文化祭(2度目)
明人の学校の文化祭が終了してから1週間後。
だいたい学校の文化祭の時期は被るか近い。
というわけで次に稜子と啓介の学校の文化祭が始まったわけである。
「おーっす。よく来たな」
「来たぞー」
というわけで学校にたどり着いた明人及び渚。
校門を潜ったところに、啓介と稜子が待機していた。
「おはよー来たよ」
「いらっしゃい渚。まあ最初は私たちも回るんだけどね」
「うん、楽しみにしてたよ!」
明人のようにシフト免除にはならなかったので、後半は2人とも回れないらしい。
回れる時間的には大体2時間くらいか。
「それじゃ、早速行きましょうか?そう時間あるわけでもないからね」
「うんうん」
「そーだな、じゃあ行くか」
というわけでそのまま校内へと向かって行った。
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「なあ、どっか行くとこ決めてるのか?」
「え、私は特に…啓介あんたは?」
「ん、あるっちゃあるけど、そっち2人が行きたいとこあるなら優先でいいぞ」
「らしいけど?」
「私全然知らないから、適当でいいかなって思ってたんだけど」
「そうなんだ?明人、お前は?」
「まだパンフ読んでる最中なんだけど…」
「じゃーとりあえず俺行きたいとこ行かせてもらっていい?」
「ぜひぜひ、お願いします」
「じゃああそこ行くか」
というわけで連れてこられた場所は、分かりやすくお化け屋敷である。
「おーお化け屋敷だ。幻でも都市伝説でもなかった」
「え、それはどういう」
「え、私が知ってるとこだと暗幕とか張れなくて、暗くできなかったから、お化け屋敷とか見たこと無かったんだよね」
「へー渚、他の高校の文化祭行ったことあるんだ?」
「うん、前にね」
なお、これは転生前の記憶だが、口が裂けても自分の高校とは言えない。
だって行ってない扱いなので。
「へーお化け屋敷か。俺のとこ行かなかったし、丁度いいかな」
「え、お化け屋敷あったんだ」
「一応あったぞ。まあそこまで行く気してなかったから行かなかったけどな」
「行ける状況じゃなかったしね」
「…言わないで」
以前のあれは未だに引きずっているようである。
まあ忘れる方が難しいか。
「じゃあ、その辺座って待ってよ。順番すぐ来るだろ」
というわけで数十分後。
「次の方ー」
「はーい、行くか」
そのまま4人で入口に向かう。
どうやら4人までは同時に入ってよいようである。
「あ、分けなくていいのね」
「気にしないよ」
「いやなんか2人で入らなきゃいけないイメージあったから」
「むしろみんなでいった方が面白そう」
「そうね、人数多い方がいいわね」
というわけで部屋の中に入った4人。
暗幕とかはしっかり張られているようで、かなり真っ暗に近い。
とりあえず4人で横並びは無理があるので、前後2人づつに分かれた。
「すごーい!くらーい!」
「うわ、暗いな、足元気を付けろよ」
「うん、大丈夫…いたっ」
「言わんこっちゃない。大丈夫か」
「大丈夫、おでこぶつけただけ」
後ろを行く2人はそんな感じである。
怖がるというか、謎の感心をしている。
一方前方2人組。
「…稜子」
「…何」
「あの、俺を前に無理やり行かせるのは何」
「道細いから」
「2人くらい余裕じゃないか」
「うっさい!行け!」
「あー…はいはい」
既に腰が引けている稜子。
明らかに啓介は盾にされていた。
「稜子ー後ろ詰まってるぞー」
「ひゃぃっ!ちょ、ちょっといきなり声かけないでっ!」
「え」
若干飛び上がる稜子。
反応が想定外すぎて固まる明人。
「え、あ、もしかして、怖いのか?」
「うっさい!今話しかけないでっ!」
「あ、へい」
そんな感じだったので若干距離を開ける明人及び渚。
明らかにビビりである。
「…稜子、あいつお化け駄目だったんだな」
「可愛いね」
「そういえば、渚はこういうの平気なのか?」
「あんまり得意じゃないけど、これぐらいなら別に」
「そうなんだ。え、大体こういうのびっくり系だけど大丈夫なのか?」
「うん、全然だいじょ―――ひゃぅっ!」
「うおっ!?」
凄い勢いで後ろに数歩下がる渚。
その渚の声で驚く明人。
「え、何、何があった?」
「へ、びっくりしたぁ…」
「どうした?俺何にもなかったんだけど…」
「今、足に冷たいのが当たった…舐めてたよ…びっくりしたぁ」
「ああ、こんにゃく的なやつ」
「うん、多分そんな感じ」
足に冷たいのがぴたっと来たようである。
驚きつつも冷静さはそのままである。
「…学校のお化け屋敷ってだいたいこんな感じだぞ?」
「お化け屋敷苦手だからそもそも入らないんだよね。どういうやつかも分からないんだよね」
「あーそうなのか。とりあえず、この後もこんな感じの続くはずだぞ」
「いいよ、受けて立って見せるっ!」
謎の決意を固める渚。
と、そのタイミングで前方から悲鳴が上がった。
「きゃああああああぁぁぁ!!!!」
「あっ!稜子っちょ、どこ行くんだ!」
「…あれ、大丈夫かぁ?」
「凄い悲鳴だったね」
「何されたらあんな叫ぶんだ…」
「行ってみたら分かるんじゃない?」
「まあそうだけどさぁ…」
というわけでそのまま進む2人。
何度かびっくりポイントはあったもののそれほど驚くこともなく、そのまま出口付近まで来た。
「あれ、終わりか。2人はもう出てるのかな」
「そうみたいだねーいやー怖かったぁ」
「じゃあ、えーっと、ここ潜って終わりだってさ」
かがんで通るサイズのトンネルである。
幅的に1人づつしか通れそうにない。
「どうする?先行く?」
「いいよ先行って。私があとから行くよ」
「じゃあお先に失礼?」
というわけで先にトンネルを潜る明人。
それに続いて渚もトンネルに入る。
「狭いな…」
「狭いね」
とは言えもう目の前に出口が見えてるのでまあそのまま進んでいく2名。
と、そこで渚の左右から6本くらい腕が飛び出した。
「―――――!」
「うおっ!?」
驚いたらしい渚がそのまま加速。
明人に突っ込んだ。
「え、何、どうした!?」
「へ、あっ、ごめん」
「ま、またなんか出た?」
「う、う、腕がいっぱい」
「うでぇ?あ、横か」
「そ、そう」
ピンポイントに狙われまくる渚。
お化け役も実際狙ってるのだろう。
「と、とりあえず、出口ついたぞ」
「出る!早く出る!」
そのまま廊下に飛び出した。
「最後の最後にあれは卑怯」
「俺全然襲われなかったんだけど…」
「お化けはきっと変態だったんだ」
「それはない…無いよな?」
なお一応お化けの名誉的に、渚自身が見えていたわけではないので念のため。
「ちょ、稜子マジで大丈夫か?」
「なんでこんなとこ一番最初に来るのよばかぁあ!」
すぐ近くにしゃがみ込んでいる稜子と焦ってる様子の啓介がいた。
「稜子ちゃん大丈夫?」
「大丈夫じゃないわよ!もうっ、こういうの、駄目なんだからっ!」
「びっくりしたよねぇ。分かるよ」
「うー…なぎさぁ…」
半泣きであった。
「次は楽しいとこに行こうね」
「うん…」
なおこんなとこに連れてきた啓介は後で稜子に絞られた。




