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悪いことしようと思ってしてるわけじゃないのかもしれない

作者: ちょり

タバコを吸おうとベランダの窓を開けたら、勢いよくバッタが部屋の中に飛び込んできた。カメムシとゴキブリは苦手だけれどバッタは割と好きなので、逃がすために素手で捕まえようとした。けれども思ったより小さかったので、私の手をすり抜けて布団の下に潜ってしまった。ふとさっきまでバッタがいたところを見ると、脚が一本落ちていた。そんなに強く掴んだつもりはなかった、きっと子どものバッタで柔らかかったのだろう、でももしかしたら私が思っていたより強く握っていたのかもしれなかった。次は慎重に、ティッシュを使ってそっと包んでベランダに放してあげた。バッタはポトリと落ちたまま、全く動かなくなってしまった。ベランダのサンダルで軽く蹴とばしてみたけれど、どうやら死んでしまったようだった。死なせるつもりなんか全くなかったのに、むしろよいことをしたかったのに、バッタにとって私はすごく悪い人になってしまった。私が思ってる辛いことや嫌な人も、そんなつもりはないのかもしれない。私だけ無視されたり、空が明るくなるまで仕事をさせられるのも、とてもとてもよいことなのかもしれなかった。動かないバッタを見ながら、今の気持ちに似つかわしくない名前のタバコを吸った。それはすぐに燃えてなくなってしまうので、やっぱり希望なんて持てないまま窓を閉めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] あなただけ無視されたり明るくなるまで仕事をさせられる事は何の疑問も無く悪い事だと思いますよ。
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