梅雨の音楽会
昼下がりのことです。
ソー・ミー・ドー・ソ-・ド-・シ・ラ・ソー
たまに音が途切れるのですが、リコーダーの笛の音がどこからか聞こえてきます。
音楽の宿題が出たのでしょうか。
「いいわね。一緒に合奏しましょう。」
ポツポツと降り始めた雨粒をゆかこさんが弾いていきます。
そー・みー・どー・そー・どー・し・ら・そー
ソー・ソ・ラー・ソ・ファ・ミー・ドー・レー
蛙も田んぼで加わります。
リコーダーの音も負けないように大きくなりましたよ。
「ふふっ、タンバリンもお願いね。」
神社で雨宿りをしていた鳥たちが嘴と羽でリズムベース担当です。
そー・そ・らー・そ・ふぁ・みー・どー・れー
ソー・ミー・ドー・ソー・ドー・シ・ラ・ソー
かたつむりがくねくねと音符を書いています。
つのをマラカスのように振ってご機嫌です。
「あらあら梅雨の音楽会ね。」
そうですね、ゆかこさん。音符が空から降ってきます。
そー・みー・どー・そー・どー・し・ら・そー
ラー・ラ・ソー・ドー・レー・シー・ドー
「さぁ、みんなで決めるのよっ。」
らー・ら・そー・どー・れー・しー・どー
ひゅーひゅー
パチパチパチ
町中から歓声と拍手が届きました。
ゆかこさんたちも丁寧にお辞儀を返しましたよ。
※作中の楽譜は作者の創作です。