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看板娘始めました  作者: 暗根
本編
63/177

ネッ友

「くぅーよし、こんなもんっしょ。あー疲れた。いかんな、客いる時手伝ってもらってたせいでなんかむっちゃ疲れた気がするべ」


民宿「しろすな」2階。

自室にて伸びをする咲希。

連日続いたお客ラッシュがようやくひと段落し、今日は久しぶりに静かな日々である。

それでも日課の掃除だけは欠かしていないようだが。


「さーってと。ゲームゲームっと」


自室に戻って一番最初にやることと言えば、とりあえずパソコンを付けるところからである。

咲希は何をするにしてもだいたいパソコンを使うので使わないパターンの方が少ないのである。

まあ今日は仕事ではなく、ゲーム目的のようだが。


「えーっと、まあとりまオンか」


そう言いながらパソコンを開いた咲希が真っ先に付けたのはオンラインゲーム。

最近はまっているらしい。

とりあえず暇なときにパソコンを付ければだいたいつけている感じである。


「えーっと、この前どこで終わったっけ…流石に連日はやる時間無かったもんな」


基本的にお客がいない日は暇しているので、毎日のようにやっている咲希であるが、客が来ている、特にたくさん来ている日は、そもそもいつ呼ばれるか分からない上に、単純に疲れているため、やらないことの方が多い。

