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看板娘始めました  作者: 暗根
本編
40/177

文化祭

『着いたよ』


『おっけー。今どこ?』


『校門から入ったとこ』


『分かった。近くのベンチで待っててくれ。そっちに行く』


『了解』


というわけで文化祭にやってきた渚。

言われた通りベンチを探す渚。

周辺を見渡すと確かにベンチはあったが、残念ながらそこは既に座られていた。


「リア充が眩しい…」


小声でボソッと呟く渚。

ベンチサイドに座っている人物らは男女ペアだったのでこの発言である。

まあ学園祭なので仕方ない。


「とりあえず目立たなさそうな場所に…」


というと人を待っているのにも関わらず隅の方の木に寄っていく渚。

人目が怖いので隅に寄りたがるのは昔からである。

ということで隅の方の木で待つことにしたようだが、通る人からは定期的に視線が飛ばされる。

まあそもそも人の流れから少し外れているので逆に目立つ。

で、ついでに美少女なので多分余計目立ってる。


「どうしよ…変じゃないかな…」


変ではないが、目立つに決まっていた。

じろじろした目線は無いにしろ、まあ、通る人からいっぱい見られる。

そんな中で明人が来るのを待つ羽目になってしまった。

で、内心正直あんまり目立ちたくないとか思ってる割には、待ち方は自然体とはある意味言い難いそれである。

ゲームのロビーアクションか。

そしてそんなことをしているので余計視線を集めている。

自爆か。

と、そんな風に自爆していると、スマホから通知が入った。


『来たけど、今どこにいる?』


『ベンチのある広場の隅っこの木』


『どこだよ!?』


『逆にどこ?』


『ベンチの広場』


『行くから待ってて』


とそこまで返信してもう一度ベンチのとこまで戻る渚。

戻ってみると、明人がベンチ近くできょろきょろしながら待機していた。

明らかに気づいてなさそうな明人。

それを見た渚のいたずら心が思いっきり反応した。

こっそりと明人の裏へと回り込む渚。

そしてそのまま横腹を突っついた。


「うおっ!?」


「おはよ」


「何やってんだよっ滅茶苦茶驚いた…」


「えへへ~びっくりした?」


「ものすごいびっくりした」


「気づいてなさそうだったからつい」


「わざわざ裏回り込んでまでやることかよ…」


「だって正面から来てもつまんないじゃん」


「待ち合わせなんだからつまんなくていいってば」


「まあまあ気にしない気にしない」


ふぅと息をつく明人。

諦めの面構えである。

で、そんなことを広場のしかもよりによってど真ん中でやっているので、当然目立つ。


「…あ、渚。移動しよ」


「ん?うん、どこ行くの?」


「え?あーとりあえず中で」


「了解」


というと2人で校舎の方へと向かった。

視線は追ってきたが、まあ物理的な追跡まではさすがに無かった。


□□□□□□


校舎内。

文化祭当日ということで、相当な人の量である。

それなりに外からも人が来ているようだ。


「うわぁ、多」


「ん?何がだ?」


「いや人が多いねって」


「ああ、確かにな。割と人くるって言ってたからなぁ」


「成程ねー」


「渚は行きたい場所あるのか?」


「んー…何あるか分かんないから特には無いかな」


「そうなのか?入り口でパンフ配ってんだろ?」


「めんどくさいから読んでない」


「ああそういう…」


一応その中に全部書いてあるのだが、読まなきゃ分からんわけである。


「んー…困ったな、俺も正直何あるか知らないんだよね…」


「そうなんだ。知ってると思ってた」


「準備中ほとんど教室に囚われてたからな…」


「あ、思い出した。神谷君のところ行かないといけなかった」


「え?あ、いや、あれは行かなくていいぞ」


「なんで?稜子ちゃんが絶対見てこいって言ってたよ?」


「あいつ…」


苦虫かみつぶしたような顔になる明人。

こんなでも整ってるあたりイケメン流石である。


「あーうちに来ても映画やってるだけだぞ?」


