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第7話 新たな仲間(1)

 吸血鬼伝説により他国との交流を絶ってきた東の島国アスカにおける長い戦いから三日が過ぎた。ルナ達はザクロの厚意の元お城でゆっくりと休む機会を頂き、それぞれ戦闘で消耗した身体や魔力の回復に励んでいた。


 「ルナ殿、今後の事について皇帝ザクロ(・・・・・)交えて話がしたいのでよろしいでしょうか?」

 

 朝食を済ませ与えられた部屋で寛いでいた所にやってきたリンドウの申し出にルナ達はザクロ皇帝のいる部屋へと赴く。


 スミレの死により妖刀アキギリの呪いが解け、ザクロの父であるヒナゲシは目を覚ましたが、呪いの後遺症あってか状態は芳しくなく、国を治めていくのは難しい為、正式に皇位を息子であるザクロに引き継がせたのだ。


 そんな訳で現在この国は皇帝が代わったことによりバタバタしており、ザクロ皇帝やリンドウらと話す機会が作れなかったが、ようやく落ち着いたようでこうして話し合える時間が出来たらしい。


 「だいぶ忙しいみたいだね」


 「皇位の代替わりだけならそれほどでもないのですが、今回は聖王国ともトラブルを起こしてしまいましたしね。どうしても政治的、外交的面でも色々と根回しをしなくてはならないのですよ」


 ルナの言葉にリンドウは笑いながらもそう答えるが、やはりその顔には疲れが感じられる。きっとリンドウもザクロ皇帝の右腕として、そしてこの国の文官のトップとしてこの三日まともに寝ることなく働き続けたのだろう。


 「…………とまぁ、詳しい話はこれからいたしましょう」

 

 そう言ってリンドウはとある部屋の前に立ち止まる。どうやらここが皇室のようだ。


 「陛下、ルナ殿達はお連れ致しました」


 「…………やはりどうもその名は慣れないな。こんな時くらいいつも通りに接して欲しいんだが」


 「…………それもそうだな。ルナ殿達前では俺もお前に気軽に接しさせて貰うよ」


 そう言ってザクロとリンドウは笑い合う。国のトップと文官ののトップとして、今までのような気さくな間柄は中々とれないのだろう。それにルナ自身もこっちの方が気が落ち着くのでありがたかった。


 「ゴホンッ…………、とまぁ、とりあえずだ…………」


 ザクロ皇帝は咳払いをした後、立ち上がってルナ達を見つめると、


 「この度は大変世話になった。一国の主として改めてお礼申し上げる」


 そう言って深く頭を下げた。


 「ちょっ、ちょっと!頭を上げてください!」


 「私からもお礼を言わせて下さい。この国と、そして大事な親友と姫様をお救い頂き感謝申し上げます」


 ルナの慌てぶりをさて置き、そう言ってリンドウも深々と頭を下げる。国のトップを担う二人から頭を下げられれば流石のルナも落ち着かない。


 「本来であれば救世主たる貴方々を国を奮ってもてなしたい所であるのだが、聖王国と緊張状態が続いてるが故にこの様な感謝の伝え方しか出来ないのは申し訳ない」


 「そ、そんなに気にしないで下さい」


 頭を下げ続けるザクロ皇帝とリンドウにルナはあわあわとしながら返答し、そしてようやく二人は頭を上げた。


 「それでだ、本来であれば我がアスカと魔王国とで国交を結びたいのだが、先程も言った通り今は無闇に聖王国の気を引くような事は出来ぬ。…………しかし、表向きはどうあれ何か困った事があれば貴方々の力になる事をここにいるリンドウと約束しよう」


 ザクロ皇帝の言葉と共にリンドウも頷く。


 「うん。これからもよろしくね」


 ルナはそう言って右手を差し出す。その直後に相手が皇帝である事を思い返し焦るが、気にした様子もなくザクロ皇帝はルナとの握手に応じた。


 そしてそんな二人の握手を見て、


 「あは♪これで魔王国グランデリシャとアスカの裏国交成立ですね♪」


 とミサは上機嫌に言うのであった。


▽▽▽

 「さて、お礼を言って間もないがもう一つお願いがあるのだが」


 「なに?私達に出来ることなら何でも言って」


 すっかり気を遣うことを辞めたルナが尋ねると、


 「ツバキ」


 とザクロ皇帝はツバキを呼ぶ。するといつからいたのだろうか、ルナの影からツバキがにゅっと現れ、そのままザクロ皇帝の隣に並ぶ。


 「知っての通りルナ達のお陰でツバキの吸血鬼の力は落ち着いた。しかし今見てもらった通りツバキは今も吸血鬼としての魔力を使う事が出来る」


 ザクロの言葉に合わせてツバキもう一度自らの影に出入りして見せる。


 「そして聖王国を退けられたとはいえきっとこれからもツバキの事はマークし続けるだろう。そこでツバキとじっくり話し合ったのだが…………」


 ザクロ皇帝とツバキはまっすぐルナの瞳を見つめ、


 「ツバキの事を魔王国、…………出来ればルナの元で保護してくれないだろうか?」

 

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