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看板娘始めました  作者: 暗根
本編
95/177

ハーレム?

コンコンと民宿「しろすな」の3号室の扉を渚が叩く。

そろそろ夕飯の準備しないといけないからである。


「すみませーん。今お時間大丈夫ですか?」


渚が扉の向かって声をかけると驚いた様子の男の声が聞こえてきた。


「えっ、誰の声だ?」


「もう悠太お前黙ってろ。大丈夫ですよ」


「じゃあ失礼しまーす」


渚が扉を開けると中に男2人。

大月雅彦と、戸川悠太である。


「こんにちは大月さんお久しぶりですね」


「ああ久しぶり渚ちゃん。ごめん突然押し掛ける感じになっちゃって」


「ぜーんぜん大丈夫ですよー?家近いのにどうしたんですかー?美船ちゃんと喧嘩したんですか?」


「いやそういうわけじゃ無いけどさ。まあ、自分一人だったらわざわざ泊まりには来なかったと思うんだけど…」


雅彦が言葉を濁しながら隣の悠太を見る。

渚もまた悠太の方に向き合った。


「あ!初めまして。ここで働いてる白砂渚です。咲希姉の妹です。よろしくお願いします」


「あっ、え、妹さん?」


「え、ああはいそうですよ」


「あ、へー…ああ、えっと、戸川悠太です。よろしくっす」


「よろしくです。戸川さん?いっつもランポって呼ばれてる人ですよね」


「え、あれ、知ってる?」


「隣の部屋から時々叫び声聞こえてくるので」


「ああ…あ、えっとそうそう。いっつも咲希ちゃんとゲームやらせてもらってるから…」


「咲希姉と遊んでくれてありがとうございます。にしても大月さん友達いたんですね」


その一言に雅彦が突っ込む。


「そりゃいるよ!え、そんなにボッチな感じあった自分?」


「だっていっつも美船ちゃんに連れまわされてるじゃないですかー暇人みたいに見えるっていうか、暇人?」


「違うよ!というかそもそもあれは美船がどこか行くときにわざわざ予定空けてるんだから…」


「シスコンですねぇ」


「うーん…まあ、否定はしない、かな」


まあシスコンと呼ばれても仕方ないのは本人も自覚している。


「成程、大月さんはシスコンと…」


「それは覚えとかなくていいからね」


「覚えましたぁ。これからネタにしていこうと思います」


「しなくていいよ!ただでさえこいつにいじられること多いのに…」


「え、いじられるんですか?どんなふうにですか?」


「別にいじってねえよ。ただなんか見てると腹立つだけだ」


悠太が投げやりな感じでそう呟く。


「って言われてますけど」


「俺はそんな何かしたつもり全く無いんだけど…こいつ女っ気全く無いから妹と一緒に歩くだけで僻まれるんだよね…」


「妹いない人的には妹がいるってだけでちょっと羨ましく思えるのは分かります」


「え、渚ちゃん分かってくれる?」


「分かります分かります。こうーブラコンシスコンみたいな関係っていいですよね。夢ですよね」


「そーそー滅茶苦茶仲いいんだよねこいつさ。羨ましい…」


「成程成程、しかも咲希姉とも一緒にいますもんね。妬まれますね」


「ちょ、渚ちゃんまでそういう…」


雅彦がたじろぐ。

周りが敵しかいない。


「えーだって傍から見たらハーレムみたいに見えるじゃないですかぁ。そりゃあ、妬まれますよ」


「そらみろ!そうやって見えるんだよお前はよ!」


「えぇ…?俺普通に仕事してるだけ…」


「でもお出かけもしてますよね?」


「まあ、足だしね…」


「ほんと、なんか感謝してるんですよこれでも。咲希姉と遊んでくれるのほんとありがたいので」


実際こうでもしないとたぶん咲希が外に出ることはほとんどない。

それが分かってるからこその感謝の気持ちである。


「むしろこっちとしては妹の振り回しが多少なりとも分散するから大助かりなんだけどね…」


「じゃあWIN-WINですね。てことでこれからも妬まれると思いますけど、咲希姉と遊んでくださいね」


「俺は妬み続けるからな…!」


「う、既になんか嫉妬の念がやばい」


横から黒いオーラを出している悠太に対して渚が一言。


「戸川さんも良い人が見つかるといいですね」


「え、ちょっと待って、それつまりこいつと咲希ちゃん、え?」


渚の発言を深読みして慌てる悠太。

咲希と雅彦ができてるという風にとったらしい。


「なんのことですか?」


「え、あ、え?そういう意味では無い?」


「あんまり深く考えてなかったですね」


「あ、そうか…ならいいや…」


「妬んでばっかでも仕方ないので、自分磨きをするといいんじゃないですかね」


「言われてるぞ」


「うるせえ!」


叫ぶ悠太。

自覚はありそうである。

そこまで話して渚が聞かなければならないことを思い出した。


「ああ、そうだそうだ忘れてた忘れてた。今日夕飯のことで聞きに来たんですけど、何が食べたいですか?」


「んー…それ何言っても大丈夫なの?」


「今から一時間以内で用意できるものなら」


「うーん…悠太お前はなんかないのか?」


「え?あーまああえて言うなら肉食いたいけど」


「肉ですか?いいですね私も肉好きですよ」


「やっぱ肉は正義だよな」


「お肉は正義ですね」


そこまで話して悠太がふと気が付いたように渚に一言。


「え?やっぱ聞くってことは作ってくれる感じなのこれ?」


「え、ああ、そうですよ。夕飯はいっつも私が作ってるんです」


「へぇそうなんだ。美少女の手作り…」


小さな声で悠太がつぶやいた。


「あ、それで大月さんはどうしますか?ドックフードとかでも大丈夫ですか?」


「それやったら後から咲希さんに締め上げられそうだけど大丈夫?」


さらっとそう返す雅彦。

渚にとって想定外の反応である。


「自分の心配じゃなくて私の心配するんですね。優しいというか、ネタを振った甲斐がないというか」


「ネタを正面から受けるとネタの上乗せされるからね」


「なんか大月さんが強くなってきてる気がする…」


少々不満げに呟く渚。

まあ毎回こんなことやってれば雅彦側にも耐性ができるというものである。


「はは、まあドッグフードはやめてもらえると助かるかな。人の食べ物でお願いします」


「やめてください。そんないい笑顔で言わないでください。良心が痛みます」


「あはは、一本取った」


「一本取られました…じゃあご飯の用意してくるので、また作り終わったら呼びますね」


「ああ、うん。じゃあお願いします」


「はい分かりました。大月さんと戸川さん、今日はゆっくりしていってくださいね。では失礼します」


そうして渚が扉を閉めて出て行った。

部屋に残された悠太がしばらく経ってから雅彦に話しかける。


「なあ雅彦」


「なんだ」


「確かさ、前ちらっと渚ちゃんが通話に参加してたことあったじゃんか」


「あったな」


「確か16つってたよな」


「年?そう言ってたはずだけど」


「つまり現役JK…JKの手料理…!しかも美少女…!なんだここは…美女に怒られて、美少女JKに手料理を食わせてもらえる…!極楽かここは…!」


「お前な…少しは自重しろよ…」


平常運転の悠太であった。



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― 新着の感想 ―
[一言] ドッグフードはね、高いやつだとね 下手な人間飯よりも美味いらしいんだよね
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