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看板娘始めました  作者: 暗根
本編
37/177

一人風呂

「…ちょっとは落ち着いてきたか、台風」


民宿「しろすな」2階。

自室にいる咲希が呟く。

元々雨だの風だの台風だの、そもそも外に自分からあまり出ない気質の咲希にとってはどうでもいいことであるのだが、流石に今住んでいる場所が海岸真横であるので多少は気になっている。

まあ今回は人生初の発電機起動とかやったのである意味印象的ではあるのだが。


「咲希姉、お風呂いいよ」


「分かった。行くわ」


パソコンに向かって適当にネット上の文章を読んでいるとノックと渚の声が飛んできた。

渚が一緒に入るのを極力避ける関係で自然とお風呂の流れはこんな感じになった。

渚がとりあえず先に入って、後から咲希が入るという流れである。


「…まあこれでいいか」


適当にシャツのようなデザインの寝間着とタオルを引っ掴んで1階へと向かう咲希。

日常的に厚手のタンクトップしか着ていない咲希であるが、寝間着は寝間着でこんな感じである。


「…誰もいなさそうかな」


脱衣所にたどり着いた咲希はまず中の様子を音で確認する。

とは言え、脱衣籠に物が入っていなければ誰もいないのはほぼ確定なのと、そもそもお客も1組しかいないので誰かと会う可能性は非常に低い。

特に咲希の風呂は渚の後になる関係で遅くなることが多く、誰かと会ったことは今のところ1度もない。

まあ別に風呂で会いたいわけでもないので咲希的には構わないのだが。


「うーん…気にならん時は気にならんのだけどなぁ…」


そうこうしながら、風呂に入るために服を脱いでいく咲希。

着てるものと言えば、いつものタンクトップと、ジーパン、あとせいぜい下着なので脱ぐの自体は早い。

が、下着、特にブラを外す時にどうしても手が止まりがちである。

というのも元々咲希自体は結構なおっぱい星人であったので、ある種今自分に引っ付いてるこれは、なかなかに理想のそれであるのだ。

なので、眼下にそれがあることを意識するとどうしても気になる。

メッチャ気になる。

そして下着を触る瞬間は意識せざる得ないので毎回こうなるのである。


「…うん」


謎の頷きとともに軽く自分の胸を触る。

ついでに軽く揉む。

もうなんか裸になった時に毎回やってる気がする。

だって気になるんだものしょうがない。


「入るか」


そんなあほなことをやり終えたところで、髪の毛を適当に下ろして風呂の中に入る。

咲希の髪はかなり長い。

少なくとも肩は余裕で越えており、多分腰くらいまである。

普段はポニテにしているが、風呂に入る時は下ろす。

ある意味珍しい咲希の姿である。


「洗うか」


そのまま髪の毛を洗い始める咲希。

長い髪の毛の関係上どうしても時間がかかる。

男時代は伸ばすの嫌いだったのもあって、その差は歴然である。

じゃあ切ればいいだろうと思うかもしれないがここは咲希のアイデンティティである。

髪長くしないなら女になった意味ねえという偏見丸出しの咲希の考え方である。

単純にロングのが好みなだけである。


「…えーっと結んで」


髪の毛を洗い終わったら体なわけだが、流石に長い髪そのままだと邪魔にしかならないのでこのタイミングで髪の毛用のタオルで巻いてしまう。

最初の内は意味不明だったが慣れた。

この姿も風呂の中でしか見れないので貴重である。

そのまま体を洗い始める咲希。

タオルはなんか今の肌だと痛そうだったのと、その辺で得た知識で手洗いの方がいいんじゃねと思っているので手洗いである。


「うーむ」


そしてやっぱり胸でちょっと止まる。

またかよと思うかもしれないが、咲希は巨乳フェチである。

なまじ巨乳感強めのこの身体は咲希的にかなりくる肢体である。

だからやけに気にするし気になるのである。

元々女性関係がほとんどなかったというのもあるかもしれない。

ぶっちゃけ下より明らかに動揺したり、反応を示しているので相当好きなようである。


「…風呂入ろ」


そのまま一通り洗い終えて浴槽へと向かう。

既に髪は巻いてあるので、お湯でぬれる心配はない。


「はぁ~あぁ…」


咲希は風呂好きである。

今も昔も変わっていない。

特に昔は足を伸ばせるスペースは無かったが、今は十分すぎるくらい広いのでくつろぎ加減で言うと昔より今の方が上である。

肩の重荷が浮くという意味でもある意味。

縦一文字に体を伸ばす咲希。

足をおっぴろげるのは流石にやらないが。


「ここの風呂は広くていいな」


無駄に広いので掃除は大変ではあるのだが、まあ自宅にいながら軽い銭湯気分に浸れるという意味では唯一無二である。

どうせ掃除担当なので今更そこに文句を言う気もない。


「…さて、上がるか」


じっくり10分くらい浴槽に浸かっていた咲希。

案の定誰も来なかった。


「えーっとタオルタオル…」


身体を拭き始める咲希。

今度は胸でも止まらなかった。

まあ単純に水濡れが嫌なだけである。


「…慣れたなある種」


とりあえず先に着るもの着ていく咲希。

ブラ周りも慣れたもんである。

最初期は四苦八苦であったが、慣れというのは恐ろしいものである。

ただ完全に自己流なのでたぶん正しい着け方ではないかもしれない。

そのまま髪の毛を乾かし始める咲希。

ドライヤーがそもそも阿保みたいに弱いので、先にタオルでしっかり水気を取ってからである。

本気でドライヤーだけでやった暁には乾かすだけで数十分はかかりそうである。

内心面倒くさいと思っているが、やっぱり髪は長い方が好きなので今のところあんまり切る気はない。


「よし、戻るか」


その後やることは大体済ませて寝る格好で脱衣所を出る咲希。

こうなったら後は歯磨きくらいだろうか。

だいたい寝る前にやることは終わりである。

そうして部屋に戻る咲希。

この時間になると渚も部屋にいることが多くなるので、廊下とかで会うことは減る。

1人の時間である。

起きる時間も早いので、さっさと寝るべきである。


「…よし、遊ぶかぁ」


が、これである。

むしろこの時間帯が一番咲希が1人で気兼ねなく遊べる時間でもあるのだ。

何せ昼間はお客がいる限りある程度そっちに注意を払わないといけないので。

客がいなければ問題ないのだが。


「さて、今日やるゲームは…」


そうしてパソコンの前に座る咲希。

そこから立ち上がり、歯磨きに向かったのは既に12時回った後であったとか。



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