手に持っていた水晶の様な物をツバキに渡す。
「…………これは?」
渡された水晶をマジマジと見ながらツバキはミサに尋ねる。
「これは遠くにいる相手と連絡が取れる魔導具です♪これがあれば離れていても大好きなお兄ちゃんといつでもお話しする事が出来ますよ♪」
「………………!ありがとう!悪魔のお姉ちゃん!!」
ミサからのプレゼントが余程嬉しいのかツバキは貰った水晶を大事に抱きしめる。
「いえいえ♪あっ、皇帝様にも同じ物を渡しますね♪」
「かたじけない」
ザクロ皇帝もミサから同じ魔導具を受け取り大事に懐にしまった。
「それじゃあそろそろ行くとするかの」
オニヒメの言葉にルナ達は一斉に頷くと、
「ま…………待って下さい!!」
遠くからそんな声と共に一人の男がこちらに走って来る。
「スイセンさん?」
走って来た人物、アスカの研究者スイセンは息を切らしながら走って来てルナの前に立ち止まり、
「はぁ……はぁ……、私も連れて行ってくれませんか?」
「………………え?」
スイセンの申し出にルナは思わず聞き返す。
「魔王国には以前から興味があったのです!!必ずルナ様のお役に立ちますので何卒!私も仲間に加えて下さい!!」
「ええと…………」
返事に困ったルナは周囲を見渡した。
「こちらは構いませんよ。まぁスイセンも先日の件でこの国に罪悪感を持って居ずらいでしょうし」
とリンドウは苦笑混じりに答え、
「良いんじゃねぇか?ルナの配下は男俺一人で寂しいと思ってたし」
とロゼは親指を立てて答え、
「…………ルナお姉ちゃん、スイセンは良い人だよ?」
とツバキはルナの裾を引っ張りながら答えた。
「…………うん。分かった!これからよろしくね、スイセン!!」
「………………!はい!よろしくお願い致します!!」
そう言ってルナとスイセンは握手をし、
「それじゃあザクロ皇帝、私達は行くね!」
「俺の事はザクロでいい。…………ルナ、ツバキの事頼んだぞ」
「うん!任せて、ザクロ!!」
そう言って再度ルナとザクロは固く握手をし、
「さぁ帰ろう!私達の国へ!!」
ルナはそう仲間のみんなに告げ、それにみんな笑顔で頷き返した。