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第一話「三枚舌」

異世界に転生したわたしは、王様に人類の歴史にヒントを得た作戦を進言した

 異世界に転生した私、エリカは王様から現状と私に手伝ってほしいことを教わった。私を召喚した王様はヴィクティマ2世っていう初老の王様で、「ヴィクティマ王国」を治めているらしい。王国は人口800万人ほどで、豊かな土地に位置するけど二つ問題があるとのこと。一つめの問題は魔王の根城である暗黒大陸に近いこと、もう一つは国内にいろんな種族が暮らしていることだ。

 王様は言った。「この国には人間以外にもさまざまな種族の者達が住んでおる。魔王と戦う上で問題となるのが、多くの種族をまとめあげることじゃ。これは簡単な問題ではない。例えば獣の体を持つ獣人族と我々では生活もかなり違う。魔法に長けたエルフ族と鋳造に長けたドワーフ族は互いに仲が悪い。彼ら全員を協力させることが、最優勢なのじゃ。」

 私は正直、なんだそんな問題か、と思った。私たちの世界での知識を使えば、簡単に解決できる。そう確信して私は王様に言った。

「大丈夫です。名案が浮かびました。」

「さすが転生者殿!それはどんな案じゃ?」私は自信満々に答える。

「王様、まずエルフ族の長に会いましょう。魔王討伐に協力すれば秘密裏に彼らを優遇すると伝えるんです。貴重な薬草を斡旋したり、エルフ族に特権を与えたり…」王様が怪訝な顔をして尋ねる。

「なるほど…転生者殿が言っているのは魔法を重視してエルフ族から優秀な者を引き抜くということか…。しかし、それでは逆にドワーフ族などの反感を買うのではないか?」私は満面の笑みで答える。

「違います、王様。エルフ族の長に会った後で、ドワーフ族の長にも会って同じような優遇の話を持ちかけるのです。ドワーフ族にも、ホビット族にも、獣人族にも、みんなから協力を取り付けるんです!」

「え?」王様が困惑した表情を浮かべる。「それは…騙すということではないか??それに全種族への優遇なんて我が国には出来ない…」すかさず私は返答する。

「そのために秘密裏に約束するんですよ。それに約束が果たされるのは魔王を倒した後です。魔王を倒すまでは騙したとは言いませんよ。魔王を倒せば暗黒大陸の土地が手に入り、経済的にも少しは余裕が生まれる。契約履行はその後でゆっくりやればいいじゃないですか。まずは目の前の魔王を倒すことを考えましょう!」

 王様はそんなものか、と頷き私の話を承諾した。こうして私は異世界で魔法を使うことすらせずに、多種族の力を合わせて魔王に立ち向かう礎を築いたのだ。


To be continued!


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