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11/26

11:皆は何処へ?

本日2回めの更新です

 



 いくつか予想は立てていた。

 が、リーファが残っていたのは良い意味で想定外だった。


「こっちではライナーがいなくなった。カロンとエレナはどうした?」

「そういやお二人ともいませ――ま、まさか幽霊の仕業ですか!?」

「そうかもしれない。とりあえず……朝食にするか?」


 可愛らしい腹の音がなったことで、朝食の選択肢がでてきた。

 リーファは顔を赤くしながらも朝食を用意してくれたが、他のメンバーはきちんと食べているのだろうか?

 まあいい。

 既に目星はついている。


「ごちそうさま。リーファ、何か変な匂いはしないか?」

「変な匂いですか? そうですね、この屋敷に入ってから何かは感じますが、それがどこからかはわかりません」


 やはり、ここには何かがいる。

 なぜリーファが残ったのかはわからないが、その何かの手がかりは開かずの地下牢にあると見てよいだろう。


「この屋敷に地下牢があるって話だけど、どこか壁の薄そうな場所はわかるか?」

「えと、少しずつ動いていけばわかるかもしれませんが、地下牢の入口って壁で隠されているんですか?」

「ん? どうだろうな」


 度々使われるということなら、壁で埋め立てられているのはおかしい。

 スライド式か、回転式か。

 しかしそれなら昨日の調査で気づいたはずだ。

 だとすると、入り口は壁ではない?


「壁じゃないなら床に隠されている? いや、それだと出られなくなる可能性もある。ならば最初に探すのは」

「えと、ご主人様? 昨日は寝てしまってわからないのですが、外回りは確認したのでしょうか?」

「外回り?」

「はい。地下牢というのは秘密裏に処理したいときに使うもの。屋敷の中ににあれば、気づくものも多いのでは?」


 リーファのいうことも一理ある。

 しかし、彼女はどこでそんな知識を取り入れたのだろう。

 なんというか、闇が深そうで怖い。




 リーファとともに、屋敷の外を探索する。

 今まではこういった場面で、必ず一人だったので何か新鮮だ。


「あ、向こうに柔らかそうな土があります! これなら畑が作れます!」

「リーファはこの屋敷に仕える気満々だな」

「はい! こんな立派なお屋敷に仕えることができるなんて夢のようです! これも全てわたしを買ってくださったご主人様のおかげです!」


 リーファの無償の笑顔が眩しい。

 おいバリッシュ、俺はあんたのせいでこんな罪悪感に苛まれてるんだぞ。

 今度出てきたら文句いってやる。


「あっ! ここ、他と違って雑草がないですよ。色も何か不自然です」

「本当だな。見るからに何かありそうだ」


 屋敷の裏側、隅のほう。

 そこだけ不自然に空間が拓けており、調べれば壁がスライドするようだ。


「これ、地下牢の入口じゃないですか?」

「そうらしい。灯りはないが、行くか?」


 荷物にランタンがあったはずだが、地下牢といっても屋敷の地下だ。

 スペースも狭いので、俺は夜目でもなんとかなる。


「行きましょう。あ、いいこと考えました」


 それだけ言うと、リーファは壁をスライドさせ、思いっきり叫んだ。


「エレナさーーーーーん!! いたら明るくしてくださーーーーい!!」


 返答はマジックミサイルで返ってきた。

 それも、一発だけではなく数十発で。


「わわっ! ご、ご主人様だいじょうぶですか!?」

「ああ。ちょうどいいからこのまま進もうか」

「え! でも攻撃され続けてますけど……」

「明るいからちょうどいい」


(おいやべぇぞこいつ……ナニモンだよ)


「ん? 何かいったか?」

「わっ! 漏れてる! ミサイルが漏れてるので前向いてくださいぃ!」


 リーファは隠れるのに必死で余裕がないらしい。

 だとするとさっきの声は、犯人か?

 ちょうど明るくなったので、光源へ向かって歩いていく。


 目の前から連続的に発射されてることを考えると、このマジックミサイル連打装置がエレナで間違いないだろう。


「おいエレナ、十分だから止めてくれ」

「うふふ。どう? 明るくなったでしょ」

「お前は成金か」


 エレナも俺に魔法が効かないことは知っている。

 だからこんな強硬手段にでたのだろう。

 しかし普通に無属性のライトを使いこなすあたり、最初からこれで光らせてくれたらよかったんじゃないか?


「おーい、ライナーちゃん。カロンちゃん。ロイドがきたわよ」

「おう、はやかったな。腹がへったからはやくだしてくれ」

「ぜぇんぱぁぁいっ! 信じてましたよぉぉぉ!!」


 俺がカロンを見ようとした途端、辺りが暗闇に包まれた。

 エレナのやつ、泣き顔が見られたくないからってライト消しやがったな。


「いくらやっても鍵があかないのよ。多分そこらへんにあるんだろうけど、実力行使でもダメだったわ」

「そっか。じゃあな」

「諦めるのはやくないかしら」

「ぜぇんぱぁい……」


 助けを求められるのはともかく、鍵なんてどこにもないんだが。

 俺よりも夜目が効くリーファに探してもらっているので間違いない。

 この檻の鍵は近くにない。


「こんなときバリッシュなら開けられるかもしれないが――」

「いや、オレでも無理だ。この鍵は奥から壊されてやがるからな」


 驚いて振り向くと、そこにはご主人様と慕ってくれるリーファではなく、暗闇でもわかるほどの無表情なバリッシュがいた。

 しかし、鍵が開かないとなると、どうやってここに閉じ込めたんだ?


「おっと、オレが出てきたからかお出ましのようだ。エレナ、ライトを頼む」


 再び地下牢が照らし出される。

 違うのは、ただ一点。


(なんだよこいつら。俺の存在にまで気づきやがったよコンチキショー)


 地下牢の宙に浮く、透けた男性がいたことだろう。



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