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看板娘始めました  作者: 暗根
本編
104/177

チョコ裏話

バレンタインデーから2日後。

渚は稜子と街に出かけていた。


「今日は突然呼び出しちゃってごめんねー」


「別にいいわよ?私たちの仲だし」


「ほんと?じゃあもうちょっとこれからは雑に呼び出しちゃおっかな」


「いや、まあ止めはしないけど。あんまり雑過ぎても行けないからね。そこはよろしく」


「まあ、そこはね?ちゃんとするつもりだから大丈夫だよ。言ってみただけ」


「全くもう。それで?こんなとこまで呼び出すって何の用?」


「用って言うほどの用でも無いけど、いつもの稜子ちゃんちで立ち話するにはちょっと長くなりそうだなって思って」


「話すとき数時間話すのに何を今更」


「まあほら、腰を据えて聞きたい話もあるでしょ。だからどうせだからお茶しながら喋りたいなって」


「腰を据えて聞きたい話…?そんなものがあるの?」


「え、ほら、バレンタインとか?」


その言葉を聞いた稜子の目が明らかにうろたえる。


「あ、ああバレンタインの?」


「うん、うんそうだよ。バレンタイン。あれ、反応薄いね」


「…いや、その」


「え、上手くいかなかったとか?」


「…」


「あぁなんだもうびっくりしたじゃん稜子ちゃん。上手くいったならちゃんと言ってよ。ちょっとヒヤッとしたじゃん」


「だっだって!こんなとこでヒートアップしたらそれこそ頭おかしい女になるじゃない!」


「むしろこういう場所でヒートアップするべきだと思うんだよね。限度はあるけど」


「い、嫌、やめて、聞かないで。死ぬわ」


「えぇー?なんでぇ?よかったじゃん。私は色々付き合ってあげたんだからさぁ、聞いてもいいと思うんだけどなー」


「ちょ、それ、それはずるいわ渚…」


「稜子ちゃん知らないだろうけど、私後ろで凄い恥ずかしかったんだよ?2人の様子見ながら変な反応したこととかあってさぁ。それはそれは白い目で見られたよ」


後ろで変な反応して啓介サイドをサポートに来ていた明人に見つかったりはしていた。


「え、え?そんなことあったの?」


「だって2人とも最初から両思いだったじゃん。アドバイスするたびにお互いぎこちなくなるから、見てるこっちは違う意味でひやひやしたよ」


「え、え?そうなの?」


「そうだよ。だから私アドバイス求められてもいらないじゃんって思ってたんだよ」


「な、渚あいつの私に対しての気持ち知ってたの?」


「んー…知ってたというより見てたら分かったが正しいかな?」


「い、言ってくれれば…あぁ、駄目だ。言われたらそれはそれでだめだった気がする」


「ほら、こういうの第三者が言うのはさ、野暮ってものでしょ?だから言えなくてさ、言えないけどアドバイス求められるから何とも言えない気持ちになってたんだよね」


「そ、それは…なんかごめん」


「まあそれはいいんだけど、それでバレンタイン、どんな感じで渡したの?」


「学校終わった頃くらいに、校舎裏まで引きずってったわ」


「前日あんなに恥ずかしがってた稜子ちゃんとは思えない行動してるね」


「呼び出そうかとも思ったけど、待ってる間に逃げそうだったから…そんな感じに」


「逃げそうって何があったの?啓介君…」


「い、いや、もうお互いにそわそわしすぎてたから…2人で行かないとどっちかが逃げ出すんじゃないかと…」


「青春、してるねぇ…」


どこか遠い目で語る渚。

渚の青春には見当たらなかった経験である。


「そ、それで…その、チョコ、突き出した感じね…」


「なんか、どこまでも勢いで行ったんだね稜子ちゃん」


「…いうこと考えてたけど全部ぶっ飛んじゃって、もう、本命チョコよ!受け取れ!って言っちゃった…」


物凄い下に俯きながらそう語る稜子。

顔はかなり赤い。


「稜子ちゃんって恥ずかしがる割には、行動が大胆だよね」


「考えられなくなってるだけよそんなの…顔まともに見れなかったし…」


「それでそれで?啓介君はどんな感じだったの?」


「…滅茶苦茶いい笑顔してやがったあいつ」


「いい笑顔、だったのか。そっかぁ、成程ねぇ。ちなみにその後何か啓介君から言われた?それとも稜子ちゃんが話した?」


「お礼言われた後に、本命ってことは…そういうこと?とか抜かし始めたからそれに答えるより先に私から私と付き合えって…」


「どこまでも前日と真逆を行ったんだね稜子ちゃん」


「聞いてくる暇あれば言えってのあのチキン…」


少し口を尖らせる稜子。


「ふーん、成程ねぇ。それでそれで?」


「…な、何よ、滅茶苦茶食いつくわね」


「だってほら、稜子ちゃん幸せそうだし。おすそ分けしてもらおっかなーって」


「おすそ分けって…もう、なんか理想の構図からは遥かに彼方の感じになっちゃったしもう何が何だか…」


「でも稜子ちゃんと啓介君らしくて私はいいと思うな」


「な、なによそれ…」


「んーなんて言うんだろう…稜子ちゃんってツンデレ可愛いんだよね」


その言葉に稜子が叫ぶ。

ツンデレは想定外だったようである。


「ツン…!?私がツンデレ!?どこが!?」


「そういうとこ」


「これツンデレなの!?」


「それがツンデレというより反応がそれっぽいというかそんな感じ?」


「は、反応がそれっぽいって何よそれぇ…」


「啓介君は啓介君でそれを分かってて受け流してる感じがあるから、お似合いだなぁって」


「え、そ、そう?」


