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古文は苦手

 古文の授業が始まる。

 開始して5分。

 ……飽きた、飽きてしまった。


 なんてこの授業は退屈なんだ。しょうがないのでわたしは先ほどタッくんから送られてきた『エルフ語講座』のページをスマフォで開く。


 そしてページを眺めるのだが。うーん、なんだろうこれ、全く覚えられない。

 英語でさえ覚えの悪いわたしがこんなものを覚えられるハズが無い。


 単語がまるで呪文のようだ。これをどうしてくれようか……

 そうだ! 呪文っぽく単語を並べてみよう。


 わたしはノートにエルフ語を書き出す。


(バラン)』『お願い(ファスタ)』『応じる(ダムベス)


 おお、それっぽい。

 エルフはよく召喚魔法を使う。この呪文を唱えればきっと神様を呼び出せるハズ……


 さて、このエルフ語の書き写しの作業で、わたしの集中力は切れてしまった。

 使いどころのない古文と、さらに使いどころのないエルフ語。そんでもって昼過ぎの満腹感。これらはわたしを睡眠に誘う。

 抵抗する暇も無く、あっという間にわたしは眠ってしまった。




 眠りから覚めると、わたしは変な場所に居た。

 雲一つ無い青い空が広がり、地面は白い光につつまれて、それが見渡す限り続く不思議な場所。


 これは現実ではありえない、おそらく夢の中なのだろう。

 他に何か居ないのかと周りを見渡す。すると美しい女神様のような人がいた。


 女神様はわたしに向かって話しかけてくる。


「どうしましたか、人の子?よ」


「あなた様は誰でしょうか?」

 わたしは美しい女性に話しかける。


「私はエルフの神です、願いを叶える為に此処に呼び出されました、人の子?よ」


 おおぅ、あのエルフ語での召喚がどうやら成功したらしい。すごいぞわたし。


「何か願いなのですか。人の子?よ」


「……願いを叶える前に、ちょっと良いですか。

 わたしに対して、なぜ疑問形で訪ねてくるのですか」


「いえ、あなたは見た目がエルフですが、この世界にエルフは居ないはず。

 ですから、おそらくあなたは人間なのでしょう?」


「……ああ、はい。私は人間ですよ。エルフではないですよ」


「そうですよね。ええ、そうだと思いました。よかった間違っていなくて」


 神様にもこの耳の事で突っ込まれた。

 まさか神様でもエルフとの違いが分からないとは。


 さて、願い事はどうしてくれようか……

 突然、言われると何も浮かび上がらないな。


 しかし、この神様、どこら辺まで力を持っているんだろう?

 かなり無茶な願い事でも叶えられるのかな?


 そう思って神様をまじまじと見つめる。


 なんだろう。どこか頼りない気がする。

 わたしがエルフと人間と区別もつかないのだから、かなり『へっぽこ』の気がしてきた。

 なんか、あまり大した願いは叶えてくれなさそうだ……


 う~ん…… そうだ、この耳を普通に治して貰うというのはどうだろう。

 試しに出来るか聞いてみよう。


「女神様、この耳を普通の人間の耳に治して貰えますか?」


「良いでしょう、その願いを叶えましょう」


「あっ。ちょっとまってください。もしかして代償に魂を取られるとかありますか?」


「……私は悪魔ではありませんよ。その程度のレベルの願いなら無償の範囲ですね」


「よかった。それではお願いします」


「わかりました。ちなみにクーリング・オフ期間は8日ですよ」


 そう言うと、わたしは光に包まれる。

 ああ、これは完全に夢だな。神様がクーリング・オフとかいうはずが無い。


 そんな事を考えながら、わたしは夢の中で意識を失った。

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