表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
151/184

第6話 月下激闘(21)

 「あは♪話終わるのを待っていてくれたんですね♪」


 「…………それくらいの余裕くらいあるわよ?」


 「…………そうですか♪」


 ミサとツバキは表面上笑顔で会話をしている。しかしミサでさえツバキの出現は予想外のようで、いつもの調子で話している風に見えるが少し後ずさりしているあたり、ミサも同様しているようだ。


 「因みに向こうにも吸血鬼ちゃんの魔力反応を感じるんですけど、からくり教えてくれたりします?」


 「…………簡単なことよ」


 ミサの質問にツバキは躊躇無く答え、ツバキが魔力を練るとツバキの影から分身の様な物が現れる。


 「…………これと同じのを向こうに置いてきただけよ」


 「…………なるほど、随分と立派な分身ですね♪魔力の流れがそっくりすぎて傍から見れば二人いるように思えますね♪」


 「…………まぁ、この子にはオリジナル程の戦闘力はないんだけどね。単なる囮だから気にしなくていいわよ」


 「…………ご丁寧にどうも」


 会話が終わるとツバキは分身を影の中に戻す。そして辺りをぐるっと見渡し、


 「…………ねぇ、私も一つ貴女に聞きたい事があるんだけど」


 「あは♪なんですか?」


 「…………私の大事な眷属はどうしたのかしら?」


 ツバキがその言葉を口にした途端、ルナ達の周囲になんとも言えないプレッシャーが降りかかる。


 「…………確か貴女がスミレを連れて行ってわよね?どうして貴女がここにいてスミレがいないのかしら?」


 「あは♪あの女なら向こうでスヤスヤしてるんじゃないですか」


 「…………そう」


 ツバキは静かに、しかしどこか安堵するような様子でそう口にする。そんなツバキにルナはまだツバキの心が完全に失われたわけでは無いと思ったが、


 「…………影の茨姫(ダークスオン)


 影から生まれる無数の茨が一斉にミサを襲う。ミサはそれを上手く避けるが、その動きをツバキは読んでいたようで、避けた先にツバキは一直線に向かい、魔力の籠った重い蹴りの一撃をミサに喰らわす。


 「「ミサ(様)!!」」


 蹴り飛ばされたミサはすんでのところでガードをいれダメージを抑えられた。立ち上がるミサにツバキは尚冷たい目線を向け、


 「…………あの子(スミレ)の生命エネルギーは感じ取れるから殺してはないみたいね。それに免じて貴女は楽に死なせてあげるわ」


 「あは♪因みに殺してたらどうなってたんですかね?」


 「…………聞かなきゃ分からない?」


 その言葉と同時にミサは手に持つ刀とは別に影の刀を装備し、二本の刀を携えミサを襲う。


 「とと……、余程あの女の事が大事みたいですね♪」


 ミサもいつの間にか取り出していた剣を使いツバキの攻撃を受け流していく。


 「…………吸血鬼と眷属の絆は何よりも固く重く大事なものよ」


 「あは♪それは今と昔、どっちの吸血鬼ちゃんの話なんですか?」


 「………………!!」


 ミサのこの言葉がツバキの気に触れたのだろうか、ツバキから暴走し、魔力進化して初めて明確な怒りと敵意が発せられる。


 激しくなるツバキの攻撃を受けつつ、


 「あは♪地雷でも踏みましたかね」


 と呑気な声を上げつつもミサはその凄まじい攻撃を受け止め続ける。ルナとオニヒメ二人でも苦戦したツバキ相手に一人で渡り合う姿を見て、ルナはミサが魔王軍のNO.3である事を実感した。


 「ルナよ!ワシらも加勢するぞ!!」


 「…………!そうだね!!」


 つい二人の戦いに目を奪われていたルナはオニヒメの言葉にハッとし、それぞれ左右に別れてツバキに攻撃を仕掛ける。


 「…………貴方たちは邪魔、この悪魔の後に相手をするから」


 しかしツバキの意識はミサを殺すことだけに向いている為か、そんなルナ達には大して注意は向けず、


 「…………影の茨姫(ダークスオン)・|乱れ咲き(カルテット)」 


 影の茨姫でルナとオニヒメの行く手を阻み、真っ直ぐミサの方だけを見つめる。


 「あは♪随分とモテてしまったみたいですね♪」


 「…………その減らず口、すぐに黙らせるから」


 ミサとツバキによる激しい攻防が繰り広げられるのをルナ達は目の前を塞ぐ無数の影を倒しながら見守るしか出来ない。


 「…………っ!どうすればいいの!?」


 作戦の為か必要以上に攻撃を仕掛けないミサが徐々に押し込まれてるのを焦るルナは少し声を荒げてしまう。そんなルナに、


 「ルナちゃん♪」


 ミサはチラッとルナの方を見て、


 「遠慮はいりません♪私ごと吸血鬼ちゃんに特大の一撃を与えてください♪」


 ととんでもない事をミサは口にした。


 「え!?……で、でも」


 「私を信じてください」


 そう口にするミサの顔つきは普段見せない真剣な表情であった。


 「ルナ、ここはミサ様の言う通りにするのじゃ!」


 「…………っ、分かった!」


 ミサとオニヒメに促されルナは魔力を高める為に集中する。次第にルナを取り巻く魔力が高まっていき、ミサ相手に攻め続けていたツバキもその異変に気付いた。


 「………………あれを喰らうのは不味そうね」


 「あは♪だからといって逃がす気はありませんよ?」


 「………………ホント嫌な悪魔ね」


 ツバキは心底不愉快そうな表情を浮かべつつ、自身の影から影の茨姫を生み出して自分の腕を斬りつける。


 「…………要は貴女を嬲りつつあの魔法を妨害すればいいだけじゃない。鮮血の時雨(ブラッディスコール)


 ツバキの腕から溢れ出す血が一斉にルナに襲いかかる。ツバキの相手をしているミサも魔力を高めているルナもそれを防ぐ手段は無いが、


 「ワシの事を忘れるでないぞ!」


 そう叫びながらオニヒメはルナの前に立ち、


 「鬼神の炎華(ヘルフレイム)花火(バースト)!!」


 オニヒメの魔法により現れた数多の炎がツバキの鮮血の時雨を一つ残さず燃やし撃ち落とす。



 「コレでワシも魔王軍幹部としての威厳を少しは保てたかのう」


 「…………煩わしい」


 オニヒメに防がれたのが予想外だったのかツバキは舌打ちをする。


 そして、


 「ミサ、オニヒメ!ありがとう!!準備出来たよ!!」


 魔力を為、ツバキに特大の一撃を与える準備の出来たルナはステッキをツバキに向ける。


 「ツバキちゃんにまとわりつく邪悪な魔力を打ち払え!降り注げ!慈しみ溢れる光の雨!魔法光雨(ルミナスシャイン)!」


 ルナの撃ち放った魔法はミサごとツバキに降り注いだ。


 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