「かなぁって思っただけ。だから告白もなんやかんやで待ちきれない稜子ちゃんが言うんじゃないかなって私思ってたんだよね」


「う、バレてる。でも、なんかあいつそのまままたフラーってどっか行きそうな感じしたんだもん!いい加減にしろって感じじゃない!」


「まあ、確かに?それで、結局告白した稜子ちゃんに対して啓介君はなんて言ったの?」


「…それ、俺のセリフ!って怒られたわ」


「べったべただねぇ。べたのべただねぇ」


「そんなにべたべたしてないわよ!」


「展開がべたすぎじゃない?」


「知らないわよ!もう!」


「へぇー?そんな感じだったんだぁ…それでそれで?その後は?どんな感じだったの?」


「…付き合ってくれって、頭下げられたわ」


「そっかぁ。よかったね。一応告白はしてくれたんだね」


「予想と違いすぎるわよ全くもう…でも、まあ、してくれたから、許す」


「じゃあ、結果は一応付き合ったってことなんだね」


「え、あー…そう、そうよ。なんなら当日も次の日も会ってたわよ」


「デスヨネーだから今日聞こうと思ったんだよねー」


「む、渚分かってて」


「あったりまえじゃん。じゃなきゃこんな日にこんな場所に呼び出すわけないよね」


「ああああ!だから話したくないのよもう!」


「ダメだよー稜子ちゃん。だって私には聞く権利があると思うんだ」


「猶更よ!」


「それで?昨日はどこに行ってきたんですかぁ?」


その言葉に沈黙が流れる。

そこそこ時間が経過した後、ようやく稜子が口を開いた。


「…あいつの家」


「え」


「な、何よその反応!」


「思ったより早いなって思っただけ」


「なっ…!違うわよ!何にもしてないから何にも!一緒にいただけよ!?」


「もう聞いてくださいよ、奥さん。一緒にいただけですって一緒にいただけ」


「誰に話してるのよ!?」


「エア井戸端会議」


「何なのよそれ!」


「えーじゃあもうキスはしたのー?」


「きっ…!?…し、したわ」


「う、なんかごめん、私がダメージ食らった」


「なんでよ!?」


「即答されると思ってなかった」


「どうせ隠したところでもうばれてるじゃない…!」


「最近の子は進んでるんですね…」


「…いや、同い年でしょう…」


「同い年…?だけど、そういうことじゃないんだよなぁ」


実際5年以上年上である。

今は同い年だが。


「…じゃあどういうことよ。後なんで今疑問符浮かべたの?」


「特に他意はないよ?でもほら、付き合いたてだったらどこか出かけにいくとかそう言うのが先にあるのかなって」


「…いや、その…どっか行くよりも、一緒にいたかっただけ…」


「あぁあああああ!デレ期だ!デレ期が来てるよぉ…」


「デレてないし!」


「うっそだぁ。あ、あそこに啓介君がいるけど」


「えっ!?」


「うっそー。なんだやっぱりデレてるじゃん顔が」


「っ~~~~!なーーぎーーさぁああああ!」


「ごめんごめんって悪気はあったけどそこまで悪気はなかった。許してー」


「許すかぁ!既に恥ずかしさ限界なの!」


「はぁでも幸せそうで何よりです」


「…まあ、その。色々ありがとね渚」


「ううん、全然気にしないで。むしろ私が王様ゲームなんて言ったばっかりにこんな感じになっちゃって2人のペースを乱した感じもするからこれぐらいはしないとねって思ってたんだよね」


「…いや、いいのよ。後押しなしじゃ無理だった気もするし」


「はぁでも良かった。告白成功してよかったよ。聞くのが怖くて結構迷ってたんだよね。成功してたら今日は元気だろうし、そうじゃなかったら昨日一日落ち込んでただろうなって思ってこういう日取りにしたんだけど、よかった成功してて」


「どのみち次会ったら言う気はあったから。…呼び出されるとは思ってなかったけど」


「私だって気になってたんだもん。聞きたいよすぐに。ほんとは当日聞きたかったくらいだけど、流石にやめた」


「当日は流石に…うん、無理ね。うん」


「でもこれはあれだね。これからノロケがいっぱい聞けるね!」


「え、話すの?」


「んーまあ話してくれるなら聞きたいかな」


「…はぁ、なんかもうその気無くても話してそうだわ私…」


「楽しみにしてるねー。で、あ、そうだ。当日渡せなかったんだけど。はいこれ」


そうして渚は箱を取り出した。

チョコである。


「…これは、チョコ?」


「そう電話で話したでしょ。義理チョコ」


「あ、ああっ!渚の分まだ買ってない私!」


「だから別にいいってば、気にしないで。というわけで貰ってください」


「…ありがと。またお返しは持ってくわ」


「うん、楽しみにしてるね。で、あと、これ啓介君の分なんだけど、多分私会わないと思うから渡してくれるなら嬉しいな。あ、ちなみに渡したくなかったら持って帰るから別にいいよ」


「流石に厚意を無下にはしないわよ。渡しておくわ」


「ありがと。あとそれちゃんと全部義理だからね安心してね」


「し、心配は別にしてないわよ…」


「そう?それならよかった。じゃあ改めて、稜子ちゃんおめでとう」


「…ありがと」


なおその日以降スマホのメッセージに稜子のノロケが次から次へと流れるようになったとかどうとか。


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― 新着の感想 ―
[一言] ようやく結ばれたか。ランボに流したらまずいやつだ(笑)
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