プロローグ
両親が死んだ。
その事実だけが頭を支配していく。
俺が悪かったのか?
俺が逃げたから?
あの時に逃げてしまったせいで...
-2ヶ月前-
俺はいわゆるイジメを受けていた。
きっかけは上級生と目が合い、気に入らなかった。それだけだった。
だが彼らにはそれで充分だったのだ。
やがてエスカレートしていき殴る蹴るの暴行。
耐えられなくなった俺は自宅に引きこもり、ネットを見て過ごしていた...
見かねた両親が俺なんかのために引っ越しを考え転校の手続きをしてくれた。
しかし、イジメの恐怖があるせいか中々行く気はなれなかった。
2ヶ月近く経ち、心の準備が出来た俺は両親に言った。
「父さん、母さん。俺明日から学校に行ってみるよ。」
二人は喜んだ。今夜はステーキにしようと舞い上がり、買い物に出かけた。
しかしなかなか帰ってこなかった。
そこに電話の音が鳴った。
「はい、高矢ですけど...えっ?」
病院からだった。両親が亡くなったとの事だった。
暴走した対向車と正面衝突になり互いに即死だったらしい。
受話器を落とし放心してしまう。
当たり前だ。数時間前まで一緒にいたのだから。
そこからはあまり覚えていない。
-数日後-
仏壇に手を合わせ、両親の遺影に向かって伝える
「学校...行ってきます」