気が休まらない状態でゲームはあんまりしたくないのである。


「あーここで終わってんのか。クッソ、帰るのだりぃなおい」


眉間にしわが寄る咲希。

どうやら前回終わった時に変な位置で終わっていたようである。

マップ広いゲームなのでいつものところまで戻るのが面倒くさい。


「あれ、雅彦兄さんログイン中か?あれ、休みなんかな」


ゲーム内でメニュー開いてフレンド登録の欄を確認して呟く咲希。

実は雅彦とゲームやる仲であるので、結構頻繁にオンゲの中で会っていたりする。

その他ゲームでも一緒にやってたりと、リアルで会った量の割に、ゲーム友達としての付き合いは結構長い。


「お、こっちいる。呼んでみるか」


咲希がゲーム画面から画面切り替えて、音声通話用に入れているアプリを見てみれば、雅彦の表示がオンラインになっていた。

なのでチャット使って呼んでみる。

まあ来たら一緒にやれるかなくらいのノリである。


「お、返信あった」


『すいません。ちょっと待ってもらっていいですか』


『大丈夫ですよ。やれるかなと思って呼んだだけなので』


とりあえず呼んでみたがお取込み中のようである。

しばらく1人でプレイを続ける咲希。

そこにもう一度連絡が届く。


『今別の奴とこれ遊んでるんですけど、よければ一緒にやりません?』


『ん、お友達ですか?』


『そうです。今一緒にやってるんですけど、別にやってる人いるって言ったらやらないかと』


『いいですよー、どこ行けばいいです?』


『あ、送りますね場所』


「ほへー。誰だろ。どうせ知らん人だけど」


まあ咲希の知っている人と言えば、大月兄妹に渚の友達の一部。

あとはせいぜい近所の人の顔とかぐらいなのでまあ確実に知らない人なのは確実である。


「えーっと、うわ遠。どこだよ」


ぶつぶつ言いながらゲームの操作をする咲希。

再び咲希に連絡が届く。


『あ、通話の方送っときますね』


『あはーい。行きますね』


「えーっと、これかな」


連絡と一緒に張られたURLから通話に飛ぶ咲希。

通話参加音と共に、新しい誰かのいる通話に入る咲希。


「お、どうもです」


「あ、どうもでーす」


「は?え、女の人?」


「え?」


いきなり驚かれる咲希。


「え、あれ、言ってなかったっけ?」


「聞いてねえ!」


「あ、えーっと?」


滅茶苦茶反応されて戸惑う咲希。

こういう反応は想像してなかったようである。


「あ、スイマセン。えっとこいつが俺の友達の…えーっとどうするネットネームにしとく?」


「あー…まあ一応そっちしとくか?」


「じゃあそっちで。えっとまあランポって呼んでやってください」


「ランポさん?よろしくです。咲希です」


相手がネットネーム名乗ったのに本名売っていくスタイルの咲希。

あんまりその辺は気にしていないようである。

まあリアル知り合いの友達ならいいかなのノリである。


「あ、え、名前」


「あ、ネットネームにした方が良かったです?私あんまり気にしてないですけど」


「いや、咲希さんいいならいいですけど」


「えーっと、咲希さんで、いいっすかね?」


「あ、はい。それでいいですよ。じゃあ突然ですけど、よろしくお願いします」


「はいよろしくー。あー咲希さん、えっと、あー咲希ちゃんでもいい?なんか言いにくいわ」


「ん、別にいいけど」


サラッと了承する咲希。

あんまり呼び方は気にしていない。


「よっしゃ、じゃあ咲希ちゃん。え、そこの雅彦とどういう関係なん?」


「ちょ、おま」


「まあいいじゃん?リアルで会ってるんだろ。名前知られてるっしょ?」


「いやそっちもそうだけど、それ以上に何聞いてんだ!?」


「いや気になるじゃん。お前女っ気0だったのに突然女子連れてくるんだからよ」


「女子って年でもないですけどね」


突っ込む咲希。

もう子が付く年齢じゃないと思っている。


「同い年?雅彦と」


「んー…雅彦さん言って大丈夫なやつ?」


「あー…俺は別に気にしないですけど」


「じゃあそうです」


「ほえー。全くどこで知り合ったんだよ雅彦」


「俺の仕事のお得意様なんだよ。たまたまゲーム趣味があったから一緒に遊んだりするようになったんだって」


「へーじゃあ咲希ちゃん結構ゲームやったりするんだ?」


「むしろゲームばっかやってますけど」


ぶっちゃける咲希。

実際暇なときは大体ゲームやってるので間違ってはいない。


「へーいーじゃんいーじゃん。え、パソ派?据え置き派?」


「パソ派ですね。今そもそも据え置き無いです」


「ほー、あ、じゃあ最近雅彦偶に今無理って夜連絡してくるのって咲希ちゃんと遊んでんの?」


「そうだよ。で、もう今回いい機会だし一緒に遊べばいいかなってさ」


「ま、オンゲで人増えるのは悪いことじゃないしなー。クラン入ってるわけでもないから付き合いある人すっくねえし。あ、咲希ちゃん今どこ?」


「そっち向かってるとこなんでちょっと待っててください」


「ほいよ。雅彦、今どこよ」


「お前の後ろだ」


「あ、いたいた」


ゲーム内の居場所確認する。

ゲーム内でフレンドじゃないので場所が分からないので仕方ない。


「2人は付き合い長いんですか?」


「ああ、えっと、高校の時の友人ですね。俺が地元帰ってきた関係で離れちゃって」


「そそ。まあ今は普通にここで連絡取れるからいいんだけどな」


「へーじゃあこれもやってる時間長いんです?」


「そこそこ?数か月くらいか?」


「まあそんなもんだよな」


「ああ、そうなんですね」


「咲希ちゃんどれくらいやってんの?」


「…3年?」


咲希が今のオンゲをやっているのはそもそもここに来る前からである。

アカウントデーターは何故か残っていたので、それを使っているのである。


「長くない?え、ガチの人?」


「いやそうでもないと思いますけど」


「咲希さん。少なくとも俺ら基準から見れば十分ガチのサイド行ってると思いますよ」


「え、そうかねぇ…」


疑問符を浮かべる咲希である。

一応本当のガチ勢には及んでないのと、そこまでのめりこむほどやっていないのでそういう意味ではガチ勢ではない。


「あ、えっと、この人かな?えー…怪人12.2面相さん?」


「あーそれそれ。あじゃあ咲希ちゃんこれか?ヴェードっていうので」


「あそうですね」


「へーおっさんキャラなんだ。女子ってやっぱおっさんのが好きなんか?」


「いきなり偏見吹っ掛けてくのやめろよ。別にそんなことないだろ」


「あーこいつは普段使ってるキャラじゃ無いんで。普段使ってるのは性別♀なんで」


「あ、そうなんだ。というか普段使いじゃないキャラいるんだね」


「ああはい。11キャラほど」


「多くね!?俺まだ1キャラだぞ!?」


無料分だけだと6枠のゲームである。

追加5枠は課金である。


「そうですかね」


「いや多いわ多いよ」


「まあ多いだけで全然使って無いんで。今日も偶々こいつで入ってただけなんで」


「え、装備は装備」


「あ、えーっと写真貼っていいですか」


「どうぞどうぞ」


「こんなんですけど」


「おおう。雅彦にマウント取ってる場合じゃなくなってきたぞ…」


「咲希さんから見たらお前まだクソ雑魚だぞ」


「言うなよ!」


「あはは。まあ、やってる時間が時間なんで…」


「ふぃー…ま、とりあえずフレンド登録投げていい?」


「ああ、はいどうぞ」


「じゃあまあ、よろしく咲希ちゃん。雅彦ともどもよろしく頼むぜ」


「はい、よろしくです」


「あ、あと装備とかちょっと教えて。最近雅彦に抜かれそうで困ってんだ」


「あはは…別にいいですけど」


「よっしゃ。雅彦、おめえには負けねえからな」


「いやそんな闘争心むき出しにされても…」


ネット上で友達が増えた瞬間であった。



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