「なら丁度いいね、見てる間にどこ行くか考えようよ」


「ぐっ…」


何やら凄い嫌がる明人。

明らかに向かわせたくない匂いが出まくっている。


「そんなに嫌ならやめとく?」


「う…い、いや、いい。渚が行きたいなら、止めはしない…」


「どうしよっかな…嫌がってる人連れてくのも可哀そうだしな…」


「いや、嫌というより…恥ずかしいというかその…」


「ああーそっち系かあ。じゃ行こっか。諦めて」


「言わなきゃよかった!?」


ということで強制連行させられることになった明人であった。


□□□□□□


「あー…ここ」


「花の季節。どういう話?」


「あーえーラブロマンス」


「成程、とりあえず行こっか」


というわけで現地にたどり着いた2人。

部屋前には列ができていて、それなりに人気であることがうかがえる。


「おー明人ー。お前来ないって言ってたのにどうしたんだよ?」


部屋前まで来たところで明人が突然声をかけられる。

坊主頭の少年である。

多分明人と同じクラスなのだろう。


「いや…俺は来る気無かったけどな」


「ん?明人めまた女ひっかけたのかよ」


「そういうんじゃないから!友達!」


「はいはいはい分かった。なんだぁ?お前の勇姿を見せたかったんか?」


「な、わけあるか!むしろ既に恥ずかしさで穴に入りたいわ!」


「いやーイケメンで主役ってのはモテるね!さすがだなぁ明人!」


「やめろ」


「はいはい。俺はもう行くよ。彼女とよろしくな」


「あのやろ…覚えとけ」


「友達?」


「…まあ一応」


「勢いが凄かったね」


「いつもあんな感じなんだ…あっ、女ひっかけてるのは事実じゃないからな!」


「え、あ、うん。知ってるよ?天然たらしでしょ?」


「その認識もどうかと思うんだがっ!?」


「でも主役だったんだね。楽しみだな」


「だから来たくなかったんだって…」


「次お並びの方ーどうぞー」


その声と共に、気乗りしなさそうな明人と滅茶苦茶楽しみにしている渚が一緒に入室していった。


□□□□□□


『俺様から離れて…どこに行く気だ?恵美…』


「うっ…」


「クスッ…クスクス…」


顔面蒼白で映画を見ている明人。

それを見ながら笑い声を押さえている渚。


『私は、明人がいいの…!』


「よくないよくない」


「本名だ…っ」


まさかの本名出演。

恵美は定かじゃないが多分意図的にこうである。


『恵美は俺のものだ…誰にも、渡さねえ』


周りから、特に女子からキャーキャー声が聞こえる。

それを聞いた明人の内心はぎゃーぎゃー言っている。

拷問かこれは。


「大丈夫?」


「大丈夫に見える…?」


「見えないけど、演技はすごいと思うよ。頑張ったね」


「吐きそうだ…」


そんな感じで映画鑑賞は終わった。


□□□□□□


「うわぁぁぁぁ…」


出てすぐに頭を押さえてうめく明人。


「お疲れー頑張ったねー」


頭を撫でられる明人。

そのまま享受する明人。

それに対してどうこういう元気がもう無さそうである。


「大丈夫、明人君の演技だけはかっこよかったよ。むしろ周りとの温度差が激しくて若干引いたよ!頑張ったね!」


「…なぎさぁ…慰めになってない…あれさ、俺はそこまで本気でやる気なかったんだよ。ただ俺の撮ってるシーンだけやたらNG出されて…仕方なく…」


「ああ、そういうことか…可哀そうに…モテるのも大変なんだね」


「周りの女子がいいって言うまでやらされた…男たちの目線が痛かった…」


「それは確かに辛いよ…」


「…今本気で死にたい」


「頑張ったね。何か奢ってあげるよ。違うとこ行こっか」


「そうさせてくれ…」


ということで他のところを回ることにした2名であった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 自分が本名主役出演の映画を校外の女の子(渚)と見に行く明人さん、大ダメージを受ける。(主演だから終わってからBDとかもらえそうなのがまた残酷)
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