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看板娘始めました  作者: 暗根
本編
117/177

感想

「ヘイパース」


「あいあい、雅彦パース」


「おい投げられても俺は投げれないってっ!」


オンゲ上。

今夜も元気に咲希と雅彦と悠太が仲良く遊んでいた。

先日オフイベで雅彦と咲希が出かけたりはしたものの、こっちの関係に特に変化はない。


「あーどっか行っちまった。雅彦お前も投げ使えるキャラ作れよな」


「今作っても育てる暇ないっての。メインキャラですらそう大して育ってるわけでもないのにさ」


「雅彦さんレベリングなら手伝うけど?」


「え、咲希さんいいんですか?俺メイン以外装備とか無いし時間かかると思いますけど…」


「それくらい付き合う付き合う全然。それにある程度なら私居ればすぐ終わりますしー」


「それならやろうかな…」


「えー雅彦だけずりぃぞ!咲希ちゃんに手伝ってもらうとか反則だろ!」


「今更かよ!散々手助けしてもらってるだろ!」


「それとこれとは話が別だろう!」


「はいはい。別にそう心配しなくてもそっちも手伝うから安心してランポさんや」


「まじ?やったぜ」


ゲーム内的には相変わらず3人の中だと咲希一強状態である。

他2名も色々やってはいるが未だ追いつかず。

まあ咲希は強くてニューゲームみたいな状態なので当たり前なのだが。


「じゃあ、俺は今日はそろそろ落ちるわー」


「あれ、ランポさん珍しいですね。早くないですかだいぶ」


「いや、俺も寝たいわけじゃ無いんだけどね。明日早い予定があるからさぁ。寝過ごすと不味いんだよなぁ」


「休職終わりか?」


「ご名答。まあそんなとこなわけよ」


「ああ、仕事関係なら早く寝て。というか寝ろ早く」


「というわけなのでアデュー!お休み!」


「お休み。そういうことなら起きろよちゃんと」


「お休みなさーい」


そう言うとピコンと軽く音を発して悠太が通信から落ちた。

ただしゲーム内キャラは残っていた。

放置されていた。

ログイン時間に応じて貰える報酬とかのためだろう。


「うーん?なんかこの時間帯にランポさんいないの久しぶりですね」


「そうですね。最近ずっといたからなぁあいつ」


なんなら咲希と雅彦がログアウトした後もやってたりしていた。

ここ数か月のプレイ時間でいけば間違いなくダントツ一位は悠太である。

いない方が珍しかったのである。


「この後どうします?雅彦さん」


「んー…特に考えてなかったですね。てっきりこのままわちゃわちゃしてたらログアウトする時間になるかなって思ってたんで」


「まあそうですよねえ。いっつもだいたいそうだし。んー…どうしよ、ゲーム内だともうやることないなぁ…」


ゲーム内では咲希のキャラが同じ地点をぐるぐると回っていた。

やることが無くなると咲希がよくやり始める行為である。

何もしていないとおててが寂しいので。


「狩り…は流石に遅いですよねぇ」


「そうですね。早いって言ってもたかが知れてますしねぇ」


確かに悠太がいなくなる時間としてみれば相当早いのだが、あくまで基準は悠太である。

咲希が寝るまでの時間としてはそんなに残されているわけでもない。


「そういえばこの前ありがとうございました」


「え?ああ、あのイベントの時のです?」


「そうそうそれです。おかげさまでアイテム無事回収できました」


「いえ、気にしないでください。というか向こうで写真一枚とってこれば咲希さん連れ出さなくてもよかったですよね…なんか無理言って連れ出したみたいですいません」


「いやいや、雅彦さんと遊びに行く分には好きなんで全然。むしろ連れ出してもらわないと外行かないからほんと、いいんですよ」


ゲームから離れてちょっとリアルの方の話に移り始める2名。


「あ、それでそれで、今度また一緒に出掛けません?具体的には来週の土曜とか日曜とかの昼間とかその辺に」


「え?え?あ、えっと」


動揺したかのように言いよどむ雅彦。

その反応に咲希も少々慌てたように言葉を続ける。


「あ、すいません、今の時期忙しかったりします?」


「ああいやそう言うことでは無くて、時間的にはちょっと確認しないといけないですけど、多分大丈夫です。ただ、咲希さんが誘ってくるとは思ってなくて…」


「私だって遊びたい人は誘いますよー?単純に交友関係少なすぎてほとんどないけど」


なお交友関係がそれなりにあった昔ですら咲希から誘うことは早々なかった。

交友関係とか関係なく単純に咲希がほとんど誘って遊ぶということをしないだけである。

なので咲希が人を誘うのは相応に珍しい。


「そういうことなら喜んで。あ、でもどこに行くつもりなんでしょうか?」


「あ、いやーこの前はイベントに力入れすぎちゃって、あんまり喋る時間無かったじゃないですか。だからどこかでご飯でも食べながらゆっくり話せたらなぁとか思ってるんですけど、私この辺の地理疎いんで…そのできればよさそうなお店あれば教えてもらえれば嬉しいです」


「よさそうなお店かぁ…んーどこかあったかな…」


「あ、ごめんなさい急に無理言って。というか誘うならそれくらい決めとけって話ですよね」


ばつが悪そうな声を上げる咲希。

それを慌てて雅彦が静止する。


「いやいいですいいです。すいません、俺もちょっとパッと出てくるのファミレスとかばっかなんでその時までに調べておきます」


「え、ああファミレス、いいですよ?というかそう言うとこの方が私喋りやすいんでむしろそっちの方が嬉しいかも。誘っといてあれだけど」


下手に高いお店とか恐縮しちゃいそうだしと続ける咲希。

実際咲希自身貧乏舌という自覚はある。


「いいんですか?本当に普通のとこですよ?」


「いいですいいです。そう言うとこある場所すらまともに知らないので、むしろ教えてもらえると助かります」


なお今咲希が住んでいるこの場所周辺はほとんど宿ばかりでそう言う場所はない。

なのでちょっとその辺でお昼とかしようと思うと車必須である。

もしくは電車。


「じゃあ、偶に寄るファミレスでいいですか?車なら30分もかからないと思います」


「オッケーです。じゃあ時刻は来週の土日のどっちかの12時くらいでいいですかね?」


「はい、どっちなら大丈夫かはまた連絡します。…いや、咲希さんから誘ってもらえるとかほんと、思ってなかったなぁ…」


「どんだけ私引きこもりだと思われてんですかね…」


「あ、いや、そう言う意味では」


慌てる雅彦。

咲希が笑う。


「くく、いやまあ、この前誘ってもらっちゃったし、お返し?変かな?まあ、雅彦さんと面と向かって喋りたいなぁと思っただけですよ?…じゃあ、今日はこの辺でやめときます。また日程分かったら適当に連絡ください」


「ええ、じゃあまた今度」


「とはいえどどうせまたここで明日も会うと思いますけどね」


「確かに、そうかもしれませんね」


「ふふっ」


「はは」


「じゃあ失礼。乙でした」


「お疲れ様です。お休みなさい」


そうしてピロンと咲希も通話から落ちた。

ネトゲの方は咲希も放置してあるのかそのままだが。


「…まさか誘ってきてくれるとは。驚かしてくるなぁ咲希さん…」


そんなこと言いながら一人ガッツポーズする雅彦がいた。



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