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第3話 吸血鬼救出作戦(10)

 「ここにツバキちゃんがいるんだよね?」


 「そうですね♪ただ研究所の中はどうなってるか分からないみたいなので、先ずは吸血鬼ちゃんを探すところからですね♪」


 研究所から少し離れた所で、ルナとミサは研究所を眺めている。


 リンドウの作戦で、オニヒメを囮にしている間に、ツバキと一応は面識のあるルナとミサが研究所からツバキをこっそり連れ出す手筈になっている。


 「フォーリア達も大丈夫かな?」


 「オニキシ君も一緒だし大丈夫ですよ♪オニキシ君、強いですし♪」


 「…………そうだね」


 ミサの言葉にルナはアスカに来る前、オニキシと共にダーウィンの訓練を過ごした二週間を思い出す。そこでルナは近接戦闘を中心に鍛えてもらえたし、その中でオニキシとも組手をやってきたので、彼の強さはルナも十分理解していた。


 「フォーリアとロゼに何かあっても、オニキシなら何とかしてくれるか。…………それにいざとなったら、オニヒメだって向こうにはいるんだし」


 とルナは自分の心配など杞憂だったと思い直し、「あっ、そうだ」とふと疑問が思い浮かんだ、


 「そういえば何でタイミングよく変装道具なんて持ってたの?」


 ルナは少し前、リンドウがオニヒメにツバキの身代わりとなって欲しいとお願いした時の事を思い出す。


 ミサはその話になった途端、どこからともなく銀髪のウイッグと赤のカラーコンタクトを取り出し、嫌がるオニヒメを追い掛け回して、まるで着せ替え人形で遊んでいるかのように、楽しそうにミサはオニヒメの変装を施していたのだった。


 「あぁ〜、アレはですね♪持って来たのではなく、取り出した(・・・・・)んですよ♪」


 「ん?どういう事?」


 ミサの説明にルナは理解出来ずにいると、「見てもらった方が早いですね♪」と言って、ミサは目を紅く輝かせ、何やら空中で右手をゴソゴソし始めた。


 何をしてるのだろうとルナがその様子を見ていると、


 「じゃじゃーん♪こんな感じですよ♪」


 といつの間にか、ミサは右手に可愛らしいメイド服を握っていた。


 「えっ!?どこから出したの?」


 驚くルナに「ふふ〜ん♪」とミサはしたり顔をし、


 「魔法で私の部屋と空間を繋げたんですよ♪……まぁ、ここでは距離がかなり離れてる分、腕一本と視界しか繋げられませんけどね♪」


 と説明した。


 「便利な魔法だね……、羨ましいかも」


 忘れ物した時とか便利だなぁ、とルナはそんな風に思った。


 「どうです?折角ですし着ますか?」


 とミサは手に持つメイド服をルナの前でヒラヒラさせながら聞いてきたので、


 「いやいや着ないよ!?こんな話してるけど、今私達は敵地に潜入するとところだからね!?」


 と自分から話を振ったことを棚に上げ、ミサにそう告げる。


 それに対してミサは、


 「残念です♪メイド服はまた別の機会にします♪」


 と少し不穏な言葉を口にしたが、ルナは気にしない事にした。


 「それでどう潜入する?」


 「そうですね……、ナロさん程ではないですが、私も気配消しの魔法位は使えるので、それでとりあえず中に入りましょうか♪」


 そう言うとミサは、自分とルナに魔法をかけた。


 「はい♪これで私達は他の人からは見えなくなりました♪」


 とミサは再びしたり顔を披露する。


 「…………本当に大丈夫なの?」


 ルナは自身とミサの身体をジッと見ながら疑いの目を向ける。


 パッと見で変わった印象がないというのもあるが、先日の海での一件で、若干ミサに対する信頼をルナは失っていたのだ。 


 「むっ!……ちょっと見ててください♪」


 ルナの言葉にミサは頬を膨らませ、そう言ってルナの傍から走り去っていった。


 そして研究所の入口近くに立っている研究員らしき人の前に立ち、ぴょんぴょんと跳ね回る。


 そしてミサの言う通り他の人からはミサの姿は見えていないようで、研究員は目の前にいるミサに気付くことなく、ただ見張りの役目を全うするかの様に立っていた。


 ミサはそこから目の前の研究員に舌を出したり、お尻を叩いておちょくったりした後、満足気な表情を浮かべてルナの所に戻って来た。


 「どうですか?これで信じてもらえましたか?」


 「うんうん、信じた信じた」


 「今なら人前で全裸になっても問題ないですよ♪」


 「それは流石に問題あると思うなあ!? 」


 そんな風やり取りをルナとミサがしていると、


 「あれ?あそこにいるのって……」


 ルナは少し離れた位置にいる一人の女性に目がいった。

 

 「あっ、スミレさんですね♪」


 ミサはルナの視線を追ってスミレの存在を確認する。


 スミレも研究所から少し離れた位置で、見張りの研究員にバレないよう姿を隠しているようだが、まるで誰かを探しているかのように辺りをキョロキョロしている。


 「もしかしてリンドウさんが言ってた人ってスミレさんかな?」


 リンドウは作戦を伝え、オニヒメやフォーリア達と別行動をする事になったルナ達に、ツバキ救出の手助けをする人員を送ると言っていた。


 その為ルナ達はその人が来るまで、こうして身を潜めて研究所の近くで待機していたのだ。


 「多分そうですね♪…………じゃあ来てもらいますか♪」


 とミサが言うと、先程メイド服を取り出し時みたいに目を紅く光らせ、両手を掲げてゴソゴソする。


 「えっ!?」


 するとミサは離れた位置にいるスミレを両手で抱き抱え、そのままコチラに空間移動を経由して連れて来た。


 「え?…………え!?」


 突然自分が瞬間移動したかのように錯覚したスミレは、慌てるように周囲をキョロキョロする。


 しかしルナとミサは姿消しの魔法を使っている為、スミレからは二人の姿は当然見える事は出来なかった。


 「……なんか面白そうですし、イタズラしますか♪」


 とミサは面白そうに笑い、姿は消えても声は聞こえるようで、近くから聞こえるミサの声にスミレはビクッと身体を震わせた。


 「いい加減にしなよ……。とりあえず魔法解いて」


 と呆れ気味にルナがミサにそう言うと、


 「はいはーい♪」


 と言ってミサは魔法を解いた。


 「!?!?ルナ殿!」


 「!?シー!」


 突然姿を現したルナ達にスミレは驚きの声をあげたので、ルナ慌ててスミレの口を手で塞いだ。

 

 

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