始まりの魔法陣
どうしてこうなった!?
お一人様用の召喚陣作れよ!
アイツだけ放り込むから!!
By 哀れな自分の手記より
5月の大型連休最終日、音が反響するゲーセンにて、シューティングゲームをする大学生の二人組がいる。
一人は自分こと、山城智裕。
身長は、175で高い方に入るが、顔は普通。
良くもなければ悪くもない……はず。
身だしなみは、整えない為にかなり悪い。
もう一人は、友人の由井原義政だ。
身長165で顔は童顔である。
何故、自分と仲良くしているのか分からないくらい人当たりが良く、楽しい奴だ。
いつも二人で遊ぶ際は、自由気ままなヨシマサが、自分を拉致したりするのだが、結局最後は自分が一番楽しんでいる。
今日は、最初にシューティングゲームをしている。
ちなみにやっているゲームは、サイレントヒルとかいう、ウサギがトラウマになる可能性のあるゲームである。
だって、大量に現れ、銃は撃つわ、斧は投げるわするんだぜ!!
初見でかなり怖かった。見た目が普通の着ぐるみなだけに余計にそう感じた。
ヨシマサ曰く、他と比べてリロードは簡単で敵もボス以外は弱い事から殆ど置いてないらしい。
百円でクリアするヨシマサ。数百円使う自分。
おかしい……協力プレイのはずでは?
そんなだったからだろうか?
ラスボス倒してノーマルエンド。トゥルーエンドは前に見た。
UFOエンドもあるが、面倒くさいらしい。
一度は、見てみたいと思うのだが……
ゲーセンといえば、格ゲー。
鉄◯とか安定だよな。
だけど自分は、ガン◯ムの方が好きだ。
ヨシマサを放置して、プレイする。
久しぶりだから楽しむために、いつも使わない機体を使おう。
あえて、皆があまり使わない高難易度の機体を選択した。
高難易度の機体なだけあって操作が微妙、だから射撃で音響やって遊んでいたらボロ負けした。
そりゃあ、負けるよね。
分かってた。
だから、腹いせにヨシマサを参加される。
「意味が分からん」
うん、自分もそう思う。
そもそも当人は、全く関係がない。
ヨシマサは、機体選びに時間がかかったものの参戦。
好きな機体が多く悩んだ様だ。
趣味にガンプラ。
そこそこ時間をかけるらしく、炭入れとかしてた。
なのに、これは、しない。
食わず嫌い良くない。
下手なんだろう。
そう思った時期が、自分にも有りました。
コイツ、滅多にやらない割に、そこそこ操作が上手かった。
「ビームライフルは、いいげど。特殊射撃は苦手だな」
射撃よりは、接近戦の方がいいなとか言いながら戦っている。
斬って倒しては、離れて起き上がりを狙って射撃。
でも、そう言う割には、さっき射撃多いよね?
おい、顔反らすな。
こっち向け。
そもそも、シューティングゲームは、得意なのに何故?
えーっと、なになに。
あれは直接敵に銃を直接向けるから。
リロードも手動で出来る?
あぁ、なるほど。
そして、話は戻る。
ヨシマサは、ボス相手にも接近戦で仕掛けている。
だから、やる事は一つ。
ヨシマサの機体の背後からボス事射撃してゲーム終了。
本人は、あまりやらないのでフレンドリーファイヤーされた事すら気付いていない。
これは、秘密にしておこう。
一通り遊んでからゲーセンを後にした。
ゲーセンと家との半ばに差し掛かった頃、マジアカとかやったからかも知れない。こいつは、フラグを立てやがった。
「このまま異世界とかに転移したくねぇ?二人分の知識があればなんとかなるんじゃねぇ?」
「行くならお前だけで行け」
それともこれがフラグだったのだろうか?
自分たちの足下には、円形で幾何学模様が描かれた、いかにも魔法陣ですよって奴が現れて白く輝き出した。
現れた瞬間、何気に感動する自分がそこにいた。
だが、よくよく考えてみよう。
この先、面倒な事が起こる事は、確定している。
だから、予定通り、ヨシマサの肩に手を置いた後、頑張れと心で呟いて後ろに飛び退いた。はず……だった。
服が引っかかり、飛び退く事が出来なかった。それも当然。
ヨシマサがちゃっかり服を掴んで捕まえていた。
「お前だけ行け!自分は逃げる!!」
叫びつつ、視線を下に向ける。
先程より輝きは増し、いつ発動しても可笑しくない気がする。
既に魔法陣からは、嫌な未来の予感しかしない。
自分の直感がそう叫ぶ。
だから、両手でコイツ押して、この場から全力で離れようとした。
それに抵抗するヨシマサ。
結果、手四つの状況になる。
「お生憎さま。こんな面白そうな状況から逃がすか!!」
コイツのニヤけ顔が気に食わない。
だから、手四つのまま圧力をかける。身長差がある分、圧力をかけやすい。
だが、それすらも計算の内だった様だ。
足払い。実はコイツの得意技。
組んだ時点で負けだった。
結果、圧力をかける方は、支えが無いので当然倒れる。
そして、そこからすかさず首元ホールド。しかも、背後から。
「ねぇねぇ?何で逃げるの?これから楽しい事が起こりそうなのに?」
「嫌だ!絶対お前振り回される!!はーなーせー、鬼、悪魔、低身長!!」
今思うと自分で墓穴を掘った。コイツにとってあの言葉は禁句だった。
「そうかそうか!そんなに逝きたいのか!ならば共に行こうか、高身長。そして、せめて後5寄越せ、それで170だ!!」
「切実!!ってか、行くの字違いませんかね?!」
「いい感じに技が極ってるから痛みは無いはずだから大丈夫!それにさっきの言葉は、たぶん気のせいだよ。たぶん……」
なんか、遠い目をしている気がする。後ろだから見えんが。
「よし、ちょっと待て!話し合おう!話あえば!!」
「問答無用!!」
今度は確実にニヤけていると思う。
それはもう狐の様に口元がつり上がって。
「アーーーーーッ!?」
それを合図に、自分たちは強い光に包まれた。
血の気がスーッと引くように自分は意識を失った。