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看板娘始めました  作者: 暗根
本編
29/177

予定

大月兄妹が民宿「しろすな」を訪れるということで、夕飯食べてったらという一言残して家を出た渚。

まだ買い出しに行くには少々早い。

ということでどこぞへと向かい始めた。

とは言え、向かう先にできそうな場所はそれほど多くない。

数十分経った後にたどり着いた場所は本屋。

稜子が店番をしていることもある本屋である。


「お邪魔しまーす」


カランと店の入り口を鳴らしながら中に入る渚。

ここに来るのも3度目。

慣れたものである。


「あら、渚。いらっしゃい」


カウンターではなく入った真横にいる稜子。

ラノベコーナー前で何かやっていたようである。


「やっほー来たよー」


「ちょうどよかったわ。渚、なんか読みたいラノベある?」


「うーん。読みたいラノベかぁ。ラノベってアニメ見てから買うからあんま分かんないんだよね」


「じゃあ知ってるのでもいいから。どうせ買う人ほとんどいないし」


「そうだなぁ…時間もあるし長編物がよみたいかも」


「長編ね…よし分かった。じゃあ次はその辺入れてみよ」


「うん。ありがとう。ちなみに、稜子ちゃんのお勧めはどれなの?」


「私の?あー…この辺?」


「ふんふんふんふん。稜子ちゃんラブコメ好きなんだね」


「まあね。恋愛読むの好きだし、だけどあんまりドロドロしたのだと読む気失せるから…この辺がいいのよね結局」


「あーちょっと分かるかもしれない。ドロドロしてるのはちょっときついよね」


「その辺見たかったら昼ドラで十分ね」


「でも意外だなぁ。稜子ちゃんラブコメが好きな風に見えなかったよ」


「まあこれに関してはあいつの影響かもね」


「あいつ?神谷君?」


「よく分かってんじゃない。そうよ、あいつのせい」


「神谷君もラブコメが好きなの?」


「あーあいつがラブコメが好きって言うか…そもそもそういう人間って言うか…」


「んー?稜子ちゃん神谷君が好きだってこと?」


「あー…まあそうだったころは、無いとは言わないけど。今は無いわね」


「あれ?違った。でも仲いいよね」


「ある種腐れ縁だからね。あいつとは」


「ふんふん。じゃああれかー。神谷君はジゴロなんだね」


「ジゴロ…まあ、あいつにその気は無いんだろうけどね」


「うわぁ悲惨」


「悲惨だったわ実際」


「はあ稜子ちゃんがラブコメ好きっていう理由が何となく分かった気がするよ」


「まあそういうことね」


「そういえば、昨日ありがとね。おかげで色々買えた」


「まあ別に私何にもしてない気がするけど」


「でね、昨日買うの忘れてたもの思い出してそれを聞きに来たんだけど、いいかな?」


「別にいいけど、え、まだ何かあったの?」


「うん。あのね、この間化粧を始めようと思ったんだけど、一人で買ってみたらうまくいかなくて、そういうのどうやって選ぶのかなって聞きたかったんだよね」


「ああ、化粧…え、ちょっと待って今ノーメイク?」


「うん…あ、でも、日焼け止めはしてるよ?」


「いやそこ別。ほんとに?」


「うん、なんで?」


「…うわ、ほんとだ。ほんとにしてない」


「そう、ほんとはやらないとって思ったんだけど、初心者過ぎてできんかった」


「そ、そう…」


「うん、だからね、どうやって買えばいいのか教えて欲しいんだ」


「最初買いに行ったときは化粧コーナーの人にぶん投げたわね。まあ、今はなんとなく自分に合うのは分かるから選んでるけど」


「成程、その手があったか」


「化粧なし…マジかぁ…」


「やっぱりだめだよね」


「…そうね」


「ちなみに化粧品どこに行けば買えるの?」


「あーええと、私は昨日いったあの周辺にあるとこ行くけど…もっと大きいお店探してるんだったら反対の方向行かなきゃだめね」


「な、成程。どうしよっかなーひとりで行けるかな…」


「あっち行くなら一人は多分やめた方がいいわよ。私ですら2人以上で行くから」


「ん?そうなんだ?なんで?迷子になる?」


「なる」


「う、じゃ、あのさ、またなんだけど、ついてきてください?」


「なんでそこ疑問形?いいけど、また予定空いてる時でいいなら」


「うん、分かった。また予定見て連絡するよ。ありがとう」


その辺で店の扉のベルが再び鳴った。


「おっす、稜子。あ、渚も来てたのか。おっす」


