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23:ひと月後の不穏な影

 


 護衛任務はBランク以上の冒険者8人で行われた。

 幸いにも2人1組、エレナと俺で行動できたのはいいが……周りのレベルが違った。


「おい! そんなノロマな太刀筋じゃダメージも与えられないぞ!」

「すまない! その代わり魔法は俺が防ぐ!」

「どけっ! ここは俺がいく!」


 俺たちもかつてはAランクに近いパーティだったが、それもメンバーの連携があってこそだ。

 俺とバリッシュが切り込み、カロンが援護。そしてエレナがサポートをするバランス型。

 今回集まった冒険者はエレナ以外が前衛という、実に脳筋なパーティとなっていた。


「おう。実力はともかく魔法を防いでくれたってな? ありがとよ、助かったぜ」

「お互い様ですよ」

「そっちの嬢ちゃん? いや、男手限定の募集だから男性だよな。あんたも援護助かったぜ」

「どうもどうもー」


 これで数回目の戦闘だろうか。

 Bランク以上の指定ともあって敵も強い。

 ついでに男手という指定もあり、荷物の運搬や護衛対象の接待もさせられる始末だ。

 その護衛対象の接待はというと。


「おいエレナ。あれはお前の兄妹かなにかか?」

「趣味が合うのは否定しないけど、私なら男女平等に愛でるわね」


 護衛対象の馬車には冒険者がローテーションで世話にまわっている。

 俺も出番がきたが……ひたすら撫で回されるのは不気味すぎる。


「エレナがいけばしばらく収まるからいってやれ。ほら、他のパーティからも期待されてるぞ」

「う……しょうがないわね。あとちょっとの辛抱だし、残りは私に任せなさい!」

「聞いたかみんな! あとの期間はこの男の娘、カロンがあれの相手をしてくれるってよ!!」


「おおおお! ありがとうっ、ありがとう!」

「助かった! これでもう声を押し殺して泣く必要はないんだ!」

「男の娘とあの人の絡み……イケる」

「誰だいまの」


 今回の依頼内容は護衛……にしてはやけに金払いがいいかと思えば、どうやら依頼主は筋肉フェチだったらしい。

 冒険者の上半身を撫で回しては、絶妙なタッチでサワサワとしてくる。

 まともな感性を持つ仲間は悲鳴をあげたりトラウマになったらしいが、いやらしいことに金をちらつかせてくるんだよな。

 何でも特別護衛料とかで、ギルドの評価をあげてやるとかなんとか。


 まさかエレナ以外にもこんな悪魔がいたなんてな。


「しっかし、あんたの仲間はすげぇな。ひょろそうな見た目でよく依頼主を骨抜きにできるもんだ」

「あいつはテクニックがすごいからな」


 性悪女エレナは衰えず、てところか。

 逆にカロンの評判が地に落ちすぎているが、そこは必要な犠牲だと割りきってもらうしかないだろう。


「ふぅ、ようやく俺たちも解放されるんだな。まずは特別依頼料ってのをたんまりもらって飲みに行きてぇぜ」

「違いねぇな」


 予定よりも数日早いが、ようやく戻ってきた。

 ここまで街が近ければ戦闘もないだろうし、ひと月ぶりに帰ってきたな。






 ひと月で変化するような事件もなかったようで、街は平和そのものだった。

 護衛仲間と一緒に報酬をぶん取り、特別依頼料というのは予想以上に多くもらえた。


「結局なんだったんだよあの依頼……」

「でもwin-winな関係だったわね。有意義な話ができて、こーんな大金がもらえるんだから」


 エレナがもらった報酬は俺の三倍。

 逆に言えば、それだけ依頼主を相手をしていたということだ。

 どうやら気に入られたらしく、次も指名したいとか言われていたが……俺はついていかないからな?


「たしかに金払いはよかったな。エレナ、悪いがその報酬は俺と同じ分でいいから――」

「馬鹿ね。全部あげるわよ」


 ほら、と皮袋ごとこちらへ渡される。

 その行動に俺はフリーズした。


「……は?」

「いや、パーティで稼いだお金は皆のものでしょ? 前からそうだったじゃないの」

「でもこれに関しては、エレナがあの相手をがんばったからで」

「そう。じゃあ……先輩で、上書きしてくれませんか?」

「カロンを返せ」

「きゃー♪」


 まったく。

 こういうところがあるからエレナは俺たちの仲間なんだよな。




 エレナとそんな風にたわむれながらも、ようやく屋敷へと帰ってきた。

 予定より早いが、皆はいるだろうか?


「じゃあ旦那様? 奥さんを迎えに行ってあげなさいな」

「からかうなよ……よし、入るぞ。あ?」


 ドアを開こうとしたが、鍵がかかって開かないらしい。

 まだ夕方というのに珍しいな。


「遠征するから鍵は持ってないし、ノックでもしてみるか」

「…………反応ないわね。いないのかしら」


 例えカロンたちがいなかったとしても、タケルあたりは真っ先に出てくるものだと思ったのだが。

 しかしこれは、どうするべきか。


「お隣さんに聞くか? ミーシャちゃんなら知っているかも」

「ちょっとまって。地下牢はどうかしら」


 地下牢? と疑問に思ったが、タケルが活発だった頃はよく閉じ込めていたんだっけか。

 鍵もタケルにしか開けれないので、可能性はある。


 俺たちは疲れた身体に鞭打ち、地下牢の入り口をライトで照らした。


「……聞こえたか?」

「ええ。誰かいるわね」


 まさかタケルの反逆か?

 このひと月の間に一体何があったのか。



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