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第4話 月下動乱(4)

 「じゃあフォーリア達が着いたのはついさっきなんだ」


 フォーリアが用意してくれていたご飯を食べながら、ルナはフォーリア達からこれまでの経緯を聞いていた。


 フォーリアとロゼはこの国に来てすぐの頃、ルナとミサが海で戯れていた時にその周辺を探索しており、その際ここ月光花の洞窟を見つけていたので、ここまで来るのに迷いはしなかったようだ。


 しかし聖王国の連中に、まだこの国に滞在してる事がバレると面倒な事になるので、しばらく身を潜めた後にここに向かったとの事だ。


 「でもみんな無事で何よりだよ!」


 「戦闘は控えつつ、最小限の牽制だけして逃げに徹したからな。…………それよりルナ達もよくツバキの事連れ出させたな!その研究所とやら、この国の上層部でも中に入れないほど謎の施設なんだろ?」


 「そこははい!この私が大活躍したんですよ♪」


 とルナとロゼの会話にミサがしたり顔で割って入ってきた。


 どうやら作戦の方は順調に進んでいるようだ。


 ルナはうんうんと頷きながら、周囲の仲間達を見渡す。そしてやはりある一点に目が止まってしまった。


 「あのさぁ……、起きてからずっと気になってたんだけど、なんでそんなに懐かれてるの?」


 ルナはロゼの方、……もっといえば座っているロゼの膝の上に座っているツバキを見てそう尋ねた。


 ルナの質問にロゼは「ハハハ……」と小さく笑い、ツバキは不思議そうにルナを見て、ロゼの胸に頭を寄り掛かりながらご飯を食べている。


 「…………ロゼお兄ちゃんのここは落ち着く」


 ツバキはそう言うと顔を上げ、ロゼの目を見てニコッと笑った。


 「そうか、そうか」


 ロゼもロゼで懐かれてる事に満更でもなさそうで、そんなツバキの頭を撫でている。


 「……………………ロリコン?」


 「お前!それはやめろ!!」


 ルナのボソッと言い放った呟きにロゼは全力で否定する。


 そしてそんなやり取りをしてる中、オニヒメとオニキシの二人がそれぞれロゼとツバキを挟むように両脇に座り、


 「改めてこの可愛い子があの伝説の吸血鬼の先祖返りとはなぁ……」


 「でも内から伝わるこの魔力、鬼族の私達なら彼女が本物だと分かります」


 「じゃな。…………にしても可愛いのぉぉ」


 とツバキが吸血鬼の力を持ってる事を鬼族の二人が断言し、オニヒメに至ってはツバキの可愛さにメロメロになっていた。


 「あはは、吸血鬼ちゃん人気者ですね♪」


 そんな光景を見ながらミサがルナの隣にやってきて、そう言って笑いながらその場に腰を下ろす。


 そしてミサがルナの隣に座った瞬間、


 スッ


 「…………え?」


 ルナはミサとの距離を取り、その行動を目の当たりににしたミサはポカンとする。


 「…………………………」


 スッ


 「なんで!?」


 ミサはルナと距離を詰めようと静かに横にズレたが、それに合わせてルナも再びミサとの距離をとる。これに思わずミサは悲鳴じみた声をあげた。


 「…………私、嫌われるようなことしました?」


 ミサの声にはいつものような元気さが伝わらない。分かりやすいくらい落ち込んでいるようだ。


 「あ〜いや、別にそういうんじゃないんだけど……」


 夢の中でミサとの仲をリーシャに嫉妬されたから、なんて言えるわけもなく、ルナは愛想笑いを浮かべて誤魔化す事にする。


 「それはそうとルナ様」


 ミサの反対側のルナ隣に座っていたフォーリアがルナの腕をつついて声を掛けてきた。


 「どうしたの!?フォーリア!」


 ルナは内心でミサに謝りつつ、話題を変える為フォーリアの方を振り向く。


 フォーリアはルナの勢いの良い振り向く気に驚い様子を見せるが、すぐに恥ずかしそうに下を向き、


 「…………ぬいぐるみの事、いつお嬢様から聞いたんでしょうか?」


 と尋ねてきた。


 「…………………………………………」


 ルナはフォーリアのこの質問にどう答えようか悩む。フォーリアのこの反応から、夢の中でリーシャが教えてくれたフォーリアの秘密は本当のようだ。つまり夢の中に現れたリーシャは本物ということになる。


 (まぁフォーリア達に話しても問題ないよね。…………ミサの件は伏せるけど)


 そうと決めれば、リーシャの事は早くフォーリア達に教えるべきだろう。


 「その事できちんと話があるんだ。…………ロゼもちょっとこちに来て聞いてくれる?」


▽▽▽

 ルナは先程寝ている間に起きた出来事をフォーリアとロゼ、そして相変わらずルナの隣りをキープしているミサに話す。その間、ツバキの面倒はオニヒメ達が見ていた。


 「そうですか……、お嬢様は魂だけになっても元気でしたか」


 ルナの話を聞き終えたフォーリアは、どこか安堵したような表情を浮かべた。


 そして同じくルナの話を聞いていたロゼとミサは、


 「「ぬいぐるみのベティちゃんか」」


 「それは忘れて下さい!!」


 とフォーリアの黒歴史?を面白おかしく二人してイジり始めた。


 「まぁ、でもリーシャの魂はきちんとルナの中で生きてるって事は分かったんだ。それだけでも嬉しい事じゃないか」


 ロゼは恥ずかしさを誤魔化す為に肩を叩いてくるフォーリアを気にせず、笑ってルナにそう言い、


 「そこら辺の事情は帰ったら専門のユリウスさんとカルメアさんに聞きましょ♪」


 といじけているフォーリアの頭を撫でながらそう提案した。


 「そうだね…………。早くリーシャを蘇らせて、みんなにも会わせたいしね」


 ルナは改めて目標であるリーシャの蘇生を心に決意した。

 


 


 


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