「はーまた冷やかし?」


「こんにちは、ジゴロ君」


「え、ジゴロ?」


「なんでもないよ。こんにちは、神谷君」


隣で稜子がちょっと噴出した。


「で、今日はどういう冷やかし?」


「あーそうそう、これ、稜子誘おうと思って。後で渚にも見せに行く予定だったんだけど」


夏祭りのチラシ。


「あー今年ももうその季節か。まあ行くわ。あ、啓介連れてきていい?」


「ああ、全然いいぞ。俺も久々に会いたいしな。渚は?どうする?」


「夏祭り?行きたい!」


「よっし決まりだな。じゃあこれ3日後だから。また準備しといてくれ、時間とかはまた送るからさ」


「はいはい、もう準備はだいたいしてあるわ」


「え、あ、ん。分かった」


「じゃあ、今日はそれ伝えに来ただけだから、またな!」


というと店から出て行った。


「あ、ちょ、ほんとにまた冷やかしなの!」


「またねー」


「あいつめ…」


「相変わらず元気だね神谷君」


「落ち着きないだけよあれ」


「でも3日後かー準備って何すればいいんだろう」


「んー特に何かあるわけじゃないけど…強いて言うなら小銭とかその辺?」


「そっか、なら大丈夫そう」


「あ、あと浴衣とか」


「ゆ、浴衣かあ。あるけど着れないんだよね」


「え、サイズ合わないとか?」


「うちに着付けれる人はいない」


渚は無理だし咲希とかもっと無理である。


「ん、着てく気あるならうち来ればやったげるわよ?」


「んー今回はいいかな。ありがとう」


「そう?まあそれならいいんだけど」


またもや予定2つ増えた渚であった。


□□□□□□


「んー久しぶりに人来て変な感じだったな今日」


大月兄妹が去って数時間。

そろそろ風呂入るかなとか思ってベッド上に座りながら、ぬいぐるみ片手にスマホいじる咲希。

スマホをいじっているとピコンと通知が届く。


『やっほー咲希』


「あ、美船」


某通信アプリからであった。

そういえばこの前来てた時に連絡先を全て交換していたのを思い出した。

使ってないので忘れていた。


『どうしたん』


『ちょっとこれを送ろうと思いまして…』


ピコンと何かの写真を送り付けてくる美船。


『これこれ』


『夏祭り?』


『そうそう。この遅い時期にやる夏祭り』


既に8月下旬。

だいぶ遅い。


『で、これが3日後なんだけど、一緒に行かない?」


『3日後?早いな』


『まあ私も今日このチラシ見つけたから』


ちらと壁にかかったカレンダーを見る咲希。

3日後。

まあ特に現状予定もない。


『いいよ。何にもないし。客来なければ』


『おっけー』


『準備なんかある?』


『なんにもー。お金だけかなー』


『分かった』


『じゃあ兄貴に車出してもらうから当日5時くらいに家の前いてね』


『おっけ』


「…雅彦の兄さん来るんだな。…まあいいか」


一瞬来るんだどうしよ、となったようだが、まあもう結構会ってるしいいかってなったようである。


『じゃあまた当日ねーお休みー』


『お休み』


お休みスタンプが飛んできて応答が止まる。

寝たのだろう。


「祭り…行ってねえなあ久しく」


実に数年ぶりである。

そういうのある時期に色々被ってなかなか行けなかったのである。

別に乗り気ではないが、行くこと自体は嫌いではない。


「んーとはいえ、間違いなく数時間は家空けるし、渚に言っといたほうがいいかな」


そう言って渚の部屋に向かう咲希。

流石に風呂はもう上がっているので部屋に向かえばいるはずである。


「渚ーちょっといいー?」


扉越しに声をかける。


「なにー?」


「3日後夕方から家空けるから頼んでいいー?」


「もしかして咲希ちゃんも夏祭り行くのー?」


「あれ、それお前も行くやつ?」


「うん、そうだよ」


「え、やっべ、家どうしよ」


「お客さんもいないし空けとけばいいんじゃない?」


「まあ、いいか。臨時休業貼っとこ」


「え、ていうか誰と行くの?一人で行くわけじゃないでしょ?」


「美船。なんか誘われた」


「ああ、成程ね。もしかしたら会うかもね」


「せやな。ああうんそれだけ。お休み」


「うんお休みー」


そのまま部屋に戻る咲希。

完全に家空けるの初だなあとか、完全プライベートで雅彦の兄貴とどう接しようかなとか考えながら風呂に向かう咲希であった。


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